給油取扱所の専用タンク相互の自動移送システム、内燃機関による自家発電設備、懸垂式ホース機器の灯油用固定注油設備への転用、キャノピーの不燃性シート、特別高圧架空電線の敷地上空通過など、設備・構造上の可否に関わる論点を、実際の質疑応答をもとに解説します。
うちの給油取扱所で専用タンクの自動移送システムを入れたいのですが、設置しても問題ないのでしょうか。
設置して差しつかえないとされています。
液面計・コントロールユニット・ポンプ等からなる自動移送システムであることが前提です。
自家発電設備や特別高圧架空電線のことも気になっています。
同じ敷地の中に置いてよいものでしょうか。
そちらも要件を満たせば設置できます。
ただし特別高圧架空電線は敷地上空を通過しないことが原則望ましいとされています。
この記事でまとめて解説します!
- 複数の専用タンク相互の液面レベルを均一化する自動移送システムの設置は差しつかえない
- 要件を満たせば内燃機関による自家発電設備を設置できる
- 地上式固定給油設備のポンプ機器を懸垂式ホース機器の灯油用固定注油設備に転用することは認められない
- キャノピーの屋根には建設大臣認定の不燃性シートを用いてよい
- 特別高圧架空電線は給油取扱所の敷地上空を通過しないことが原則望ましい
▼

目次
専用タンク相互の自動移送システムの設置は差しつかえない
給油取扱所における複数の専用タンク相互の液面レベルを均一化するための設備について、照会がありました。
液面を均一にする仕組みは、設置して差しつかえないのですね。
構成が要件を満たしていることが前提です。
機器の仕様書を保管しておいてください。
要件を満たせば内燃機関による自家発電設備を設置できる
給油取扱所に内燃機関による自家発電設備を設置することについても照会がありました。
| 設置要件 | 内容 |
|---|---|
| 電気の使用 | 発電設備の電気は常用電源の一部として使用する |
| 設備の構造 | 屋外型のため、高さ2メートル以上のブロック塀で囲い、屋根を設けない |
| ブロック塀の出入口 | 自閉式甲種防火戸とし、敷居の高さは15センチメートル以上とする |
| 燃料 | 灯油とし、灯油用固定注油設備に接続された専用タンクから直接配管で供給する |
| 消費量 | 一日の灯油消費量は指定数量未満とする |
自家発電設備には、囲いの決まりまであるのですね。
塀の高さや戸の仕様が定められています。
設置場所を決める前に、図面で確認してください。
懸垂式ホース機器を灯油用固定注油設備に転用することは認められない
一の地上式固定給油設備の内部に複数のポンプ機器を設ける場合の取り扱いについても、照会がありました。
既存の機器を転用するのは認められないのですね。
転用はできません。
灯油の設備が要るなら、新設で計画してください。
キャノピーの屋根には建設大臣認定の不燃性シートを用いてよい
給油取扱所の屋根(キャノピー)の材料についても照会がありました。
屋根の材料に、不燃性シートを使えるのですね。
認定を受けたものが対象です。
張り替えのときは認定番号を控えておいてください。
特別高圧架空電線は敷地上空を通過しないことが原則望ましい
特別高圧架空電線が給油取扱所の敷地の上空を通過する場合の取り扱いについても、詳しい照会がありました。
- 特別高圧架空電線が給油取扱所の敷地の上空を通過することとなる給油取扱所の設置は、原則として好ましくない旨指導されたい
- 特別高圧架空電線が断線した場合等の給油取扱所への影響を考慮すれば、原則として敷地の上空を通過しないことが望ましい
- やむを得ず上空を通過することとなる場合は、次の事項を考慮することが適当である
電線が敷地の上を通るのは、避けたほうがよいのですね。
原則として望ましくないとされています。
近くに計画が出たら、電力会社と早めに調整してください。
よくある質問
まとめ
- 専用タンク相互の自動移送システムの設置は差しつかえない
- 要件を満たせば内燃機関による自家発電設備を設置できる
- 懸垂式ホース機器を灯油用固定注油設備に転用することは認められない
- キャノピーの屋根には建設大臣認定の不燃性シートを用いてよい
- 特別高圧架空電線は敷地上空を通過しないことが原則望ましく、やむを得ない場合は水平距離の確保等が必要
懸垂式ホース機器を灯油用固定注油設備に転用するのは、やはりできないんですね。
そうですね。
転用は認められませんが、要件を満たせば自家発電設備の設置やキャノピーの不燃性シートの使用は可能ですよ。
判断に迷ったら所轄消防署にもご相談くださいね。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第17条、第23条 e-Gov法令検索
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)給油取扱所の自動移送システム・自家発電設備・特別高圧架空電線に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年6月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の設計内容については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




