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冷却散水設備で空地を緩和できるか|半周でよい範囲と予備動力源の考え方

大小のタンクと散水設備を備えたタンクヤードの写真と散水設備で空地を緩和の文字

昭和51年の規則改正で、隣り合う屋外タンクの間に必要な空地の幅が広がりました。
すでに建っているタンクは動かせません。そこで用意されたのが冷却用散水設備という道です。
では散水設備はタンクの全周に必要なのか、予備動力源はどこまで求められるのか。
この記事では冷却散水設備による空地の緩和を消防庁の質疑応答に沿って整理します。

改正で空地がになってもうた。既設のタンクは動かせへんで。

散水設備を設ける道があります。
しかも全周は要りません。回答は相対する面の半周に設置すれば足りるとしました。

ほな予備動力源はどないや。発電機をもう一台か。

そこも柔軟です。
発電設備と受電設備があり一方が止まつても動力源は確保できるのであればさしつかえないとされました。この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 昭和51年6月15日付け自治省令第18号の改正でタンク相互間の空地が14.84メートルから29.68メートル以上に変わった事例が示された
  • 附則により昭和56年6月30日までの間に新規則の空地の幅を確保するか冷却用散水設備等を設けることとされた
  • 冷却用散水設備は3,000キロリットルタンクに相対する面の半周に設置すれば足りる
  • 予備動力源は発電設備と受電設備ならびに送電設備とがあり一方が止まっても動力源は確保できるのであればさしつかえない
  • フェノール樹脂を材質とする保温施設の施工もさしつかえない

改正でタンク相互間の空地が倍近くに広がった

大小二つのタンクの間隔が改正前後で広がることを示した平面図のイラスト

昭和51年12月14日付け消防危第115号は、福岡県からの照会に答えたものです。
規則の改正によって、既設のタンクが基準に合わなくなった場面です。

照会は昭和51年6月15日付け自治省令第18号による規則改正前に許可を受けている屋外タンク貯蔵所2基(貯蔵危険物の引火点は2基とも70度以上200度未満で最大貯蔵容量は30,000キロリットル(直径は44.51メートル)と3,000キロリットル)が相互に隣接して設置している場合のタンク相互間の空地は14.84メートル確保しておれば基準適合の屋外タンク貯蔵所であつたが、新規則でタンク相互間は29.68メートル以上確保しなければならなくなりましたと述べています。

必要な空地の幅が14.84メートルから29.68メートル以上へ、ちょうど倍になりました。
すでに建っているタンクの間隔は変わりませんから、そのままでは基準に合いません。

規則の改正は、こうして既存の施設に宿題を残すことがあります。
既設に宿題が残ります

附則で猶予期間内に空地か散水設備かを選ぶことになった

カレンダーの上を矢印が進みタンクが移動する様子のイラスト

改正には、既存の施設のための経過措置が置かれていました。
照会はその内容も具体的に述べています。

照会は前記の30,000キロリットルの屋外タンク貯蔵所があるため昭和51年6月15日付け自治省令第18号の附則3により昭和56年6月30日までの間に新規則の空地の幅を確保するか。又は同附則4により30,000キロリットルの屋外タンク貯蔵所に冷却用散水設備等を昭和56年6月30日までの間に設けなければならなくなりましたと述べています。

選べる道は二つでした。
空地の幅を確保するか、冷却用散水設備等を設けるかです。

照会側はタンクの移設は諸般の理由により困難であるとして、散水設備を設けて現状の位置でタンクを維持する道を選びました。
そのうえで、二つの点について取扱いを尋ねています。

散水設備は相対する面の半周に設置すれば足りる

大きなタンクの隣に面する半周だけに散水ノズルが並ぶ平面図に緑のチェックマークが添えられたイラスト

一つめの問いが、この回答でもっとも費用に効く部分です。
散水設備をタンクのどこに設けるかという問題です。

照会は昭和51年6月15日付け自治省令第18号の附則4により、30,000キロリットルの屋外タンク貯蔵所に冷却用散水設備を設置する場合は、タンク円周か、又は、3,000キロリットルに相対する面の半周(180度)かと尋ねました。
回答は1 3,000キロリットルタンクに相対する面の半周に設置すれば足りるです。

直径44.51メートルのタンクの全周に散水設備を設けるのと、半周だけとでは、費用も水量もまるで違います。
散水設備は隣のタンクからの熱を防ぐためのものなので、向き合っている側にあれば足りるという整理です。

逆にいえば、相手がいない側には求められません。
向き合う側だけです

予備動力源は系統が分かれていれば足りる

発電設備と受電設備の二系統が一つのポンプにつながり緑のチェックマークが添えられたイラスト

二つめの問いは、散水設備を動かす電源についてです。
運用通達により、常用電源のほかに予備動力源が必要とされていました。

照会は冷却用散水設備には常用電源のほか予備動力源の設置(昭和51年1月16日付け消防第4号による運用通達)が必要となつておりますが、発電所においては、発電設備と受電設備(受電線)ならびに送電設備(送電線)とがあり一方が止まつても動力源は確保できるので予備動力源の設置があるものと考えてよいかと尋ねています。
回答は2 さしつかえないです。

予備動力源というと、専用の発電機を追加で置くことを思い浮かべます。
しかし発電所のようにもともと複数の系統がある施設では、それをもって予備動力源があるとみてよいとされました。

求められているのは装置の数ではなく、一方が止まっても動力源は確保できるという状態です。
状態で判断されます

フェノール樹脂による保温施設の施工もさしつかえない

タンク壁の内側の蛇管と外側の保温層の断面に緑のチェックマークが添えられたイラスト

同じ時期に、保温施設についての回答も出ています。
昭和51年12月24日付け消防危第119号は、鹿児島県からの照会に答えたものです。

照会は15万キロリットルの屋外タンク貯蔵所に、保温するため、蛇管によりスチームをとおし原油を加温しタンクの保温をするため、フエノール樹脂を材質とする保温施設を別添「タンク保温工事仕様書」により施工することはさしつかえないかというものです。
回答はさしつかえないです。

15万キロリットルという大型タンクで、内側は蛇管によるスチーム加温、外側はフェノール樹脂の保温という組み合わせです。

なお回答にはなお、設問のブレラツクにより屋外貯蔵タンクの保温施工をする場合は、昭和51年9月3日付け消防危第51号、消防庁危険物規制課長通達「保温材としてウレタンフオームを使用する屋外タンク貯蔵所の取扱いについて」の2、3及び4を行うことという条件が付けられています。

材質によって、従うべき通達が変わります。
ウレタンフォームを使う場合には、別の通達の項目に沿った措置が求められるということです。
材質で条件が変わります

よくある質問

Q. 冷却用散水設備はタンクの全周に必要ですか?
必要ありません。隣接するタンクに相対する面の半周に設置すれば足りるとされています。
Q. 予備動力源として専用の発電機が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。発電設備と受電設備ならびに送電設備とがあり一方が止まっても動力源は確保できるので予備動力源の設置があるものと考えてよいかという問いに、さしつかえないと回答されています。
Q. 規則改正で空地が足りなくなった既設タンクはどうなりますか?
照会の事例では、附則により猶予期間内に新規則の空地の幅を確保するか、冷却用散水設備等を設けることとされていました。移設が困難な場合は散水設備を設けて現状の位置で維持する選択がとられています。
Q. フェノール樹脂の保温施設は認められますか?
15万キロリットルの屋外タンク貯蔵所にフェノール樹脂を材質とする保温施設を施工することについて、さしつかえないと回答されています。

まとめ

  • 昭和51年6月15日付け自治省令第18号の改正でタンク相互間の空地が14.84メートルから29.68メートル以上になった事例がある
  • 対象となったのは引火点70度以上200度未満の危険物を貯蔵する30,000キロリットルと3,000キロリットルのタンクである
  • 附則により昭和56年6月30日までに新規則の空地の幅を確保するか冷却用散水設備等を設けることとされた
  • 冷却用散水設備は3,000キロリットルタンクに相対する面の半周に設置すれば足りる
  • 予備動力源は発電設備と受電設備ならびに送電設備があり一方が止まっても動力源が確保できればさしつかえない
  • 15万キロリットルのタンクにフェノール樹脂を材質とする保温施設を施工することはさしつかえない
  • ウレタンフォームを使用する場合は昭和51年9月3日付け消防危第51号通達の2、3及び4を行うこととされた

全周に付けんでええだけで、だいぶ違うわ。

そのとおりです。
基準改正にともなう既設施設の対応も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第15条 e-Gov法令検索
  • 冷却散水設備による空地の緩和について(昭和51年12月14日付け消防危第115号 福岡県あて回答)
  • フェノール樹脂によるタンクの保温施設の設置について(昭和51年12月24日付け消防危第119号 鹿児島県あて回答)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

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