屋外に大きな危険物タンクを持つ施設では、消防法にもとづく定期点検を年1回受けていれば十分だと考えている管理者もいるかもしれません。
しかし第3種の固定式泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所には、この定期点検とは別に、泡消火設備そのものの機能を確かめる点検が課されています。
どんなタンクが対象になるのか、通常点検との違いはなにか、実務では見落としやすい論点が少なくありません。
この記事では危険物の規制に関する規則第62条の5の5が定める一体的な点検の対象と中身を確認します。
うちの屋外タンクは、年1回の定期点検さえ受けていれば十分だと思っていました。
大きなタンクで泡消火設備を使っていると、それとは別の点検が必要になることがありますよ。
順番に確認しましょう。
別の点検って、どういうものなんですか。
泡が実際にちゃんと出るかを確認する点検です。
まずは条文から見ていきましょう。
- 第3種の固定式泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所には、通常の定期点検とは別に「一体的な点検」が義務付けられている
- 対象になるのは、液表面積40平方メートル以上・高さ6メートル以上などの著しく消火困難な屋外タンク貯蔵所
- 一体的な点検では泡消火設備が実際に適正な泡を放出できるかを確認する
- 通常の定期点検(規則第62条の4)を省略して一体的な点検だけで済ませることはできない
- 具体的な点検の方法は告示で別途定められている
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目次
なぜ屋外タンクの泡消火設備には専用の点検があるのか

ただしこの通常点検だけでは、泡消火設備が実際に機能するかまでは確認できません。
通常点検は、設備が技術上の基準に適合しているかどうかを確認するものです。
一方この一体的な点検は、泡そのものが適正に放出できるかという機能面を確かめます。
「設備が付いていること」と「実際に機能すること」は別問題という考え方です。
次の項目で、対象になる屋外タンク貯蔵所を確認します。
泡が出るかどうかは、ふだんの点検で確認しているつもりでした。
通常点検は基準への適合を見るもので、泡の放出そのものは別枠です。
次で対象を確認しましょう。
どんな屋外タンク貯蔵所が対象になるのか

規則が「著しく消火困難」と定める大型のタンクに限られます。
地中タンクや海上タンクに係る屋外タンク貯蔵所も、この対象に含まれます。
そのうえで規則第33条第2項の表は、引火点が70度未満の第4類危険物(ガソリンや軽油など)を貯蔵するタンクに第3種の固定式泡消火設備の設置を義務付けています。
つまり一体的な点検の対象は、この設備を実際に設けているタンクに限られます。
次の項目で、点検の中身を確認します。
うちのタンクが対象かどうかは、なにを見れば分かりますか。
第3種の固定式泡消火設備を設けているかどうかで見分けられます。
次で点検の中身を確認しましょう。
一体的な点検では何を確認するのか

もう一度、確認する対象を見てみます。
配管や薬剤タンクの外観・機能が基準どおりであっても、実際に泡を出してみないと分からない不具合があります。
点検の具体的な方法(発泡の確認手順など)は、条文が委任する告示で別途定められています。
つまりこの点検は、通常点検の外観・機能確認をさらに一歩進めた、実地の機能確認だと理解できます。
次の項目で、通常点検との関係を確認します。
実際に泡を出してみる、ということですか。
はい、泡の適正な放出そのものを確認する点検です。
方法は告示で定められています。
通常点検を省いて一体的な点検だけでよいのか

条文の位置づけを確認します。
通常点検(技術上の基準への適合確認)と、一体的な点検(泡の適正な放出確認)はそれぞれ別の目的を持つ点検です。
どちらか一方だけを行って、もう一方を省略することはできません。
点検記録も、通常点検の結果と一体的な点検の結果の両方を残しておく必要があります。
次の項目で、実務で確認すべき点をまとめます。
どちらか片方だけ受けておけば済む、というわけではないんですね。
両方あわせて実施する必要があります。
片方の省略はできません。
明日からなにを確認すればよいのか

自己判断せず、記録と条文をもとに確かめることが大切です。
- 自施設の屋外タンク貯蔵所が、液表面積40平方メートル以上・高さ6メートル以上などの著しく消火困難な施設に当たるか確認する
- 該当するタンクに第3種の固定式泡消火設備が設置されているかを確認する
- 点検記録に、通常点検(規則第62条の4)と一体的な点検(規則第62条の5の5)の両方の実施状況が残っているか確認する
- 一体的な点検の具体的な方法を、告示で定める内容にもとづいて確認する
- 判断に迷う場合は、自己判断せず所轄の消防署(市町村長等)に相談する
まずは自分のタンクが対象かどうか、規模から確認してみます。
はい、規模と設備の有無で対象かどうかが決まります。
不明な点は所轄消防署にご相談ください。
よくある質問
まとめ
対象と点検の中身を、今日から確認します!
泡消火設備の点検漏れを防ぐいちばんの近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第20条第1項第1号
- 危険物の規制に関する規則第33条第1項第3号・第2項
- 危険物の規制に関する規則第62条の4
- 危険物の規制に関する規則第62条の5の5
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令等に基づく一般的な解説です。個別の点検方法や運用は施設の構造や告示の内容によって異なる場合があります。具体的な判断は所轄消防署にご確認ください。





