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給油取扱所の火災想定・輻射熱計算はどう行う?燃焼継続時間の考え方を解説

給油取扱所の設計にあたって求められる火災想定・輻射熱の計算は、どの場面をどう想定して行えばよいのか、燃焼継続時間の設定方法や火災想定の中心点の考え方を、実際の質疑応答をもとに解説します。

輻射熱を計算するとき、荷卸し中の火災も給油中と同じ考え方でよいのでしょうか。

いえ、実は違うんです
給油中・注油中は最大吐出量と10分間で計算しますが、荷卸し中はタンク室ごとの荷卸し速度と所要時間を使うんですよ。

隣が木造の建物の場合は、対策も変わるのでしょうか。

漏えい・出火の想定範囲との位置関係で、対策が必要な外壁の部分が変わってくるんです。
火災想定の中心点の考え方も設備ごとに違うので、この記事でまとめて解説しますね!

この記事の結論
  • 給油中・注油中の火災は固定給油設備等の最大吐出量・燃焼継続時間10分間として計算してよい
  • 荷卸し中の火災はタンク室ごとの荷卸し速度・荷卸しに要する時間として計算してよい
  • 隣接する木造建築物への輻射熱対策は告示で定める式を満たすための措置が必要な外壁部分を特定して検討する
  • 火災想定の中心点は設備の種類(固定給油設備・固定注油設備・注入口)ごとに異なる

給油中・注油中と荷卸し中では燃焼継続時間の設定方法が異なる

給油取扱所における火災の輻射熱を求める計算をする場合の考え方について、照会がありました。

  • 給油中・注油中の火災:過去の事故事例等を踏まえ、漏えい量を固定給油設備又は固定注油設備の最大吐出量とし、燃焼継続時間を10分間として計算する
  • 荷卸し中の火災:漏えい量を一のタンク室からの荷卸し速度とし、燃焼継続時間をタンク室の荷卸しに要する時間として、各タンク室について計算する
いずれの考え方も差しつかえないとされています。給油中・注油中の火災は「最大吐出量×10分間」という固定的な想定で計算する一方、荷卸し中の火災は、タンク室ごとの実際の荷卸し速度と所要時間を用いて個別に計算するという違いがあります。作業の性質に応じて、想定すべき漏えい量と時間の考え方を使い分けている点がポイントです。

給油中は10分間、荷卸し中は所要時間で見るのですね。

前提が違います。
計算書に、どちらの想定かを明記しておいてください。

隣接する木造建築物への輻射熱対策は外壁の部分ごとに検討する

給油取扱所の塀又は壁が開口部を有さず、給油取扱所に隣接し、又は近接する建築物が木造の場合で、漏えいに伴う出火を想定したときの輻射熱対策の考え方についても照会がありました。

漏えいの想定範囲を同心円状に描き、その範囲にかかる隣接建築物の外壁の部分について、告示で定める式を満たすための措置が必要な部分になるという考え方は差しつかえないとされています。隣接建築物の外壁すべてが一律に対策対象になるのではなく、漏えい・出火の想定範囲との位置関係によって、対策が必要な部分とそうでない部分に分かれるという整理です。

隣の建物との位置関係で、必要な対策が変わるのですね。

外壁の部分ごとに検討します。
敷地の周りの建物の構造を、配置図に書き添えておきましょう。

火災想定の中心点は設備の種類によって異なる

給油取扱所における火災想定をする際に、次の場所を火炎の範囲の中心として輻射熱を求めてよいかどうかも照会されています。

  • 固定給油設備における火災想定:車両給油口の直下を中心とした円
  • 固定注油設備における火災想定(容器に詰め替える場合):詰め替える容器を置く場所を中心とした円
  • 固定注油設備における火災想定(移動貯蔵タンク等に注入する場合):注入する移動貯蔵タンク等の停車場所の中央を中心とした円
  • 注入口における火災想定:移動タンク貯蔵所の荷卸しに使用する反対側の吐出口を外周とした円
いずれの考え方も差しつかえないとされています。給油・注油・注入という作業ごとに、実際に危険物が漏えいしうる場所を中心(又は外周)として火炎の範囲を想定するという考え方が共通しています。設備の種類が違えば、火災想定の起点となる場所も変わる点に注意が必要です。

中心点の取り方は、設備ごとに決まっているのですね。

設備の種類で変わります。
計算を外注するときは、この前提を仕様書に入れてください。

よくある質問

Q. 給油中の火災と荷卸し中の火災では、想定の仕方が同じですか?
異なります。給油中・注油中の火災は最大吐出量と10分間の燃焼継続時間で計算しますが、荷卸し中の火災はタンク室ごとの荷卸し速度と所要時間を用いて計算します。
Q. 隣接する木造建築物の外壁はすべて輻射熱対策の対象になりますか?
すべてではありません。漏えい・出火の想定範囲との位置関係によって、告示の式を満たすための措置が必要な部分とそうでない部分に分かれます。
Q. 火災想定の中心点はどの設備でも同じ場所ですか?
異なります。固定給油設備は車両給油口の直下、固定注油設備は詰め替え容器の設置場所又は移動貯蔵タンク等の停車場所の中央、注入口は移動タンク貯蔵所の荷卸し反対側の吐出口を外周とするなど、設備ごとに想定の起点が変わります。

まとめ

  • 給油中・注油中の火災は最大吐出量・燃焼継続時間10分間として計算してよい
  • 荷卸し中の火災はタンク室ごとの荷卸し速度・所要時間として計算してよい
  • 隣接する木造建築物への輻射熱対策は、漏えい想定範囲との位置関係で外壁の対象部分を特定する
  • 火災想定の中心点は固定給油設備・固定注油設備・注入口の種類によって異なる

火災の想定ひとつでも、場面ごとに考え方が分かれているのですね。
すっきりしました。

設備ごとに、どこを中心に考えるかが違います。
計算の前提を書面に残しておいてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。

参考・出典

  • 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第4条の52 e-Gov法令検索
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)給油取扱所の火災想定・輻射熱計算に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年6月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の設計内容については所轄消防署にご確認ください。

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

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