鉄筋コンクリート造の防油堤には、ひび割れを防ぐための目地が入ります。
その目地に何を詰めるか、止水板に何を使うかで、認められるかどうかが分かれました。
同じ北海道からは、原油タンクの保温材についての照会も出ています。
この記事では防油堤の目地と保温材の条件を消防庁の質疑応答に沿って整理します。
目地の止水板は塩化ビニールでもよいでしょうか。
そこは通りません。
回答は塩化ビニール板を用いることは認められないとしています。
充填材のほうはどうでしょうか。
こちらは条件付きで認められました。
アスフアルト相当の物性であるものであるならばその使用を認めてさしつかえないとされています。
この記事でまとめて解説します!
- 防油堤の目地の止水板として塩化ビニール板を用いることは認められない
- エラスチックフイラーはアスフアルト相当の物性であるものであるならばその使用を認めてさしつかえない
- 照会にあたっては当庁において判断するに足る資料を添付することと追記された
- 原油タンクの保温材はタンク側板上部に1リットル毎平方メートル毎分の放水能力を有する散水装置を条件に認められた
- 散水装置の水源はその放水量で2時間放水することができる量以上の量であること
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目次
目地の止水板に塩化ビニール板を用いることは認められない

昭和47年1月7日付け消防予第5号は、北海道からの照会に答えたものです。
鉄筋コンクリート造の防油堤にひび割れが出ないようにするための工法が問われました。
あわせてなお、目地部分については配筋の接続はないとされています。
防油堤は、危険物が漏れたときにそれを内側にとどめる設備です。
その目地を止める板が熱で溶けたり燃えたりする材質では、役に立ちません。
火災のときこそ働いてほしい部分に、火に弱い材料は使えないという整理です。
火に弱い材料は不可です。
熱で溶ける材質では、役に立たないのですね。
火災のときに機能しなくなります。
使う材料の耐熱性を確かめてください。
充填材はアスファルト相当の物性であれば認められる

同じ回答の二つめは、目地の空間に詰める材料についてです。
こちらは条件付きで認められました。
基準になっているのはアスフアルト相当の物性です。
製品名で認めるのではなく、物性で線を引いています。
アスファルトは道路にも使われる材料で、伸び縮みに追随しながら水を通しません。
同じ性質を持つものであれば、名称が違っても使えるということになります。
物性で判断されます。
製品名ではなく、物性で線が引かれているのですね。
アスファルト相当が基準です。
物性表を添えて相談してください。
照会には判断するに足る資料を添付することと追記された

この回答には、めずらしく追記が付けられています。
照会そのものへの注文です。
回答がアスフアルト相当の物性であるものであるならばという条件付きになったのは、そもそも物性が示されていなかったためです。
資料がなければ、消防庁の側も可否を言い切れません。
この連載で取り上げてきた回答にも添付された資料から判断すればという言い回しがくり返し出てきます。
個別の製品や工法を認めてもらうには、資料をそろえることが前提になります。
資料が判断を決めます。
資料がなければ、回答も条件付きになるのですね。
判断の材料が要ります。
照会するときは、根拠資料を先にそろえましょう。
原油タンクの保温材は散水装置を条件に認められた

昭和47年2月10日付け消防予第56号も、北海道からの照会に答えたものです。
容量75,000キロリットルの原油タンク6基に、保温材を施工したいという計画でした。
工法は前に取り上げた事例と同じで、難燃性ウレタンフオームをスプレー発泡機で吹き付け、厚さ25ミリメートル程度のウレタンフオームの被膜をつくりその上に防火コートを塗布するというものでした。
耐火性能の試験も、より厳しい条件で示されています。
一つめが散水装置です。
条件付きの許可です。
保温材は、散水装置を条件に認められたのですね。
設ける場所まで示されています。
隣接するタンクとの関係を、配置図で確かめてください。
散水装置は毎分1リットル毎平方メートルで2時間分の水源が要る

示された条件は、設ける場所まで具体的に定められています。
すべてのタンクに一律ではありません。
散水装置が必要になるのは隣接して設置されている屋外貯蔵タンクに面する側です。
しかも、そのタンクが政令第11条第2号本文の規定による空地を保有しているものであれば除かれます。
つまり規定どおりの保有空地がある側には要らず、空地を詰めて隣り合っている側にだけ求められるという構造です。
放水能力は1リットル毎平方メートル毎分、水源はその放水量で2時間もつ量以上。
耐炎試験が2時間継続燃焼実験であったことと、数字が対応しています。
試験と同じ2時間です。
散水の能力にも目安があるのですね。
水源の量まで定められています。
設置するなら、供給の経路も確認してください。
よくある質問
まとめ
- 鉄筋コンクリート造の防油堤に20センチメートル間隔で約2センチメートルの目地を設ける工法が照会された
- 目地の止水板として塩化ビニール板を用いることは認められない
- エラスチックフイラーはアスファルト相当の物性であるものであるならばその使用を認めてさしつかえない
- 物性が明らかでない場合は当庁において判断するに足る資料を添付することと追記された
- 容量75,000キロリットルの原油タンク6基への保温材の使用は条件付きで認められた
- 条件は隣接するタンクに面する側のタンク側板上部に1リットル毎平方メートル毎分の散水装置を設けることである
- ただし政令第11条第2号本文の規定による空地を保有しているタンクに面する側は除かれる
- 散水装置の水源はその放水量で2時間放水することができる量以上の量であること
資料をそろえないと、そもそも判断してもらえないのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
工法や材料の資料の整え方も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第22条 e-Gov法令検索
- 防油堤の構造について(昭和47年1月7日付け消防予第5号 予防課長から北海道総務部長あて回答)
- 原油貯蔵タンクの保温材について(昭和47年2月10日付け消防予第56号 予防課長から北海道総務部長あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




