一般取扱所の許可でつまずくのは「どこまでを一つの施設として囲むのか」と「基準どおりの設備を置けないときにどうするか」の2点です。
建物の外に3メートル離れたプレス機は別施設なのか。
線路の上を保有空地として数えてよいのか。
固定消火設備を置けない事情があるとき、消火器で代えられるのか。
山の索道で燃料を運ぶ場合、どこからどこまでが施設なのか。
実際に照会された4件をもとに解説します。
プレス機は建物から3メートル離れた屋外に置いてあるんよ。
ほんなら建物の中のオイルタンクとは別の施設やろ?
別にはなりません。
危険物の取扱いの形態から判断して、オイルタンク・ポンプ・プレス機・オイルクーラー等の全般にわたって一の一般取扱所として規制するとされています。
ほんなら固定消火設備も要るんか。
国鉄の承諾が取れへんから設置できへんねん。消火器で代えられへんの?
粉末を放射する大型消火器を1以上設けるなどの条件で、危険物の規制に関する政令第23条を適用して第3種消火設備に代替すると認めてさしつかえないとされました。
この記事でまとめて解説します!
- 敷地の事情でローリー積場から離して設置できない残ガス排出設備を、一般取扱所であるローリー積場内に設けることはさしつかえない
- 建物から3メートル離れた屋外のプレス機も含め、オイルタンク・ポンプ・プレス機・オイルクーラー等の全般にわたって一の一般取扱所として規制する
- オイルタンクの油量ゲージにガラス製品を用いることは認めることは好ましくない
- 貨物駅操車場での詰替えについて、軌道敷を含む範囲を保有空地と認めることはさしつかえない
- 固定消火設備は、粉末を放射する大型消火器等を設けることで危険物の規制に関する政令第23条を適用して第3種消火設備に代替できる
- 索道で運搬する場合は、運搬タンクに受け入れる場所から自給式ポンプで払い出す場所までが一の一般取扱所に該当する
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目次
ローリー積場内に残ガス排出設備を設けることは認められる

危険物一般取扱所であるローリー積場の残ガス排出設備の設置について、一般取扱所であるローリー積場内に残ガス排出設備を設置することまで支障ないと解してよいか、という照会がありました。当該残ガス排出設備は、敷地その他の事由によりローリー積場から離して設置することができないため、ローリー積場内に設けようとするものです。状況は次のとおりです。
- 吸引ブロアーにより吸引されたタンクローリー内のガスは、ローリー出荷場の屋根上部(地盤面上6.5メートル)より2メートルの高さから排出される
- 機器については耐圧防爆型を使用する
- 静電気対策については、既設アース受信部を改造する
本来であれば、可燃性蒸気を扱う設備は危険物を取り扱う場所から離して設けるのが望ましいところです。それができない事情があるなかで認められた理由は、排出高さ・機器の防爆性能・静電気対策の3点が具体的に示されていることにあります。
とくに地盤面から合計8.5メートルの高さで排出するという点が重要です。可燃性蒸気は空気より重いため低い位置に滞留しますが、屋根の上から放出すれば作業面に戻ってきません。
屋外のプレス機まで含めて全体を一の一般取扱所とする

大型プレス機の設置に係る疑義として照会がありました。施設の状況は、建物(ブロック造スレート葺)内にオイルタンク(第四類第四石油類のオイル12,000リットル)を設置し、その両サイドにオイルポンプ10基、それにオイル清浄機、オイルクーラーがあり、プレス機は建物から3メートル離れた屋外に設置されているというものです。
プレスするための油の流動工程については、オイルタンクからポンプによりプレス機のシリンダーに入り、使用済みの油はオイル清浄機およびオイルクーラーを経てオイルタンクにもどります。これが一工程です。そのうえで、1日の取扱数量が指定数量以上の場合と未満の場合について、全体を一般取扱所とするか、オイルタンクを屋内タンク貯蔵所として切り出すか、といった選択肢が示されました。
ポイントは油が閉じた回路を循環しているという点です。オイルタンクから出た油はプレス機を経て清浄機とクーラーを通り、またタンクに戻ります。この一連の流れが一工程として切り離せないため、建物の外に3メートル離れているプレス機も含めて一体で捉えるという判断です。
建物の内外という物理的な区切りではなく、取扱いの形態で単位を決める考え方が明確に示されています。
回答は認めることは好ましくないです。ガラスは圧力に耐えても火災時の熱や衝撃で破損し、そこが危険物の流出口になります。配管への覗き窓の設置が認められていないのと同じ考え方です。
軌道敷を含む範囲を保有空地と認めることは差し支えない

ある工場で製造したエチルアルコール(濃度95パーセント)をタンクローリで貨物駅に移送し、アルコール専用運搬車(37.8キロリットル容量)に詰替えを行う計画について照会がありました。まず、添付図面のとおり軌道敷を含む範囲を保有空地と認めてさしつかえないかという問いです。
保有空地は消火活動と延焼防止のための空間です。線路が敷かれていても、そこに建物や工作物がなく上空も開けているのであれば、空地としての機能は果たせます。地面の仕上げや用途ではなく、空間として確保されているかどうかで判断するという整理です。
固定消火設備は大型消火器等により第3種消火設備に代替できる

同じ照会では、取扱量が指定数量の100倍を超えるため固定消火設備が必要となるが、その設置について貨物取扱い業務上支障が及ぶことを理由に承諾が得られないため、これを第4種および第5種の消火設備で代えることはできないか、という点も問われています。
粉末を放射する大型消火器(毎秒0.6キログラム以上の放射率で、かつ60秒間以上連続して有効に放射できるもの)を1以上設けるほか、危険物の規制に関する規則第33条第2項第2号の規定により第5種消火設備を設けるときは、危険物の規制に関する政令第23条の規定を適用し、第3種消火設備に代替するものと認めてさしつかえない
注目すべきは放射率と放射時間まで数値で指定している点です。「大型消火器を置く」ではなく、毎秒0.6キログラム以上・60秒間以上という性能で線を引いています。代替を認める根拠は政令第23条の特例であり、その適用にあたって同等の消火能力を数値で担保している構成です。
索道の場合は受入場所から払出場所までが一の一般取扱所

鉄道トンネル工事用の重機に給油を行うため、索道により危険物を工事現場へ運搬する方法について、危険物の規制に関する政令第23条を適用して認めて差し支えないか、という照会がありました。計画の概要は次のとおりです。
- 危険物の運搬期間 約3年
- 索道の距離 約1.6キロメートル
- 運搬する危険物 第四類第二石油類の軽油
- 使用量 1日当たり約2キロリットル、運搬回数は1週間に約1回、危険物運搬タンクの容量は10キロリットル(円筒型)
- 現地は山岳地であるが、索道は鉄道および河川上を横断することとなる
- 索道については10トン程度の耐荷重のものを設計しているが、状況に応じて強度を増すことも可能である
あわせて当該運搬タンクについては、当該一般取扱所における危険物を取り扱う容器として認めて差し支えないとも示されています。
索道で1.6キロメートル運ぶという特殊な形態でも、受け入れる場所と払い出す場所で施設の端を決めるという考え方は変わりません。運搬タンクを移動タンク貯蔵所ではなく容器として位置づけたことで、一の一般取扱所の中を移動する扱いに整理されています。
よくある質問
まとめ
- 敷地の事情で離して設置できない残ガス排出設備を、一般取扱所であるローリー積場内に設けることはさしつかえない
- 建物から3メートル離れた屋外のプレス機も含め、油の流動工程の全般にわたって一の一般取扱所として規制する
- オイルタンクの油量ゲージにガラス製品を用いることは認めることは好ましくない
- 貨物駅操車場での詰替えについて、軌道敷を含む範囲を保有空地と認めることはさしつかえない
- 固定消火設備は、粉末を放射する大型消火器等により政令第23条を適用して第3種消火設備に代替できる
- 索道で運搬する場合は、運搬タンクに受け入れる場所から自給式ポンプで払い出す場所までが一の一般取扱所に該当する
建物の壁やなくて、油の流れで施設の端が決まるんやな。
そのとおりです。
受け入れる場所と払い出す場所で端を決める、という見方を押さえておくと索道のような特殊な形態でも判断できます。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第19条・第23条・第27条第6項第4号ハ e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第33条第2項第2号 e-Gov法令検索
- 危険物一般取扱所(ローリー積場)内の残ガス排出設備の設置について(昭和56年10月6日付け消防危第129号 危険物規制課長から茨城県あて回答)
- 危険物事務規制の照会について(昭和56年10月7日付け消防危第134号 危険物規制課長から長崎県あて回答)
- 貨物駅操車場内における危険物の取扱いについて(昭和58年11月16日付け消防危第118号 危険物規制課長から熊本県あて回答)
- 索道により危険物を運搬する場合の危険物の規制について(昭和58年11月30日付け消防危第126号 危険物規制課長から京都府あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)一般取扱所の基準に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




