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運搬容器はどこまでが対象か|荷台のタンクから最大容積の意味とスタンディングパウチまで

倉庫の荷さばき場に並ぶドラム缶とポリ容器と段ボール箱

危険物を運ぶときの入れ物を運搬容器といいます。
トラックの荷台に固定されたタンクは運搬容器なのか。
容器の外に書く品名はどこまで細かく書けばよいのか。
最大容積や最大収容重量とは何を指すのか。
積み重ねられない形の容器にも積み重ね試験が要るのか。
自立するパウチのような新しい容器は認められるのか。
昭和40年から平成10年までの質疑をもとに、運搬容器の基準を解説します。

トラックの荷台に固定したタンクって運搬容器になるん?
第四類やったら220リットル以上は違反になってまうやん。

そこは切り分けられています。
設問のタンクは政令第28条に定める運搬容器に該当しないとされました。かわりに火災予防条例に定める少量危険物の移動タンク車としての規制を受けます。

ほな自立するパウチみたいな新しい容器は?
ドラム缶とか一斗缶しかあかんのやと思てたわ。

動植物油を収納する多層フィルムのスタンディングパウチについて、告示に規定する耐油性の容器に該当するかという照会があり差し支えないとされました。
1.2メートルからの落下試験が決め手です。5件まとめて解説します!

この記事の結論
  • 自動車等の荷台などに固定された危険物の貯蔵タンクは危険物の規制に関する政令第28条に定める運搬容器に該当しない
  • 指定数量未満の危険物を収納するタンクローリーは火災予防条例準則に定める少量危険物の移動タンク車としての規制を受ける
  • 運搬容器の外部に表示する品名は塩素酸塩類含有物のように含有物という書き方で差し支えない
  • 同じ品名に属する物品であっても令別表第3に掲げる性質を異にする場合に書き分けて表示する必要はない
  • 最大容積は当該容器の内容積と解してよく最大収容重量についてもお見込みのとおりとされた
  • 不活性の緩衝材とは収納する危険物と反応を起こさない緩衝材をいう
  • 積み重ねて積載することができない形状である灯油用ポリエチレンかんは積み重ね試験を実施しないこととして差し支えない
  • 動植物油を収納する多層フィルムのスタンディングパウチは耐油性の容器に該当すると解して差し支えない

荷台に固定されたタンクは運搬容器ではなく移動タンク車として扱う

荷台に固定されたタンクと別に置かれたドラム缶

富山県の総務部長から、指定数量以下のタンクローリーの取り扱いについての照会がありました。重油1,800リットル等を運ぶ小型のタンクローリーを想定した問いです。

照会の中心は、自動車等の荷台などに固定された危険物の貯蔵タンクは危険物の規制に関する政令第28条に規定する運搬容器に該当するかという点でした。そのうえで2つの読み方の困りごとが並べられています。

  • 該当するとした場合は、第四類危険物に関しては220リットル以上の容器(タンク)は運搬容器に違反することになる(ただし指定数量以下のもの)
  • 該当しないとした場合は、指定数量以下のこれらの容器(タンク)については、その材質、構造、最大容積等は運搬基準の適用を受けない(火災予防条例においても充分な規制はない)

さらに注記として、近時重油燃料の一般化にともない、小企業場や一般家庭に運搬する指定数量以下のタンクローリーが出回るものと考えられるので、全国的な基準として移動タンク貯蔵所に準じたなんらかの指導基準を通達されるようお願いします、という要望が添えられていました。

回答は、設問のタンクは政令第28条に定める運搬容器に該当しないです。
そのうえで、指定数量未満の危険物を収納するタンクローリーは、火災予防条例(準則)に定める少量危険物の移動タンク車としての規制を受けるとされました。
穴があくことを見越して受け皿が示されています
さらに、火災予防条例準則に移動タンク車に関する基準が定められるまでの間は、その構造および設備については政令第15条に定める移動タンク貯蔵所の構造および設備の基準に準じたものとするよう指導されたいと続きます。
照会側が心配していた「規制の空白ができる」という点に、条例と暫定の指導基準という二段構えで答えた形です。

運搬容器に表示する品名は含有物という書き方でよい

運搬容器の側面に付けた品名の表示板

平成元年の執務資料に、危険物の規制に関する規則第44条第1項第1号に関する質疑があります。
同号の規定に基づいて運搬容器の外部に危険物の品名を表示する場合、複数の品名の物品を含有するものはどのように表示すればよいか、という問いです。

  • 塩素酸塩類を含有するもの
  • 塩素酸塩類および硝酸塩類を含有するもの
  • 塩素酸塩類およびクロム、鉛またはよう素の酸化物(クロムの酸化物)を含有するもの
  • アルカリ金属およびアルカリ土類金属(アルカリ金属)ならびにカルシウムまたはアルミニウムの炭化物(炭化カルシウム)を含有するもの

あわせて、同じ品名に属する物品であっても、令別表第3に掲げる性質を異にする場合は書き分けて表示すべきか、という問いが添えられていました。

回答は、次のように表示して差し支えないです。順に塩素酸塩類含有物塩素酸塩類及び硝酸塩類含有物塩素酸塩類及びクロムの酸化物含有物アルカリ金属及びカルシウムの炭化物含有物とされました。
もう1つの問いには必要はない、つまり性質を異にする場合でも書き分けは不要です。
実際に入っている物質名まで書き下ろす形が示されました
括弧書きで例示されていた「クロム、鉛又はよう素の酸化物」は、そのまま書くのではなくクロムの酸化物と実物に合わせて書きます。表示は分類名を写すためではなく、中に何が入っているかを伝えるためのものだという整理です。

最大容積は内容積を指し不活性の緩衝材は反応しないものをいう

外装容器に内装容器と緩衝材を収めた断面

平成2年の執務資料には、危険物の規制に関する規則別表第3および別表第3の2に関する質疑があります。運搬容器の表に出てくる用語の意味を確かめる問いです。

1つめは、運搬容器の最大容積とは当該容器の内容積と解してよいか、というものでした。あわせて最大収容重量について、内装容器または危険物を直接収納する外装容器にあっては収納基準に従って収納された場合の収納危険物の最大重量と、内装容器と外装容器との組合せによる場合の外装容器にあっては外装容器に収納される内装容器の重量と収納危険物の重量とを合算した最大重量と解してよいか、と問われています。

回答は前段、後段ともお見込みのとおりです。
組合せのときは容器の重さも数に入ります
内装容器を外装容器に入れて運ぶ場合、外装容器が支えているのは中身だけではありません。内側の容器そのものの重さも一緒に支えています。だから内装容器の重量と収納危険物の重量とを合算した最大重量で見るという整理です。
2つめの問いは、規則別表第3および別表第3の2に規定する不活性の緩衝材とは、収納する危険物と反応を起こさない緩衝材をいうと解してよいか、というものでした。回答はお見込みのとおりです。
不活性という言葉が、燃えにくいことではなく中身と反応しないことを指すと確認されています。

積み重ねられない形状の容器には積み重ね試験を課さなくてよい

積み重ねられない形状のポリエチレンかんと積み重ね試験の重り

同じ平成2年の執務資料に、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第68条の5に関する質疑があります。
積み重ねて積載することができない形状である灯油用ポリエチレンかん(日本工業規格Z1710)について性能確認を行おうとする場合、告示第68条の5第5項に規定する積み重ね試験を実施しないこととして差し支えないか、という問いです。

回答は差し支えないです。
できない状態を試す意味はないという判断です
積み重ね試験は、容器を積み上げたときに下の容器がつぶれないことを確かめるものです。肩が斜めになっていて上に別の缶を載せられない形なら、その状態は起こりません。
試験項目を機械的に全部課すのではなく、その容器で実際に起こりうる状態かどうかで判断されています。

関連して、平成2年3月の執務資料には告示第68条の2の2に関する質疑もあります。第2類の危険物のうち合成樹脂類に可燃性の液体を浸潤させた引火性固体(引火点が21度以上のもの)であって、折りたたんだ状態としたものおよびシート状としたものは、告示第68条の2の2第2号に規定する巻状としたものに該当すると解してよいか、という問いです。

回答はお見込みのとおりです。
巻状という言葉を字義どおりに読めば、折りたたんだものもシート状のものも外れてしまいます。しかし同じ性質のものを形の違いだけで分けないという読み方が示されました。
前のH2の積み重ね試験と同じで、条文の言葉より実態で判断するという姿勢が共通しています。

スタンディングパウチも落下試験を満たせば耐油性の容器になる

自立するパウチ容器と落下試験

平成10年の執務資料に、運搬容器関係として印象的な質疑があります。
動植物油を収納するための多層フィルムをパウチした容器(スタンディングパウチ)は、告示第68条の2の2第3号に規定する耐油性の容器に該当するか、という問いです。

  • 側面の材質 ポリエステル、エバール、ナイロン、ポリエチレン(ポリエチレン側が内側)の順で積層された4層フィルム
  • 底面材の材質 ナイロン、エバール、ポリエチレン(ポリエチレン側が内側)の順で積層された3層フィルム
  • 強度 最大容積の荷重状態において1.2メートルの高さからコンクリート床に落下させる試験において内容物が漏えいしないものである

照会にはさらに念入りな説明が付いています。当該落下試験は、平成2年10月31日付け消防危第105号中の告示第68条の2の2関係において回答されている耐油性の容器のうち、板紙箱(内側プラスチック袋付き)および板紙箱(プラスチック加工紙製)に課せられているものと同一である、というものです。

回答は差し支えないです。
すでに認められた容器と同じ試験を通したことが決め手です
フィルムを何層重ねたかという材料の説明だけでは、どこまでなら足りるのかを判断する物差しがありません。そこで照会側は、すでに耐油性の容器と認められている板紙箱に課されている落下試験と同一の試験を持ち出しました。
この記事のシリーズで繰り返し出てきた「規則が認めている材料と同じ試験で数値を並べる」という型が、ここでも使われています。
なお、耐油性の容器がどのような容器をいうのかについては、平成11年9月30日付け消防危第92号でもあらためて問われています。

よくある質問

Q. トラックの荷台に固定したタンクは運搬容器になりますか?
自動車等の荷台などに固定された危険物の貯蔵タンクは、危険物の規制に関する政令第28条に定める運搬容器に該当しないとされました。指定数量未満の危険物を収納するタンクローリーは火災予防条例(準則)に定める少量危険物の移動タンク車としての規制を受け、準則に基準が定められるまでの間は政令第15条の移動タンク貯蔵所の構造および設備の基準に準じたものとするよう指導されています。
Q. 複数の品名を含む危険物は容器にどう表示しますか?
塩素酸塩類含有物、塩素酸塩類及び硝酸塩類含有物、塩素酸塩類及びクロムの酸化物含有物、アルカリ金属及びカルシウムの炭化物含有物のように表示して差し支えないとされました。また同じ品名に属する物品であっても、令別表第3に掲げる性質を異にする場合に書き分けて表示する必要はありません。
Q. 積み重ねられない形の容器にも積み重ね試験は必要ですか?
積み重ねて積載することができない形状である灯油用ポリエチレンかん(日本工業規格Z1710)について、告示第68条の5第5項に規定する積み重ね試験を実施しないこととして差し支えないとされました。
Q. 自立するパウチ容器は運搬容器として認められますか?
動植物油を収納するための多層フィルムをパウチした容器(スタンディングパウチ)について、告示第68条の2の2第3号に規定する耐油性の容器に該当するかという照会に差し支えないとされました。最大容積の荷重状態において1.2メートルの高さからコンクリート床に落下させる試験において内容物が漏えいしないことが示されています。

まとめ

  • 自動車等の荷台などに固定された危険物の貯蔵タンクは、政令第28条に定める運搬容器に該当しない
  • 指定数量未満の危険物を収納するタンクローリーは、火災予防条例(準則)に定める少量危険物の移動タンク車としての規制を受ける
  • 準則に移動タンク車の基準が定められるまでの間は、政令第15条の移動タンク貯蔵所の構造および設備の基準に準じたものとするよう指導されたい
  • 運搬容器の外部に表示する品名は、塩素酸塩類含有物のように含有物という書き方で差し支えない
  • 同じ品名に属する物品でも、令別表第3に掲げる性質を異にする場合に書き分けて表示する必要はない
  • 最大容積は当該容器の内容積を指し、不活性の緩衝材とは収納する危険物と反応を起こさない緩衝材をいう
  • 積み重ねて積載することができない形状である灯油用ポリエチレンかんは、積み重ね試験を実施しないこととして差し支えない
  • 動植物油を収納する多層フィルムのスタンディングパウチは、耐油性の容器に該当すると解して差し支えない

言葉どおりに読むんやのうて、実際に起こるかどうかで見るんやな。

運搬容器の質疑はその傾向がはっきりしています。
積み重ねられない形なら積み重ね試験は課さず、巻状という言葉も折りたたみやシート状を含めて読む、という具合です。

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第15条・第28条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第39条の3・第44条・別表第3・別表第3の2 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第68条の2の2・第68条の5 e-Gov法令検索
  • 指定数量以下のタンクローリーの取り扱いについて(昭和40年3月22日付け消防予第42号 予防課長から富山県総務部長あて回答)
  • 危険物規制事務に関する執務資料(給油取扱所を除く)の送付について(平成元年7月4日付け消防危第64号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて回答)規則第44条第1項第1号関係
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成2年3月31日付け消防危第28号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて回答)告示第68条の2の2関係
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成2年5月22日付け消防危第57号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて回答)規則別表第3及び別表第3の2関係・告示第68条の5関係
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成2年10月31日付け消防危第105号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)告示第68条の2の2関係
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成10年10月13日付け消防危第90号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)別紙7 運搬容器関係(則第39条の3関係)
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成11年9月30日付け消防危第92号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)容器関係(則第39条の3関係)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)運搬容器に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

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