消防用設備等の工事や整備は消防設備士でなければ行えません。
とはいえ現場では複数人で作業しますし、有資格者が一日中その場に張り付いていられるとは限りません。
免状の講習を受けそびれたときに工事ができなくなるのか、という不安もよく聞きます。
この記事では消防設備士の指導監督と資格をめぐる実務の扱いを消防庁の通達に沿って整理します。
消防設備士って作業してる間ずっと現場におらなあかんのか。それやと人が足らんわ。
その必要はありません。
昭和52年10月3日付け消防予第183号で、指導監督は実質的になされればよく常時現場にいなければならないものではないとされています。
ほな講習を受けそびれたらどうなるんや。工事も整備もできんようになるんか。
そこも整理されています。
受講していないことだけで直ちにできなくなるわけではなく、返納命令が発せられた時点で資格を失うという仕組みです。この記事でまとめて解説します!
- 消防用設備等の工事又は整備は消防設備士の指導監督の下に作業がなされるものであればさしつかえない
- その指導監督は実質的になされればよいものであって必ずしも常時現場にいなければならないものではない
- 消防設備士の指導監督下に工事又は整備を行うのであれば無資格者が従事しても消防法第17条の5には違反しない
- 講習を受講していないことだけを理由に直ちに工事又は整備ができなくなるという解釈は採れない
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目次
指導監督は実質的になされればよく常時現場にいる必要はない

昭和52年10月3日付け消防予第183号は、消防用設備等の工事または整備をおこなう場合の従事員についての照会です。
問われたのは消防法施行令第36条の2に定められた消防用設備等の工事または整備を施行する場合は、これらに従事する者のうち1名以上の適する消防設備士が作業単位に居ればよいと解してよいかという点でした。
そのうえでなお、指導監督は実質的になされればよいものであって、必ずしも常時現場にいなければならないものではないと付け加えられています。
張り付いている必要はありません。
この回答の要点は人数や在席時間ではなく指導監督が実質的に機能しているかに置かれている点です。
作業単位ごとに何名という数え方ではなく、その工事や整備が有資格者の管理のもとで行われているといえるかで判断されることになります。
無資格者が補助的業務に従事しても指導監督下なら違反にならない

同じ照会の二つめは無資格者の関わり方についてです。
消防設備士のもとで、消防法施行令第36条の2に定められた消防用設備等の工事または整備に消防設備士無資格者が従事した場合においては、消防設備士の補助的業務に従事しているもので消防法第17条の5には違反しないと解してよいかという問いでした。
指導監督下であることが条件です。
逆にいえば、指導監督が及んでいない状態で無資格者だけが工事や整備を行えば違反になるということでもあります。
現場では有資格者と補助者が組んで作業するのが通常です。
その体制が認められる根拠がここにあり、同時に指導監督が形だけになっていないかという点が問われる根拠にもなっています。
講習を受けていないだけで工事や整備ができなくなるわけではない

昭和52年10月24日付け消防予第201号は消防設備士免状についての照会です。
交付を受けた日から2年以内に法第17条の8の2に規定する講習を受講していない消防設備士免状の所有者は、法第17条の11の規定により携帯していても法第17条の5に規定する工事又は整備はできないと解するかという問いが出されました。
受講していないだけでは失格しません。
講習の受講義務と、工事又は整備を行える資格があるかどうかは、直接には結び付いていないという整理です。
もちろん講習は受けなければならないものであり、受けなくてよいという話ではありません。
実際、照会の中では講習を受講していない免状所有者に対する救済について問われ、当該規定に基づく講習を行う都道府県を紹介する等、最も近い将来の講習を受けるよう指導されたいとされています。
返納命令を発した時点で資格を失い実際に返納したかは関係ない

では資格を失うのはどの時点か、という点も同じ回答の中で示されています。
照会では免状所有者の住所が不明であるので、実際に返納命令ができない場合が多いという実情も述べられていました。
命令を発した時点で資格を失います。
免状という物が手元にあるかどうかと資格の有無は別という考え方です。
返納の手続きが物理的に進まない場合でも、命令が発せられていれば資格は失われているという整理になります。
卒業した学科が要件に当てはまるかは個別に判断される

受験資格についても具体的な判断が示されています。
昭和52年10月24日付け消防予第200号では高等学校の農業機械科を卒業した者を消防法第17条の8第3項第1号に規定する機械に関する学科を修めた者とみなしてよいかという照会が出されました。
学科名に機械とあっても当然には通りません。
同じ時期の別の照会でも、自動車科を修めて卒業した者を機械、電気、工業化学又は建築に関する学科を修めて卒業した者として認めてよいかという問いに対し、認められないとされています。
学科の名称に機械という語が含まれていても、それだけで要件を満たすとは限らないということです。
受験を予定している場合は、学則や履修内容まで含めて事前に確認しておくのが確実です。
よくある質問
まとめ
- 消防法施行令第36条の2に定める消防用設備等の工事又は整備は消防設備士の指導監督の下に作業がなされるものであればさしつかえない
- 指導監督は実質的になされればよいものであって必ずしも常時現場にいなければならないものではない
- 消防設備士の指導監督下に工事又は整備を行うのであれば無資格者が従事しても消防法第17条の5には違反しない
- 交付を受けた日から2年以内に講習を受講していないことだけを理由に工事又は整備ができないという解釈は採れない
- 講習を受けていない者に対しては講習を行う都道府県を紹介する等、最も近い将来の講習を受けるよう指導することとされている
- 返納命令を発した場合には直ちに消防設備士の資格を失い現実に免状が返納されたか否かは資格の有無とは関係ない
- 高等学校の農業機械科の卒業は機械に関する学科を修めた者とみなすことはできず自動車科も認められない
張り付かんでもええけど、名前だけの監督はあかんっちゅうことやな。
そのとおりです。
資格の話はどれも、書面や在席といった形ではなく実質で判断するという一点で通っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第13条の2・第17条の5・第17条の7・第17条の8・第17条の11 e-Gov法令検索
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第36条の2 e-Gov法令検索
- 消防用設備等の工事または整備をおこなう場合の従事員について(昭和52年10月3日付け消防予第183号 予防救急課長から日本国有鉄道東京南鉄道管理局長あて回答)
- 消防設備士試験にかかる受験資格について(昭和52年10月24日付け消防予第200号 予防救急課長から愛媛県生活環境部長あて回答)
- 消防設備士免状について(昭和52年10月24日付け消防予第201号 予防救急課長から愛媛県生活環境部長あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の消防設備士に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




