準特定屋外タンク貯蔵所は、特定屋外タンク貯蔵所ほどの規模ではないものの、地盤や基礎について独自の技術基準が課されています。
実務で迷いやすいのは、どこからが「変更」にあたるのか、そして地盤の調査をどの範囲まで行えばよいのかという2点です。
平成11年6月15日付けの消防危第58号は、この2点を含む運用の細部について具体的な回答を示しています。
この記事では、変更の範囲と地盤調査の運用を中心に整理します。
準特定のタンクで「基礎及び地盤の変更」って言われても、どこまでが変更なのか判断がつかないんです。
通達が例示で答えています。判断の軸は工事の大きさではなく、設置したときと同じレベルの応力等の検討が必要になるかどうかです。
なるほど。地盤調査のほうはどうですか。ボーリングを何本打てばいいのかで毎回もめます。
本数そのものより、タンクとボーリング箇所の位置関係に条件が付いています。間隔の目安まで示されているので、そこを押さえると話が早いです。
この記事の結論
- タンク本体の変更とは側板最下段の全周取替をいうとされています
- 基礎及び地盤の変更とは、液状化のおそれのある地盤に外傍鉄筋コンクリートリング基礎を設置する等、設置時と同様の応力等の検討を要する変更をいうとされています
- 風荷重に対する滑動の検討では、払い出しノズルで払い出しのできない危険物の重量を抵抗力に算入できるとされています
- 補修基準で分類が「×」とされている補修は、準特定屋外貯蔵タンクについても適用されます
- 3カ所以上のボーリングデータから土質定数を決定できるのは地盤層序が明らかな場合であり、ボーリング箇所の間隔は最大で70メートル程度とされています
▼
目次
タンク本体並びに基礎及び地盤の変更とはどの範囲か

これは工事の計画段階で最初に突き当たる問いです。
通達は、それぞれについて具体例を挙げて答えています。
答 タンク本体については、側板最下段の全周取替、基礎及び地盤については液状化のおそれのある地盤に外傍RCリング基礎を設置する等、当該変更に際して設置時と同様の応力等の検討を要する変更をいう。
側板最下段の全周取替や外傍鉄筋コンクリートリング基礎の設置は、あくまで例示にすぎません。
設置時と同様の検討を要する変更が対象です。
つまり列挙された工事に当てはまるかを探すのではなく、その工事によってタンクの応力状態を設置時と同じレベルで検討し直す必要が生じるかどうかで判断することになります。
風荷重に対する滑動の検討でデッドストックを算入できるか

一方で、払い出しノズルの高さより下にある危険物は、通常の払い出し操作では抜けません。いわゆるデッドストックです。
この重量を滑動に対する抵抗力として見込んでよいかが問われました。
運用 開放点検時等の空虚時の滑動対策がとられているのならば、準特定屋外タンク貯蔵所の風荷重に対する滑動の検討において、払い出しノズルで払い出しのできない危険物(デッドストック)の重量を滑動に対する抵抗力に算入する。
点検でタンクを完全に空にする場面ではデッドストックも失われるため、そのときの手当てが別途あることが前提になります。
デッドストックを抵抗力に算入できます。
逆にいえば、空虚時の対策を示せない限りこの算入は使えません。
補修基準で分類が「×」とされている補修の扱い

この基準はもともと特定屋外タンク貯蔵所を念頭に置いたものです。
準特定屋外貯蔵タンクにも及ぶのかが問われました。
運用 「補修基準」中の分類が「×」とされている補修については、準特定屋外貯蔵タンクについても適用する。
補修基準の全体をそのまま準特定に持ち込むという話ではなく、「×」の分類が準特定にも適用されます。
認められない補修方法についての線引きは規模を問わず共通、という整理です。特定屋外タンク貯蔵所で使えない補修は、準特定でも使えません。
地盤調査の範囲と3カ所以上のボーリングデータの扱い

この「地盤内」がどこまでを指すのかについて、通達は範囲を特定しています。
運用 27号通知中の第1、1 調査に関する事項で「タンク1基当たり、地盤内の1箇所以上の」とあるが、この場合の地盤内とは告示第4条の22の3に規定する範囲とする。
運用 タンクを包含する3箇所以上のボーリングデータに基づき土質定数を決定できるのは、地盤層序が明らかな場合である。この場合の「包含する」とは、タンク全体を含むことが望ましいが、少なくともタンク中心がボーリング箇所を結んだ図形の内側にある状態をいう。なお、この場合のボーリング箇所の間隔は、最大で70m程度とする。
望ましいのはタンク全体を含むことですが、最低限の要件はタンク中心が図形の内側に入っていることです。
タンク中心が図形の内側にあることが必要です。
加えてボーリング箇所の間隔は最大で70メートル程度とされており、広く散らして本数だけ満たすやり方は認められません。
液状化のおそれのある地盤とはどのような地盤か

運用 液状化のおそれのある地盤とは、砂質土であって、告示第4条の22の6に定める各号のいずれかに該当する地質の地盤をいう。
砂質土であることが前提になっています。
砂質土でなければ、告示の各号を確認するまでもなく、この定義には当たらないという読み方になります。地盤調査の結果を受け取ったとき、最初に見るべき欄がどこかを教えてくれる回答です。
よくある質問
Q. 基礎の局部すべりを検討するための土質試験の結果を複数のタンクに適用できますか?
同じ平成11年6月15日付け消防危第58号が扱っています。27号通知中の第1、1の調査に関する事項で「局部すべりを検討する範囲内の土質定数を求めることを原則とし、タンク1基当たり1箇所以上の試験を行う」とあることについて、基礎の施工条件が同一と認められる範囲を3カ所以上の試験結果から想定し適用することができるとされています。
Q. ボーリングデータがタンクを包含するとはタンク全体を含む必要がありますか?
タンク全体を含むことが望ましいとされていますが、必須ではありません。少なくともタンク中心がボーリング箇所を結んだ図形の内側にある状態であればよいとされています。ただし前提として地盤層序が明らかであることが必要で、ボーリング箇所の間隔は最大で70メートル程度とされています。
Q. タンク本体のみを建て替える場合の申請はどの手続になりますか?
同じ消防危第58号の屋外タンク貯蔵所関係の共通関係が扱っています。法第11条第1項後段に規定する変更の許可によるものとしてよいかという照会に対し、建て替え後の屋外貯蔵タンクの直径(横型のタンクにあっては、たて及び横の長さをいう。)及び高さが建て替え前の屋外貯蔵タンクの直径及び高さと同規模以下である場合は、お見込みのとおりと回答されています。
Q. 準特定屋外タンク貯蔵所にも73号通知の補修基準は適用されますか?
補修基準のうち、分類が「×」とされている補修については準特定屋外貯蔵タンクについても適用するとされています。認められない補修方法の線引きは規模を問わず共通するという整理です。
まとめ
- 準特定屋外タンク貯蔵所のタンク本体の変更とは、側板最下段の全周取替をいうとされています
- 基礎及び地盤の変更とは、液状化のおそれのある地盤に外傍鉄筋コンクリートリング基礎を設置する等をいい、設置時と同様の応力等の検討を要する変更かどうかが判断の軸になります
- 開放点検時等の空虚時の滑動対策がとられているなら、風荷重に対する滑動の検討でデッドストックの重量を抵抗力に算入できます
- 補修基準で分類が「×」とされている補修は、準特定屋外貯蔵タンクについても適用されます
- 調査に関する地盤内の範囲は、告示第4条の22の3に規定する範囲とされています
- 3カ所以上のボーリングデータから土質定数を決定できるのは地盤層序が明らかな場合で、少なくともタンク中心がボーリング箇所を結んだ図形の内側にあることが必要です
- ボーリング箇所の間隔は最大で70メートル程度とされています
- 液状化のおそれのある地盤とは、砂質土であって告示第4条の22の6に定める各号のいずれかに該当する地質の地盤をいいます
あわせて読みたい
ボーリングの間隔に70メートルという目安まで出てるとは知りませんでした。ここは根拠を出しやすいですね。
調査計画の段階でこの条件を満たす配置にしておけば、後戻りがありません。㈱防災屋でも計画段階からご相談を承っています。
参考・出典
- 危険物規制事務に関する執務資料(屋外タンク貯蔵所及び一般取扱所関係)の送付について〔抄〕(平成11年6月15日 消防危第58号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)別紙 屋外タンク貯蔵所関係 準特定屋外タンク貯蔵所関係 問1・問2および共通関係
- 準特定屋外タンク貯蔵所に係る技術基準等に関する運用について(平成11年3月30日付け消防危第27号)
- 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について(平成6年9月1日付け消防危第73号)別添1 補修基準
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第4条の22の3・第4条の22の6
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




