シーバースに高さ27メートルのローディングアームを設置する。
石油コンビナート等災害防止法施行令は、高さ20メートル以上の場所で石油を取り扱う工作物があれば普通高所放水車を求めています。
数字だけを見れば、明らかに超えています。
それでも回答は設置しなくてよいと述べました。
27メートルのローディングアームを設けると、普通高所放水車が必要になりますか。
その火災発生危険や燃焼継続性から、政令にいう高さ20メートル以上の場所で石油を取り扱う工作物には含まれないと解するとされました。
区域内にレジャー施設を作る計画があります。石災法の規制は受けないので自由に建ててよいのでしょうか。
規制は受けないとしたうえで、事前に十分検討しておくことが不可欠であるとされています。規制の外だから何もしなくてよい、とはなりません。
この記事の結論
- 高さ27メートルのローディングアームは、火災発生危険や燃焼継続性から政令にいう高さ20メートル以上の場所で石油を取り扱う工作物に含まれないと解されました
- したがって普通高所放水車を設置しなくても差しつかえないとされています
- 事業所敷地内の整圧器および導管は、ガス事業法に定めるガス工作物に該当します
- 消火用屋外給水施設の水を分岐して他の消火設備の貯水槽に補充することは、施設省令第11条後段の但し書きを満足する限り認められます
- 特別防災区域内を通過する高架道路や区域内に設置される特定施設は、事前に災害想定等を実施し十分検討しておくことが不可欠とされています
▼
目次
27メートルのローディングアームに高所放水車は要るか

石油コンビナート等災害防止法施行令第11条は、高さ20メートル以上の場所で石油を取り扱う工作物がある場合に普通高所放水車を求めています。
シーバースに設けるローディングアームは、使用中に大きく持ち上がります。
問 第1種事業所のシーバースに高さ27メートルとなるローディングアーム(重油を扱うもので移送取扱所として規制する予定。)を設置する計画があり、使用中のローディングアームの高さが20メートルを超えることになる。この場合、石災法施行令第11条の規定に基づく普通高所放水車が必要となるか。
答 設問のローディングアームについては、その火災発生危険、燃焼継続性等から石災法施行令第11条に規定する高さ20メートル以上の場所で石油を取り扱う工作物に含まれないものと解する。
従つて、普通高所放水車を設置しなくても差しつかえない。
従つて、普通高所放水車を設置しなくても差しつかえない。
27メートルという数字は20メートルを超えています。それでも設置しなくても差しつかえないとされました。
判断の根拠として挙げられたのは、その火災発生危険と燃焼継続性です。
高所放水車は、高い位置で火災が起きて燃え続ける事態に備えるものです。ローディングアームは荷役のときだけ持ち上がり、そこに油がとどまり続ける構造ではありません。高い位置に大量の油が滞留するタンクや塔とは事情が違います。
条文の数字に当てはまるかどうかではなく、その規定が備えようとしている事態が起こりうるかで判断されたことになります。
なおこのローディングアームは、移送取扱所として規制する予定であることが問いに明記されています。石災法の高所放水車の話とは別に、危険物としての規制はかかります。
敷地内の整圧器と導管はガス工作物か

蒸気ボイラーの燃料として都市ガスを受け入れている事業所から、自分たちの設備がこれに当たるのかという照会がありました。
問 ある事業所が、蒸気ボイラーの燃料として都市ガスを利用するために、ガス事業者から当該ガスを受給し、事業所敷地内にある「整圧器」及び「導管」を用いて処理している。これらはガス事業法第2条第7項に定める「ガス工作物」に該当するか。
また、当該都市ガスは石災法施行令第3条第2項第5号に定める第2種事業所の指定要件となる物質としての「高圧ガス以外の可燃性ガス」に該当するか。
また、当該都市ガスは石災法施行令第3条第2項第5号に定める第2種事業所の指定要件となる物質としての「高圧ガス以外の可燃性ガス」に該当するか。
答 ガス事業法では、ガス事業者から導管を経て最終のバルブ(ガス使用設備等の手前)までを「ガス工作物」としており、省令や告示でその基準を設けて規制している。
また、「整圧器」、「導管」等ガス事業の用に供している設備の所有者が供給者であるか受給者であるかは問わないと解されている。
従つて、当該事業所の「整圧器」及び「導管」は、ガス事業法第2条第7項に定める「ガス工作物」に該当する。
また、当該ガス工作物で取り扱い等がされる都市ガスは、石災法施行令第3条第2項第5号に定める「高圧ガス以外の可燃性ガス」に該当する。
また、「整圧器」、「導管」等ガス事業の用に供している設備の所有者が供給者であるか受給者であるかは問わないと解されている。
従つて、当該事業所の「整圧器」及び「導管」は、ガス事業法第2条第7項に定める「ガス工作物」に該当する。
また、当該ガス工作物で取り扱い等がされる都市ガスは、石災法施行令第3条第2項第5号に定める「高圧ガス以外の可燃性ガス」に該当する。
線引きは所有者ではなく位置で決まります。ガス事業者から導管を経て最終のバルブまでがガス工作物であり、そこから先のガス使用設備は含まれません。
自社の敷地に自社が設置した整圧器であっても、その位置がバルブの手前であればガス工作物です。
そしてそこで扱われる都市ガスは、第2種事業所の指定要件となる高圧ガス以外の可燃性ガスに当たります。
つまり自社設備だから関係ないと考えていると、事業所の区分そのものが変わる可能性があるということです。
給水施設の水を他の消火設備に回せるか

片方に余裕があり、片方が足りない。つないで融通できないかという相談でした。
問 消火用屋外給水施設の水量に余裕がある場合、この配管の途中から分岐して危険物製造所等の消火設備の貯水槽に連結し、補充することは認められるか。
また、上記が認められるならば、手数料は「基本額+配管総延長」で算出してよいか。
また、上記が認められるならば、手数料は「基本額+配管総延長」で算出してよいか。
答 前段 施設省令第11条後段の但し書きを満足する限り認められる。
後段 お見込のとおり。なお、配管総延長には連結配管を含むものである。
後段 お見込のとおり。なお、配管総延長には連結配管を含むものである。
認められましたが、無条件ではありません。施設省令第11条後段の但し書きを満足する限りという枠がかかっています。
消火用屋外給水施設は、石災法が求める消火活動のためのものです。そちらの機能を損なわない範囲でなら、余った水を他へ回してよいという整理になります。
実務で見落としやすいのは後段です。検査手数料の算定に使う配管総延長には、この連結配管も含まれます。
つないだぶんだけ配管が伸びるので、手数料も増えます。融通の便益と費用を並べて考える必要があります。
区域内を通過する高架道路はどう扱うか

では防災の側から何を求めるのか、という問いです。
問 特別防災区域内を通過することとなる高架道路の計画があるが、防災対策上の対応等について御教示願います。
答 特別防災区域内を通過することとなる高架道路については、当該高架道路とコンビナート施設相互の安全性について、事前に災害想定等を実施する等により十分検討しておくことが不可欠である。
なお、安全性評価の方法については、「特別防災区域を通過する高架道路等の設置に係る防災対策調査研究報告書」(平成元年6月9日 消防特第109号)により示しているところであるが、詳細なアセスメントを権威ある第三者機関に委託する等の万全を期す必要がある。
なお、安全性評価の方法については、「特別防災区域を通過する高架道路等の設置に係る防災対策調査研究報告書」(平成元年6月9日 消防特第109号)により示しているところであるが、詳細なアセスメントを権威ある第三者機関に委託する等の万全を期す必要がある。
見るべき対象として示されたのは、高架道路とコンビナート施設の相互の安全性です。片方だけではありません。
コンビナートで火災が起きれば道路上の車が巻き込まれます。逆に道路上で事故が起きれば、落下物や火災が施設に及びます。どちらの向きも想定する必要があります。
方法としては、事前に災害想定等を実施することが挙げられました。さらに詳細なアセスメントは権威ある第三者機関に委託するなど万全を期すこととされています。
評価の考え方そのものは、平成元年6月9日付けの消防特第109号による調査研究報告書に示されています。
区域内にレジャー施設を設けられるか

不特定多数の人が集まる場所が、危険物施設の隣にできることになります。
問 特別防災区域内の工場用地の合理化、再開発、遊休地の活用等によりレジャー施設又はスポーツ施設等の不特定多数の者が利用する施設(以下「特定施設」という。)を当該区域内に設置する計画があるが、防災対策上の対応等について御教示願います。
答 設問の特定施設は、石災法令による規制を受けるものではないが、特別防災区域における災害の特殊性を考慮し、危険物施設等の災害により特定施設が受ける影響、不特定多数の者の避難、消防機関の活動等について、事前に十分検討しておくことが不可欠である。
なお、安全性評価の方法については、「石油コンビナート等特別防災区域に設置される特定施設に係る防災対策について」(平成3年6月11日 消防特第112号)により示している。
なお、安全性評価の方法については、「石油コンビナート等特別防災区域に設置される特定施設に係る防災対策について」(平成3年6月11日 消防特第112号)により示している。
まず規制を受けるものではないと明言されています。石災法の届出や基準の対象にはなりません。
そのうえで、事前に十分検討しておくことが不可欠であるとされました。検討すべき項目は3つ挙げられています。危険物施設等の災害により特定施設が受ける影響、不特定多数の者の避難、そして消防機関の活動です。
前の項目の高架道路と同じ構造です。石災法の枠には入らないが、区域の特殊性を考えれば無関係ではいられない。
規制の対象かどうかと、検討が要るかどうかは別だという整理が、この2つの回答に共通しています。
よくある質問
Q高さ20メートルを超えれば必ず高所放水車が要るのですか?
A回答は、設問のローディングアームについてその火災発生危険、燃焼継続性等から政令第11条に規定する工作物に含まれないものと解するとしています。高さの数字だけで機械的に決まるのではなく、その規定が備えようとしている事態が起こりうるかで判断された形です。個別の判断は所轄の消防機関にご確認ください。
Q自社で設置した整圧器でもガス工作物になるのですか?
A回答は、整圧器や導管等ガス事業の用に供している設備の所有者が供給者であるか受給者であるかは問わないと解されているとしています。ガス事業者から導管を経て最終のバルブまでがガス工作物であり、位置で決まります。
Q連結配管を足すと手数料はどうなりますか?
A回答は、手数料を基本額と配管総延長で算出してよいかという問いにお見込のとおりと答えたうえで、配管総延長には連結配管を含むものであるとしています。つないだぶんが延長に算入されます。
Qレジャー施設は石災法の届出が必要ですか?
A回答は、設問の特定施設は石災法令による規制を受けるものではないとしています。ただし危険物施設等の災害により特定施設が受ける影響、不特定多数の者の避難、消防機関の活動等について事前に十分検討しておくことが不可欠であるとされています。
まとめ
- 高さ27メートルのローディングアームは、その火災発生危険、燃焼継続性等から政令第11条の工作物に含まれないと解されました
- したがって普通高所放水車を設置しなくても差しつかえないとされています
- 事業所敷地内の整圧器および導管は、所有者が供給者か受給者かを問わずガス工作物に該当します
- そこで扱われる都市ガスは、第2種事業所の指定要件となる高圧ガス以外の可燃性ガスに該当します
- 消火用屋外給水施設の水の分岐は施設省令第11条後段の但し書きを満足する限り認められ、配管総延長には連結配管を含みます
- 特別防災区域内を通過する高架道路は、高架道路とコンビナート施設相互の安全性について事前に災害想定等を実施して検討します
- 区域内に設置される特定施設は石災法令による規制を受けませんが、受ける影響・避難・消防機関の活動について事前の検討が不可欠です
数字に当てはまるかどうかより、何に備えた規定かを見るんですね。
規制の外だから検討も不要、という読み違いが起きやすいところです。㈱防災屋でも計画段階からご相談を承っています。
参考・出典
- 石油コンビナート等災害防止法令の運用に係る資料の送付について(平成4年5月25日 消防特第98号 消防庁特殊災害室長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 特別防災区域を通過する高架道路等の設置に係る防災対策調査研究報告書(平成元年6月9日 消防特第109号)
- 石油コンビナート等特別防災区域に設置される特定施設に係る防災対策について(平成3年6月11日 消防特第112号)
- 石油コンビナート等災害防止法施行令第3条第2項第5号・第11条
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令第11条
- ガス事業法第2条第7項
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の事業所についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




