危険物の配管を地上に設置するとき、配管そのものの仕様は図面で詰めても、それを受ける支持物の仕様で止まることがあります。
架台を鉄筋コンクリート造にするのか、鉄骨のままでよいのか。
判断の分かれ目は、危険物の規制に関する規則第13条の5第2号のただし書にある「火災によって当該支持物が変形するおそれのない場合」をどう読むかです。
この記事では、消防庁の執務資料が示した具体的な4つの類型と、第1号の「安全な構造」の確認方法を整理します。
配管の架台は、すべてコンクリートで造らなければならないのでしょうか。
鉄骨のままでは難しいでしょうか。
原則は耐火性のあるものですが、ただし書があります。
火災によって変形するおそれがないと判断できる場合は、この限りでないとされています。
おそれがない場合の中身が、現場でいちばん迷うところです。
そこは消防庁が執務資料で4つの類型を挙げて、そのいずれも該当すると回答しています。
読み方の当たりをつける材料になりますよ。
- 危険物の規制に関する規則第13条の5第1号の「安全な構造」は、強度計算によって確認されたものである必要があると回答されています
- 同条第2号のただし書「火災によって当該支持物が変形するおそれのない場合」については、執務資料が具体的な類型を示しています
- 高さが1.5メートル以下で不燃材料で造られた支持物は、その類型に該当します
- 製造所等の存する事業所の敷地内に設置され不燃材料で造られた支持物は、扱う危険物と周囲の状況によって3つの類型に整理されています
- 示された類型について消防庁は「いずれも該当する」と回答しています
▼
目次
支持物の安全な構造は強度計算で確認する必要があるか

危険物の規制に関する規則第13条の5第1号は、これらに対して安全な構造とすることを求めています。
問題は、この「安全な構造」を経験則や標準仕様で満たしたと言えるのか、それとも計算で裏づける必要があるのかという点です。 平成元年7月4日付けの消防危第64号は、この点を正面から扱っています。
答 お見込みのとおり。
つまり強度計算で確認されたものでなければなりません。
既製の架台を並べただけ、あるいは他の設備の流用で済ませたという説明では、この第1号を満たしたことになりません。設計時点で計算書を残しておくことが前提になります。
安全な構造は、計算で確かめるのですね。
根拠を残すことが要点です。
設計の資料を、施設ごとに保管してください。
高さが1.5メートル以下で不燃材料なら該当する

同じ執務資料の問12は、どのような場合が「火災によって当該支持物が変形するおそれのない場合」に該当するかを、4つの場面に分けて照会しています。 まず1つ目が、支持物そのものが低い場合です。
1 支持物の高さが1.5m以下で不燃材料で造られたものである場合
答 いずれも該当する。
高さと材料だけで判断できる、いちばん使いやすい類型です。
低い支持物なら不燃材料で足りると整理されました。
低い架台であれば火災時に受ける熱の影響が限られ、仮に変形しても配管の落差が小さく被害が拡大しにくい、という考え方が背景にあると読めます。
支持物が低ければ、それだけで該当する場合があるのですね。
高さと材料で決まります。
架台の高さを、現地で測っておきましょう。
高引火点危険物を100度未満で取り扱う配管を支持する場合

支持物が製造所等の存する事業所の敷地内に設置されたものであること、そして不燃材料で造られたものであることです。
この2つを満たしたうえで、次のいずれかに当たるかを見ます。
(1) その支持する配管のすべてが高引火点危険物を100℃未満の温度で取り扱うもの
1本の架台が複数の配管を受けている場合、そのうち1本でも条件から外れる配管があれば、この類型には当たりません。
高引火点危険物を低温で扱う配管が対象です。
架台単位ではなく、その架台が支えている配管の中身を1本ずつ確認する必要があります。
1本でも条件を外れると、当てはまらないのですね。
すべてが対象です。
架台が受けている配管を、1本ずつ確認してください。
引火点40度以上の危険物を扱い周囲に火気等の設備がない場合

そのうえで、周囲に着火源がないことを重ねて求めています。
周囲に火気等を取り扱う設備がないことが条件です。
ここでも「すべてが」という限定がかかっているため、引火点40度未満の危険物を通す配管が1本でも同じ架台に載っていれば、この類型では説明できません。
引火点と周囲の状況の組み合わせもあるのですね。
着火源がないことが条件です。
周囲の設備を、配置図で確かめてください。
周囲に危険物も火気等を取り扱う設備も存しない場合

そのかわり、周囲に危険物の設備も着火源もないことを求めています。
周囲に危険物も火気もなければ該当します。
敷地の端を単独で走る配管など、他の設備から離れた区間で使いやすい整理です。
そして4つの場面すべてについて、消防庁は「いずれも該当する」と回答しています。
場所の条件だけで判断できる場合もあるのですね。
配管側の限定がありません。
敷地の端を通る配管は、この類型で確認してみてください。
よくある質問
まとめ
- 危険物の規制に関する規則第13条の5第1号の「安全な構造」は、強度計算によって確認されたものである必要があると回答されています
- 同条第2号にはただし書があり、火災によって当該支持物が変形するおそれのない場合について定めています
- 執務資料は、その「おそれのない場合」に該当する場面を4つ挙げています
- 1つ目は、支持物の高さが1.5メートル以下で不燃材料で造られたものである場合です
- 2つ目から4つ目は、事業所の敷地内に設置された不燃材料の支持物であることを共通の前提としています
- そのうえで、支持する配管のすべてが高引火点危険物を100度未満で取り扱うもの、すべてが引火点40度以上の危険物を取り扱い周囲に火気等を取り扱う設備がないもの、周囲に危険物の設備も火気等の設備も存しないもの、の3つに整理されています
- いずれの類型も「すべてが」という限定や周囲の条件を伴うため、架台単位ではなく個別の配管と周辺状況を確認する必要があります
- 示された4つの場面について、消防庁は「いずれも該当する」と回答しています
4つとも不燃材料が前提なのですね。
すっきりしました。
そこが出発点です。
あとは「すべてが」という限定を、架台が受けている配管1本ずつで確認してください。
㈱防災屋でも設計段階からご相談を承っています。
参考・出典
- 危険物規制事務に関する執務資料の送付(給油取扱所を除く)について(平成元年7月4日 消防危第64号 消防庁危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて回答)問9・問10・問11・問12
- 屋外タンク貯蔵所の保安距離について(昭和56年12月15日 消防危第170号 消防庁危険物規制課長から長崎県あて回答)
- 危険物の規制に関する規則第13条の5
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




