専用タンクへの給油作業では、「タンクに危険物を入れすぎてしまう」という単純だが重大な事故リスクが常にあります。
これを防ぐため、政令では専用タンクに「危険物の過剰な注入を自動的に防止する設備」の設置が義務付けられていますが、具体的にどんな機構がこれに該当するのか、どこに取り付ければよいのかは意外と知られていません。
この記事では、過剰注入防止装置の具体例と、液面表示装置・通気管の位置に関する基準まで、実際の質疑応答をもとに解説します。
過剰注入防止装置は、タンクローリー側に付いていれば足りるのでしょうか。
それは認められません。
タンクローリー本体や注入ホースの途中に設ける機構は、専用タンクに設けたものとみなされません。
タンクごとに表示窓を並べなければならないのでしょうか。
複数の専用タンクの液量を1つの表示窓でスイッチ切替表示することは認められています。
この記事でまとめて解説します!
- 過剰注入防止装置はフロート式または液面測定装置と連動したバルブ式が認められる
- タンクローリー本体や注入ホースの途中に設ける機構は「専用タンクに設けたもの」とみなされず認められない
- 複数の専用タンクの液量を1つの表示窓でスイッチ切替表示することも認められる
- 屋内給油取扱所の通気管は、出入口からの距離基準はないが換気のよい場所である必要がある
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目次
過剰注入防止装置として認められる方式・認められない方式
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危険物の規制に関する政令第17条第2項第4号は、専用タンクに「危険物の過剰な注入を自動的に防止する設備」を設けることを定めています。この設備が具体的にどのような機構を指すのか、また取付場所についても照会がありました。
| 方式 | 取り扱い |
|---|---|
| 専用タンクの容量以下に設定された量が注入された場合、タンク内のフロートの作動により注入管を閉鎖する機構 | 差しつかえない |
| 設定量の危険物が注入された場合、液面測定装置等と連動して注入管のバルブを自動的に閉鎖する機構 | 差しつかえない |
| タンクローリー本体または注入ホースの途中に設ける機構 | 認められない(専用タンクに設けたものとみなされない) |
専用タンクに設けたものとみなされない方式があるのですね。
取付けの場所が要件です。
いまの装置がどの方式か、設備の仕様書で確かめてください。
複数タンクの液量を1つの表示窓でスイッチ切替表示することも認められる
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危険物の量を自動的に表示する装置についても、いくつかの照会がありました。
- 数基の専用タンクの表示を1つの表示窓で行い、各タンクごとの液量をスイッチで切り替えて表示する構造のものも認められる(タンクごとの液量が明確に区別して表示されることが条件)
- 危険物の量を自動的に表示する装置と注入口との間の距離的制限はない
- デジタル式以外のゲージ装置(従来型の油量液面計)も、自動的に表示する装置とみてよい
1つの窓で切り替えて表示してもよいのですね。
タンクごとに区別して表示できることが条件です。
表示の切替えを、従業員が迷わず操作できるか確認しておきましょう。
屋内給油取扱所の通気管の位置
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屋内給油取扱所に設ける通気管の位置についても、実務上の疑問が示されています。通気管は「換気のよい自動車等の出入口付近の場所」(15号通達)に設けることとされていますが、具体的な距離の基準はあるのでしょうか。
- 自動車等の出入口から何メートル以内という距離基準はないが、規則第20条第5項に規定する基準を満たし、かつ換気のよい場所である必要がある
- 通気管の先端が、上階への延焼防止のために設けられたひさしを貫通することも差しつかえないが、貫通部については埋戻し等の措置を講じる必要がある
通気管には距離の基準はないのですね。
規則の基準に適合していることが前提です。
換気のよい出入口付近かどうかを、現地で見ておいてください。
よくある質問
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まとめ
- 過剰注入防止装置は、専用タンク側のフロート式または液面測定装置連動バルブ式が認められる
- タンクローリー・注入ホース側の機構は「専用タンクに設けたもの」とみなされず不可
- 複数タンクを1つの表示窓でスイッチ切替表示することも、デジタル式以外のゲージ装置の使用も認められる
- 屋内給油取扱所の通気管は距離基準はないが換気のよい場所に、ひさし貫通は埋戻し等の措置とともに認められる
どこに付けるかが肝で、表示のまとめ方には自由度があるのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
過剰注入防止装置はフロート式または液面測定装置と連動したバルブ式が認められます。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第17条第2項第4号・第5号・第6号 e-Gov法令検索
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)専用タンクの過剰注入防止設備・自動表示装置・通気管の位置に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年7月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の設備選定については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




