甲種消防設備士の受験資格は消防法第17条の8第3項に定められています。
とはいえ自分の資格や学歴がそこに当てはまるのかどうか、条文を読んだだけでは判断しづらい場面が多くあります。
消防庁にはこの点を問う照会が数多く寄せられ、そのつど個別の判断が示されてきました。
この記事では甲種消防設備士の受験資格をめぐる通達の扱いを整理します。
甲種消防設備士って結局だれが受けられるんや。持ってる資格で通るんちゃうんか。
通る資格もあれば通らない資格もあります。
管工事施工管理技士や建築士は認められる一方で、認められないと明示された資格もあります。
ほな学校を出てるだけではあかんのか。学科の名前で決まるんとちゃうんか。
学科の名前ではなく修めた単位の中身で判断されます。
専修学校や各種学校でも要件を満たせば認められます。この記事でまとめて解説します!
- 建設業法の技術検定のうち管工事施工管理部門の1級および2級に合格した者は甲種消防設備士の受験資格がある
- 建築士法第2条で定める1級建築士および2級建築士は消防法第17条の8第3項第3号に該当するものとして認めてさしつかえない
- 電気工事技術者検定合格証書を受けている者は電気工事士と同等とみなされているので資格があると認められる
- 専修学校や各種学校でも機械電気工業化学土木建築または設備に関する学科を15単位以上修めた者であれば受験資格がある
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目次
管工事施工管理技士と建築士は甲種の受験資格が認められる

昭和53年9月9日付け消防予第179号は甲種消防設備士の受験資格についての照会です。
問われたのは建設業法第27条に規定する技術検定のうち管工事施工管理部門の1級および2級の検定に合格しているものは甲種消防設備士の受験資格があるかという点でした。
管工事施工管理技士は通ります。
建築士についても同様の照会があります。
昭和57年4月13日付け消防予第84号では建築士法第2条で定める1級建築士および2級建築士は消防法第17条の8第3項第3号の規定に該当するものとして認めてさしつかえないかと問われました。
いずれも建築設備や配管の設計施工に携わる国家資格である点が共通しています。
つまり消防用設備等そのものの資格でなくても、隣接する分野の国家資格であれば受験資格として認められる場合があるということです。
自分の持っている資格が該当するかどうかは、受験する都道府県の消防試験研究センター支部に事前確認しておくと確実です。
電気工事士は認められるが電話回線の工事担当者は認められない

昭和54年6月22日付け消防予第118号では、二つの資格を並べて可否が問われました。
一つは公衆電気通信設備工事担当者認定書を受けている者、もう一つは電気工事技術者検定合格証書を受けている者です。
理由はその業務内容が電話回線の配線をもっぱら行う者であるためとされています。
電気工事士は通ります。
同じ電気に関わる資格でも判断が分かれた形です。
分けているのは資格の名称ではなくその資格で行う業務の中身であり、消防用設備等の工事や整備に通じる技術かどうかが見られています。
専修学校や各種学校でも指定の学科を15単位以上修めていれば認められる

学歴による受験資格については、学校の種別ごとに判断が示されています。
昭和53年9月9日付け消防予第179号では、専門学校や学院の電子機械科や電機工学科などの卒業者について受験資格を認めてよいかと問われました。
昭和54年6月22日付け消防予第118号でも、専門学校の電気電子工学科や環境設備学科、建築学科および土木工学科の卒業者について同じ判断が示されました。
こちらでも専修学校に該当しているので該当者が当該学校で機械電気工業化学土木建築または設備に関する学科を15単位以上修めた者であれば受験資格があるとされています。
見られているのは学校の格ではなく学校教育法上の位置づけと修めた単位数です。
学科の名称ではなく修めた単位の中身で判断される

単位の中身で判断されることは、一見すると意外な結論の照会からも読み取れます。
昭和53年9月9日付け消防予第179号では水産高校無線通信科は甲種消防設備士の受験資格はあるかと問われました。あわせて電気通信理論12単位や無線通信8単位など、電気に関する学科の単位数が示されています。
学科名が水産でも通りました。
防衛大学校についても照会があります。
昭和55年3月12日付け消防予第37号では理工学研究科の電子工学を修業した者について問われ、消防設備士試験等の実施基準の制定について(昭和41年5月17日付け自消丙予発第63号)に定める単位数以上を修めた者であれば規則第33条の8第5号に規定する者として取扱ってさしつかえないとされました。
訓練課程の修了は別扱いです。
学科名が近いから通る、遠いから通らないという話ではありません。
条文のどの号に当てはめるのかとその号が求める単位数を満たしているかという順で見るのが実際の判断のしかたです。
消防用設備等に係る事務に3年以上従事した消防職員も認められる

実務経験による受験資格については消防職員に関する照会があります。
昭和54年6月22日付け消防予第118号では甲種消防設備士試験の受験資格として消防用設備等に係る事務に従事している消防職員を認めてさしつかえないかと問われました。
消防職員なら誰でもではありません。
消防職員であることではなく、消防用設備等に係る事務に3年以上従事したことが条件になっています。
同じ消防行政の中でも担当してきた業務によって扱いが変わるということです。
なお国籍による制限については昭和57年12月6日付け消防予第250号があり、外国人についても受験資格があれば受験できるとされています。
試験の合格者が出国している場合であっても免状の交付は行ってさしつかえないとされ、免状の氏名や本籍現住所の記載方法まで具体的に示されています。
よくある質問
まとめ
- 建設業法第27条の技術検定のうち管工事施工管理部門の1級および2級の合格者は甲種消防設備士の受験資格がある
- 建築士法第2条で定める1級建築士および2級建築士は消防法第17条の8第3項第3号に該当するものと認めてさしつかえない
- 公衆電気通信設備工事担当者認定書は電話回線の配線をもっぱら行う者であるため資格があると認められない
- 電気工事技術者検定合格証書は電気工事士と同等とみなされているので資格があると認められる
- 専修学校や各種学校でも機械電気工業化学土木建築または設備に関する学科を15単位以上修めた者であれば受験資格がある
- 水産高校無線通信科は電気に関する学科を修めて卒業した者として受験資格があるが職業訓練法の配管科の修了は認められない
- 消防用設備等に係る事務に関し3年以上の実務経験を有する消防職員は受験資格を認めてさしつかえない
- 外国人についても受験資格があれば受験でき合格者が出国している場合でも免状の交付は行ってさしつかえない
資格の名前で決まるんやのうて、中身で見られてるっちゅうことやな。
そのとおりです。
受験を考えている方は、手持ちの資格や履修した単位を書き出したうえで申請先に確認するのが確実です。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の8 e-Gov法令検索
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第33条の8 e-Gov法令検索
- 建設業法(昭和24年法律第100号)第27条 e-Gov法令検索
- 建築士法(昭和25年法律第202号)第2条 e-Gov法令検索
- 学校教育法(昭和22年法律第26号)第82条の2・第83条 e-Gov法令検索
- 消防設備士(昭和53年9月9日付け消防予第179号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 甲種消防設備士試験の受験資格について(昭和54年6月22日付け消防予第118号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防設備士試験の受験資格について(昭和55年3月12日付け消防予第37号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防設備士試験の受験資格について(昭和57年4月13日付け消防予第84号 予防救急課長から京都府総務部長あて回答)
- 外国人に対する消防設備士免状の交付等について(昭和57年12月6日付け消防予第250号 予防救急課長から北海道総務部長あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の消防設備士に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




