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BCPで一時滞在場所に酸素ボンベを持ち込んでよいのか|火気と転倒を防ぐ受入手順を解説

えんじ色の上着と黒い長ズボンの施設管理者が酸素ボンベを専用台へ固定して確認する写真

大きな地震で交通が止まり、一時滞在場所へ在宅酸素療法中の来館者が避難してくることがあります。
必要な酸素を断るわけにはいきませんが、ストーブや喫煙場所の近くへ案内すると、チューブや衣服へ火が燃え移る危険があります。持ち運び中のボンベが倒れ、バルブを傷めることも防がなければなりません。
結論は、酸素ボンベを持ち込む人を受け入れ、医師の指示と取扱説明書を優先しながら、火気から離れた使用場所と転倒防止を施設側で整えることです。
消防計画の火災予防避難誘導を、BCPの要配慮者の受入れへつなぎます。

酸素ボンベを持った方は、待機場所へ案内してええんですか?

受け入れたうえで火気から離れた場所を確保しましょう。

ボンベは壁に立てかけておけば大丈夫ですか?

立てかけるだけではなく専用台などで固定してください。

この記事の結論
  • 酸素療法を必要とする人の受入れを前提に場所を決めます。
  • 使用中は装置の周囲二メートル以内へ火気を置きません。
  • ボンベは直射日光を避けて専用台などで転倒を防ぎます。
  • 酸素の流量や機器設定は医師の指示どおりとし、施設側で変更しません。
  • 使用者、設置場所、残量、連絡先を受入記録へ残します。

一時滞在場所で酸素ボンベを火気から離して固定し受入記録を残す施設管理者のアイソメ図

一時滞在場所へ酸素ボンベを持ち込んでよいのか

酸素ボンベを持つ来館者を火気のない待機場所へ案内する施設管理者のアイソメ図
酸素ボンベの持込みを一律に断るのではなく、治療を続けられる安全な場所へ案内します。
厚生労働省は、酸素濃縮装置、液化酸素、酸素ボンベは適切に使用すれば安全である一方、酸素は燃焼を助ける性質が強いため、使用中の装置へ火気を近づけないよう注意を呼びかけています。
一時滞在施設の運営では、要配慮者の状況を把握し、必要な支援へつなぐ準備が欠かせません。
施設側が行うのは治療内容の判断ではなく、受付時に機器の種類、本人が持つ指示内容、残量、緊急連絡先を確認し、安全な設置環境を整えることです。
受入れの可否ではなく、どこなら治療と防火の両方を守れるかを先に決めます。
使用中はたばこを禁止し、ストーブ、こんろ、ろうそくなどの火気を二メートル以内へ置きません。

酸素は燃えるガスなんですか?

酸素自体が燃えるのではなく周囲の燃焼を助ける性質があります。

どの機器と利用者を対象に確認するのか

携帯用酸素ボンベと酸素濃縮装置と液化酸素容器を受付票で確認する施設管理者のアイソメ図
対象は携帯用酸素ボンベだけではありません。
在宅酸素療法では、酸素濃縮装置や液化酸素装置が使われる場合もあります。停電や長期滞在では電源の有無と予備の酸素供給も確認します。
受付では、本人または家族が普段どおり機器を扱えるか、医師や供給事業者から受けた指示書や連絡先を持っているかを確かめます。
施設職員が流量を判断したり、ボンベを別の容器へ移し替えたりしません。機器に異常がある、酸素が足りない、本人の状態が悪いときは、医療機関、供給事業者、行政の救護窓口へつなぎます。
機器の種類、電源、残量、使用者、連絡先を一つの受付票で確認します。
本人の医療情報は必要な担当者だけで共有し、医師の指示を優先して、施設側の独断で設定を変えません。
  • 携帯用酸素ボンベと予備ボンベ
  • 酸素濃縮装置と必要な電源
  • 液化酸素装置と携帯型容器
  • 医師から指示された流量と使用時間
  • 機器の取扱説明書と供給事業者の連絡先
  • 本人や家族が行える操作の範囲
  • 残量不足や体調悪化時の連絡先

職員が酸素の量を調整してもええですか?

施設の判断で変えず医師の指示と本人の手順に従ってください。

安全な使用場所と受入手順をどう決めるのか

火気のない区画で酸素ボンベを専用台へ固定し禁煙表示を置く施設管理者のアイソメ図
使用場所は、ストーブ、こんろ、喫煙場所、ろうそくなどから離し、避難口や防火戸、消火器の前を塞がない位置にします。
厚生労働省と医薬品医療機器総合機構は、在宅酸素療法の装置を使用中は、周囲二メートル以内へ火気を置かず、特に酸素吸入中は喫煙しないよう示しています。
ボンベは通行人がぶつからない場所に置き、専用台やホルダーで転倒を防ぎます。
直射日光や暖房の熱を避け、チューブは扉や家具で挟まず、歩行動線を横切る場合は配置そのものを見直します。
受付、火気確認、固定、表示、残量確認、引継ぎを一つの受入手順にします。
使用場所には禁煙と火気厳禁の表示を置き、交代する職員にも利用者と機器の位置を伝えます。

火気から離せば、廊下でも大丈夫ですか?

避難と通行を妨げない室内を選びましょう。

ボンベの外観だけで安全と判断できないのはなぜか

倒れた酸素ボンベと傷んだバルブを見つけ使用を止める施設管理者のアイソメ図
ボンベに大きなへこみがなくても、転倒や落下で容器弁や圧力調整器が傷んでいる場合があります。
接続部から音がする、におい以外の異常を感じる、圧力計や流量計の表示が普段と違う、チューブが折れたり外れたりしているときは、使用者だけで直そうとせず供給事業者へ連絡します。
酸素にはにおいがないため、においがしないことを漏れなしの根拠にはできません。
また、酸素ボンベの容器弁や圧力調整器へ油脂類を付けると危険です。汚れを見つけても、油性の潤滑剤を使ってはいけません。
転倒、バルブ損傷、異常音、表示異常を見つけたら使用を中止し、供給事業者へ確認します。
使用中の異常は独断で分解せず、体調悪化時は医療機関や救急へ連絡します。
本記事は施設管理者が受入環境を整えるための一般的な防火手順です。酸素の流量、使用時間、機器設定、治療の中止や変更は医師の指示と機器の取扱説明書に従ってください。異常時は供給事業者、医療機関、行政の救護窓口へ連絡し、火災や救急の危険がある場合は119番通報してください。

少し倒れただけなら、そのまま使えますか?

使用前に止めてバルブと調整器の確認を依頼してください。

明日から酸素ボンベの受入れをどう確認するのか

酸素ボンベの受入票と火気確認表を持って待機場所を点検する施設管理者のアイソメ図
まず、社内待機場所や一時滞在場所の平面図へ、ストーブ、調理場所、喫煙場所、避難口、防火戸、消火器を記入します。
そこから火気を離せる室内を選び、ボンベ台、禁煙表示、受付票、連絡先一覧をまとめて準備します。
消防法第8条に基づく防火管理の対象となる施設では、消防計画の火災予防、避難誘導、消防用設備の維持管理と矛盾しないよう受入場所を決めます。
消防法施行規則第3条は、火気使用設備の取扱い、避難施設の維持管理、地震時の活動などを消防計画へ定める事項として示しています。
内閣府の事業継続ガイドラインが示す教育、訓練、点検、是正の考え方に沿い、停電中の受入れ、担当者交代、火気使用場所の変更、残量不足を想定して訓練します。
受入場所を図面で決め、本人と確認し、火気と転倒を防ぎ、交代者へ記録を渡すところまで試します。
訓練では医療判断をしない範囲と、異常時の外部連絡先も確認します。
  • 待機場所の火気、喫煙場所、避難経路を図面へ記入する
  • 酸素使用場所を火気から離して決める
  • ボンベ台やホルダーで転倒を防ぐ
  • 禁煙と火気厳禁の表示を用意する
  • 機器、残量、指示内容、連絡先を受付票へ記録する
  • 担当者と代行者へ利用者の位置を引き継ぐ
  • 異常時に供給事業者、医療機関、救護窓口へ連絡する

受付票には何を書けばええですか?

機器、残量、指示、連絡先を本人と確認して残しましょう。

よくある質問

Q酸素ボンベを持つ人の受入れを断るべきですか?
A一律に断るのではなく、本人や家族と必要な支援を確認し、火気から離れて転倒を防げる安全な使用場所へ案内します。
Q火気はどのくらい離せばよいですか?
A厚生労働省と医薬品医療機器総合機構は、在宅酸素療法の装置を使用中は周囲二メートル以内に火気を置かないよう示しています。取扱説明書により厳しい条件があればそちらを優先します。
Q施設職員が酸素流量を変えてもよいですか?
A施設側の判断では変更しません。本人が受けた医師の指示と取扱手順を確認し、必要なら医療機関や供給事業者へ連絡します。
Q予備ボンベは空き部屋へまとめて置けますか?
A空き部屋という理由だけでは決められません。直射日光や熱、火気、可燃物を避け、専用台などで転倒とバルブ損傷を防ぐ必要があります。数量や保管条件は供給事業者や所轄行政へ確認してください。

まとめ

酸素療法を必要とする人の受入場所を先に決めます。
使用中は周囲二メートル以内へ火気を置きません。
ボンベは専用台などで転倒を防ぎます。
直射日光、暖房の熱、油脂類を近づけません。
流量や設定は医師の指示どおりにします。
異常時は供給事業者や医療機関へ連絡します。
受付から引継ぎまで記録して訓練します。

火気のない受入場所から決めます!

本人の治療と施設の防火を一緒に守りましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および内閣府、総務省消防庁、厚生労働省、医薬品医療機器総合機構の資料に基づく一般的な解説です。酸素の流量、使用時間、機器設定、治療の継続や中止は、医師の指示と機器の取扱説明書に従ってください。施設の用途、保管数量、地域の条例、機器の仕様により必要な対応は異なります。実際の受入れ前に本人や家族、医療機関、供給事業者、施設管理者、防火管理者、所轄行政へ確認してください。

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