消防設備士の免状は違反行為を重ねると返納命令の対象になります。
その運用は消防庁が示した消防設備士免状の返納命令に関する運用基準で定められており、違反の種別ごとに点数が決められています。
とはいえ何をどう数えるのか、どの時点から数えるのかは条文だけでは分かりません。
この記事では違反点数の数え方と免状の携帯義務の範囲を通達の質疑応答に沿って整理します。
違反点数ってどんだけ溜まったら免状取り上げられるんや。
質疑応答の例では20点で免状返納命令に該当し、18点なら違反事項通知に止まると示されています。
どの日を起算日にするかで結果が変わります。
免状を持ち歩くんは工事のときだけでええんちゃうんか。
そこが誤解の多いところです。
携帯義務の範囲は工事や整備にとどまらず消防設備士の名で行う業務すべてを含むとされています。この記事でまとめて解説します!
- 違反点数の起算日は継続する性質の違反行為でないかぎり違反行為日とする
- 免状の携帯義務違反における業務の範囲は消防用設備等の点検等消防設備士の名において行う業務すべてを含む
- 設置工事着手届出義務違反の違反点数は甲種乙種を問わずすべての免状の種類等ごとに計上する
- 検定表示のない機械器具等が複数ある場合は違反行為が同時に複数行われたものとして基礎点数を合計する
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目次
違反点数の起算日は原則として違反行為のなされた日になる

平成5年4月28日付け消防予第135号は、消防設備士免状の返納命令に関する運用基準に係る執務参考資料の送付についての質疑応答です。
措置点数の算定にあたっては当該違反行為および当該違反行為のなされた日を起算日とするとされていますが、違反を覚知した日が違反行為日から長期間経過している場合などが問われました。
違反行為のなされた日の特定が困難な場合については事例に応じ違反行為がなされた蓋然性のもっとも高い日を特定しその日を起算日とするとされています。
質疑応答には具体的な数値例も示されています。
異なる日になされた違反行為が別の時点で覚知され措置する場合について、Dを起算日とすると20点で免状返納命令に該当し、Eを起算日とすると18点で違反事項通知に止まるという例です。
同一人につき同時に違反行為が2以上ある場合は最初に違反のなされた日を起算日とするとされています。
免状の携帯義務は消防設備士の名で行う業務すべてに及ぶ

違反行為の種別には消防設備士免状の携帯義務違反があります。
ここで問われたのは業務の範囲は消防法第17条の5に基づく業務すなわち消防用設備等の工事又は整備に従事する場合に限定するのかという点でした。
点検のときも携帯が必要です。
工事や整備の場面だけを想定していると、点検で現場に入るときに免状を置いてきてしまうことがあります。
消防設備士の名において行う業務であれば携帯義務がかかるという整理なので、点検も対象に含まれます。
なお消防設備士の指導監督のもとで無資格者に工事や整備をさせる場合について、同じ質疑応答では消防設備士の指導監督の下に工事又は整備を行うのであれば必ずしも常駐する必要はないとされています。
着工届出義務違反はすべての免状の種類等ごとに点数が計上される

違反行為の種別には消防用設備等の設置工事着手届出義務違反もあります。事実と異なる届出も含まれます。
照会ではこの履行業務は甲種消防設備士であり消防法第44条第6号を担保とした身分犯として捉えるならば違反点数は甲種消防設備士免状を保有する者に計上すべきかと問われました。
乙種の免状にも点数が付きます。
着工届は甲種消防設備士が行う手続きですが、点数の計上は保有している免状の種類ごとに行われるという扱いです。
複数の類の免状を持っている場合は、その分だけ影響が及ぶことになります。
また届出の内容についても照会があり、消防法施行規則第33条の18に定める要式行為に対する違反行為については当該違反により消防法第17条の14の趣旨を全うすることができないと判断される事例において違反点数を計上することとして差し支えないとされています。
検定表示のない機器は整備で使っても違反となり件数分が合計される

違反行為の種別には個別検定に合格した旨の表示のない検定対象機械器具等の工事への使用禁止違反があります。
照会ではまず整備での使用も該当するのかが問われました。例として個別検定に合格した定温式スポット型感知器を検定表示のない特種の感知器に交換する整備の場合が挙げられています。
整備でも違反になります。
次に検定表示のない機械器具等が複数あった場合の数え方が問われました。
照会では検定表示のない閉鎖型スプリンクラーヘッドと緩降機を設置工事に使用した場合の違反点数の算定は14点となりうるかとされ、基礎点数7点に違反行為2件を乗じた計算が示されています。
当該違反行為が同時に複数行われたものとして基礎点数を合計するという考え方になります。
点検資格者の免状も持つ場合はどちらの名で点検したかで判断される

消防設備士免状と消防設備点検資格者免状の二つを持っている人が法令違反の点検を行ったとき、どちらを返納させることになるのかも問われています。
どちらの資格の名において実施したか不明である場合は反証のない限り両方返納することも差し支えないとされています。
保有する消防設備士免状の指定区分以外の点検を点検資格者の資格で実施した場合についても照会があり、同じ三つの書類で判断したうえで点検資格者の資格で実施したものと認められるので原則として消防設備士の違反点数は計上しないとされています。
契約書や点検結果報告書、点検済票の記載がそのまま資格の使い分けの証拠になるということです。
よくある質問
まとめ
- 措置点数の起算日は継続する性質の違反行為でないかぎり違反行為日とする
- 違反行為のなされた日の特定が困難な場合は蓋然性のもっとも高い日を特定しその日を起算日とする
- 同一人につき同時に違反行為が2以上ある場合は最初に違反のなされた日を起算日とする
- 消防設備士免状の携帯義務における業務の範囲は消防設備士の名において行う業務すべてを含む
- 設置工事着手届出義務違反の違反点数は甲種乙種を問わずすべての免状の種類等ごとに計上する
- 個別検定に合格した旨の表示のない検定対象機械器具等の使用禁止違反は整備での使用も該当する
- 検定表示のない機械器具等が複数ある場合は同時に複数行われたものとして基礎点数を合計する
- 消防設備士免状と消防設備点検資格者免状の両方を持つ場合は契約と点検結果報告書と点検済票で判断する
点検のときも免状を持っとかなあかんのやな。車に置きっぱなしはあかんわ。
そのとおりです。
違反点数はどれも、書類にどう残っているかで判断されます。契約と報告書と点検済票の記載を揃えておくことが結局いちばんの備えになります。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の5・第17条の14・第44条 e-Gov法令検索
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第33条の18 e-Gov法令検索
- 消防設備士免状の返納命令に関する運用基準に係る執務参考資料の送付について(平成5年4月28日付け消防予第135号 予防課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防設備士免状の返納命令に関する運用基準 執務参考資料(平成4年7月 消防庁予防課)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の消防設備士に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




