一般取扱所の実務では「これでもよいか」という照会が数多く積み上がっています。
外壁に指定の不燃材料ではない認定品を使う、タンクローリー充てん所の上に事務所を乗せる、注油設備を高速化する、配管に覗き窓を付ける。
このうち認められたものと認められなかったものが分かれています。
何が判断を分けたのかを、4つの照会をもとに解説します。
外壁の材料な、規則に書いてある不燃材料そのものやないんやけど、認定を取った防火構造なんよ。
これで通るやろ?
同等以上の効力があるものとしてさしつかえないとされた事例があります。
材料の代替は認められる余地があります。
ほんならタンクローリーの充てん所の真上に事務所を乗せるのも、耐火構造にして防火戸を付けたらいけるやんな。
そちらは防災上適当でないとされました。
床を1メートル突出させて外部階段にしても認められていません。認められる代替と認められない提案の違いをこの記事で解説します!
- 一般取扱所の外壁に用いる材料は、危険物の規制に関する規則第10条の不燃材料で造られた外壁と同等以上の効力があるものとして認定品の使用が認められた事例がある
- タンクローリー充てん所の直上部に事務所を設けることは、耐火構造や防火戸などの対策を講じても危険物の取扱いの状況から判断して防災上適当でない
- 取扱品名が第一石油類や第二石油類の場合も同様に認められない
- 灯油専用および小口詰替専用の一般取扱所に設ける注油設備は、吐出量が毎分60リットル程度のものを限度とすることが適当
- 危険物配管の途中にサイトグラスを取り付けて目視検査することは認められない
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目次
外壁の材料は同等以上の効力があれば代替が認められる

危険物一般取扱所の外壁に用いる材料について、次のものを危険物の規制に関する規則第10条に定められている不燃材料で造られた外壁と同等以上の効力があるものとし、使用することを認めて差し支えないかどうか、という照会がありました。
- 商品名 石綿スレート、木毛セメント板張、鉄骨防火構造
- 一般名 不燃軸組防火構造
- 防火構造の種類 昭和34年建設省告示第2545号第1に規定するもの
- 認定番号 防火第99号
- 構成材料 厚さ4ミリメートルの石綿セメント板と18ミリメートルの木毛セメント板を張り合せたもの
ここで示されているのは材料の名称ではなく性能で判断するという考え方です。規則に列挙された不燃材料そのものでなくても、建設省告示に基づく防火構造の認定を受けており、構成材料と厚さが明確に特定できるものであれば、同等以上の効力があるものとして扱えます。
照会の書き方も参考になります。商品名・一般名・告示上の位置づけ・認定番号・構成材料と厚さまで具体的に示されています。代替を認めてもらうには、同等性を第三者が検証できる形で提示することが前提になります。
タンクローリー充てん場所の直上部に建築物は認められない

既設一般取扱所であるタンクローリー充てん所の直上部に、次のような建築物を設けることはさしつかえないか、という照会がありました。
- 用途 当該一般取扱所に関する事務のみを行うもので宿直室等はない
- 面積 50平方メートル
- 壁・柱・床は耐火構造とし、床には開口部を設けない
- 出入口および窓は防火戸とする(ガラスを用いる場合は網入とする)
- 事務所への階段は鉄骨とし、一般取扱所の敷地外から設け、防火区画する
- 直上部の床に相当する部分は、防火のため直下部の外壁面から1メートル以上突出す
既設の一般取扱所は、取扱品名が第四類第三石油類(C重油)、取扱最大数量80キロリットル、鉄骨造、面積50平方メートルです。あわせて、この建築物を設けることがさしつかえない場合、直下部の取扱品名が第一石油類や第二石油類についても同様と解してよいか、という点も問われています。
設問の場合は、危険物の取扱いの状況から判断すれば防災上適当でないとされました。第一石油類・第二石油類についての問いも、これにより承知されたいとされています。
注目すべきは、提案された対策自体は相当に厚いという点です。壁・柱・床を耐火構造とし、床に開口部を設けず、階段は敷地外から取り付けて防火区画し、床を1メートル以上突出させています。宿直室もありません。それでも認められませんでした。
判断の理由として挙げられているのは「危険物の取扱いの状況」です。タンクローリーへの充てんは可燃性蒸気が発生する作業であり、その直上に人がいる空間を設けること自体が問題とされています。
注油設備の吐出量は毎分60リットル程度が限度

2,000リットル以下の移動タンク貯蔵所へ注油することが認められて以来、灯油専用の一般取扱所および小口詰替専用の一般取扱所に設ける注油設備の高速化が図られてきました。そこで注油設備の注油速度の範囲について、高速用注油設備は使用を認めない、標準用注油設備および中速用注油設備は使用を認めるという整理でよいか、という照会がなされました。
照会は「高速用」「中速用」「標準用」という製品の呼び名で線を引こうとしています。これに対して回答は毎分60リットル程度という数値で答えている点が重要です。
呼び名はメーカーや時期によって変わりますが、吐出量の数値であれば誰が見ても同じ判断ができます。設備の分類名ではなく実際の性能値で管理するという考え方が示されています。
危険物配管へのサイトグラスの取付けは認められない

危険物の流れの確認および内容物の目視検査を行うため、危険物一般取扱所の配管にサイトグラスを設けることを認めてさしつかえないか、という照会がありました。装置の概要は次のとおりです。
メチルアルコールやアセトン等を含有する廃有機溶媒を、沪紙を設けた真空沪過槽に入れ、配管を通して負圧(約マイナス600ミリメートル水銀柱)により屋内貯蔵タンクに吸引します。この配管の途中にサイトグラスを取り付けて危険物を目視検査するというものです。
- 寸法 呼径40A、フランジ型
- 材質 強化ガラスおよびステンレス鋼
- 最高使用圧力 10キログラム毎平方センチメートル
- 耐圧試験圧力 20キログラム毎平方センチメートル
仕様としては強化ガラスとステンレス鋼を使い、耐圧試験圧力は最高使用圧力の2倍を確保しています。それでも認められませんでした。
配管に求められるのは金属管等の耐熱性を有するものという構造です。ガラスは圧力に耐えても火災時の熱や衝撃で破損する可能性があり、そこが危険物の流出口になります。目視で内容物を確認したいという目的自体は合理的でも、配管の一部をガラスに置き換えることは認められないという整理です。
認められる代替と認められない提案の違い

4つの照会のうち、外壁材料の代替と注油設備の速度は認められ、直上部の建築物とサイトグラスは認められませんでした。提案の丁寧さでは差がないにもかかわらず結論が分かれています。
外壁材料は不燃性という性能を別の構成で確保しており、基準の目的を満たしています。注油設備も吐出量という数値で安全側の限度を設定しています。
一方、直上部の建築物は可燃性蒸気が発生する場所の上に人の空間を作るという状況自体が問題であり、周囲を固めても解消されません。サイトグラスは配管の一部を金属からガラスに替えることそのものが、耐熱性という要求を外しています。
つまり性能を別の手段で満たす提案は通り、要求そのものを外す提案は通らないという整理です。
よくある質問
まとめ
- 一般取扱所の外壁材料は、規則第10条の不燃材料と同等以上の効力があるものとして認定品の使用が認められた事例がある
- タンクローリー充てん所の直上部に事務所を設けることは、耐火構造や防火戸等の対策を講じても防災上適当でない
- 取扱品名が第一石油類や第二石油類の場合も同様に認められない
- 灯油専用および小口詰替専用の一般取扱所の注油設備は、吐出量が毎分60リットル程度が限度
- 危険物配管へのサイトグラスの取付けは、強化ガラスと十分な耐圧性能を備えていても認められない
- 性能を別の手段で満たす提案は通り、要求そのものを外す提案は通らないという線引きがある
対策の量やなくて、何を置き換えようとしてるかで決まるんやな。
そのとおりです。
協議に持っていく前に、その基準が何を守るためのものかを確認しておくと見通しが立ちます。
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第10条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第19条 e-Gov法令検索
- 不燃材の材質について(昭和47年10月31日付け消防予第173号 予防課長から茨城県あて回答)
- タンクローリー充てん場所の直上部に設ける建築物について(昭和49年1月7日付け消防予第6号 予防課長から北海道あて回答)
- 注油設備の注油速度の範囲について(昭和54年1月18日付け消防危第8号 危険物規制課長から秋田県あて回答)
- 危険物配管におけるサイトグラスの使用について(昭和55年11月14日付け消防危第136号 危険物規制課長から大阪府あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)一般取扱所の基準に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




