給油取扱所でガソリンを携行缶などの容器に詰め替えて販売する場合、38号通知により指定数量未満とする解釈が示されていますが、地域の需要によっては指定数量以上の詰替えが必要になる場面もあります。
指定数量以上の詰替えが認められる条件と、顧客の本人確認の方法、詰め替えたガソリンを配送する場合の取扱いを、実際の質疑応答をもとに解説します。
携行缶でガソリンを売るときは200リットル未満までと聞いていますが、農繁期はそれでは足りません。
原則は38号通知のとおり指定数量未満です。
ただし安全対策を講じて予防規程に基づく文書に明記すれば、指定数量以上の詰替えも差し支えないという回答が示されています。
本人確認はどうすればよいでしょうか。
免許証をお持ちでないお客様もいらっしゃいます。
写真付きの証明書がない場合は、公的機関が発行する住所と氏名を確認できる書類を2種類以上提示してもらう方法が認められています。
この記事でまとめて解説します!
- 給油取扱所におけるガソリンの容器への詰替え販売の数量は、38号通知により指定数量(200リットル)未満とする解釈が示されている
- 満量停止装置等が確実に機能することと、詰替え作業を危険物取扱者である従業員が原則として行うことを予防規程に基づく文書に明記すれば、指定数量以上の詰替えも差し支えない
- 本人確認は、顧客が公的機関発行の写真付き証明書を所持していない場合、2種類以上の公的機関が発行する住所及び氏名を確認できる書類の提示によることができる
- 従業者が容器に詰め替えて顧客の住居へ配送する場合も、顧客の本人確認等を行う必要がある
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目次
ガソリンの容器への詰替え販売は指定数量未満が原則
給油取扱所におけるガソリンの容器への詰替え販売については、「給油取扱所におけるガソリンの容器への詰替え販売に係る取扱いについて」(令和元年7月25日付け消防危第95号)に基づき、購入者の身元や使用目的の確認等について取組みが進められています。
一方で、自動車への給油や灯油又は軽油の容器への詰替え以外の危険物の貯蔵又は取扱いについては、「給油取扱所の技術上の基準等に係る運用上の指針について」(昭和62年4月28日付け消防危第38号。
以下「38号通知」といいます。
)において、ガソリンの容器への詰替え販売の数量は指定数量未満とする旨の解釈が示されています。
原則は指定数量未満ということですね。
通知の考え方が基本です。
いまの販売の実績が、どのくらいの数量かを把握しておいてください。
指定数量以上の詰替えは安全対策と予防規程への明記で認められる
ある地域の消防機関から、管内の給油取扱所事業者について次のような相談を受けたとして照会がありました。
農業や林業が主たる産業となっている地域で、特に夏季においては田畑の草刈り等、農業機械等の燃料であるガソリンの需要が高まるものの、地域にある給油取扱所は数か所しかなく、一の給油取扱所において指定数量未満の量のガソリンを詰め替え販売することだけでは地域のガソリンの需要をまかなうことができないため、指定数量以上の量を詰め替え販売する方策を検討してほしい、というものです。
この相談を受け、38号通知第2の1のなお書きの運用として、次の安全対策を講じ、予防規程に基づく文書に明記することにより、指定数量以上のガソリンの容器への詰替えを行うことができると解釈してよいか、という照会がなされました。
- 固定給油設備の給油ホースに接続される給油ノズルに設けられた満量停止装置等が確実に機能すること
- 当該詰め替え作業を危険物取扱者である従業員が原則として行うこと
安全対策を予防規程に書けば認められるのですね。
文書に明記することが条件です。
対策の内容と担当者を、規程の改正案に落とし込んでください。
写真付き証明書がなければ2種類以上の公的書類で本人確認できる
危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第39条の3の2の規定に基づき、ガソリンを容器に詰め替えて販売を行う際の顧客の本人確認については、「ガソリンを容器に詰め替えるときの確認等に係る運用要領について」(令和元年12月20日付け消防危第197号)の1(1)において、本人確認を行うことのできる書類の例として公的機関が発行する写真付きの証明書であることが示されています。
このことについて、本人確認の際、顧客が当該証明書を所持していない場合、2種類以上の公的機関が発行する住所及び氏名を確認することができる書類を提示することをもって、本人確認を行うこととしてよいか、という照会がありました。
写真付きの証明書がなくても、方法があるのですね。
公的な書類を2種類以上で確認します。
受付の手順書に、確認できる書類の例を載せておきましょう。
顧客の住居へ配送する場合も本人確認等が必要
給油取扱所において、ガソリンを販売するため従業者が容器に詰め替え、顧客の住居へ配送する場合についても、顧客の本人確認等を行う必要があるか、という照会もあわせてなされています。顧客が来店せず、店舗側が容器に詰め替えて届けるという形態です。
配送する場合も、確認は必要なのですね。
来店されない場合も同じです。
配送の記録に、確認した書類の種類を残してください。
よくある質問
まとめ
- 給油取扱所におけるガソリンの容器への詰替え販売の数量は、38号通知により指定数量(200リットル)未満とする解釈が示されている
- 満量停止装置等の確実な機能と危険物取扱者による作業という安全対策を講じ、予防規程に基づく文書に明記すれば、指定数量以上の詰替えも差し支えない
- 本人確認について、顧客が公的機関発行の写真付き証明書を所持していない場合は、2種類以上の公的機関が発行する住所及び氏名を確認できる書類の提示によることができる
- 従業者が容器に詰め替えて顧客の住居へ配送する場合についても、顧客の本人確認等を行う必要がある
原則は指定数量未満でも、中身を固めれば道はあるのですね。
すっきりしました。
設備面と人的な面の安全対策、予防規程への明記、そして本人確認の徹底がそろって認められます。
まず予防規程の記載から見直してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第39条の3の2 e-Gov法令検索
- 「給油取扱所の技術上の基準等に係る運用上の指針について」(昭和62年4月28日付け消防危第38号)
- 「給油取扱所におけるガソリンの容器への詰替え販売に係る取扱いについて」(令和元年7月25日付け消防危第95号)
- 「危険物規制事務に関する執務資料の送付について」(令和元年8月7日付け消防危第111号)
- 「ガソリンを容器に詰め替えるときの確認等に係る運用要領について」(令和元年12月20日付け消防危第197号)
- 「危険物規制事務に関する執務資料の送付について」(令和2年3月27日付け消防危第89号)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)給油取扱所における指定数量以上のガソリンの容器への詰め替え・ガソリンの容器への詰替え販売に係る顧客の本人確認の方法に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年6月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




