BLOG

BCPで地震後に排煙口が開かなかったら営業を再開してよいのか|使用制限と復旧確認の手順を解説

地震後に排煙口と手動操作箱を確認する施設管理者の写真を使ったアイキャッチ

地震後の巡回で、壁の手動操作箱を動かしても天井の排煙口が開かなかったらどうしますか。
「窓を開ければ換気できる」と、そのまま通常利用へ戻すのは危険です。
排煙口が受け持つ区画や不作動の原因を確認しないままでは、火災時の煙を制御できないおそれがあります。
不作動区画の利用を絞り、状態を記録して、専門点検と作動確認へつなぐことが重要です。

排煙口が開きません。
窓を開ければ大丈夫ですか。

まずその区画の利用を絞ることからです。

送風機を置けば復旧になりますか。

復旧とは扱わず、
専門点検まで継続します。

この記事の結論
  • 開かない排煙口の受持ち区画を確認できるまで通常利用を急ぎません。
  • 操作場所・表示・開き方・異音・外観を写真と時刻で残します。
  • 不作動区画の立入や用途を絞り、避難誘導を補強します。
  • 窓や送風機を排煙設備の法定上の復旧と同じ扱いにしません。
  • 専門業者の点検結果を受け、施設責任者が復旧と利用再開を判断します。

排煙口が開かないときに使用範囲を絞って記録し専門点検と復旧確認へつなぐアイソメ図

地震後に排煙口が開かなかったら営業を再開してよいのか

地震後に開かなかった排煙口と手動操作箱を確認する施設担当者のアイソメ図
開かなかった排煙口がある状態で、通常どおりの営業再開を急がないでください。
排煙設備は、火災時に煙を排出し、避難や消防活動を支えるための設備です。
まず不作動の設備が受け持つ防煙区画を特定し、その区画の利用条件を見直します。
消防法施行令第28条は、一定の防火対象物に排煙設備を設置する基準を定めています。消防法施行規則第30条は、排煙口や手動起動装置などの技術基準を定めています。
煙や火災が見える場合は、設備の試験より119番通報、避難誘導、初期消火を優先します。
火災がない安全な状態で不作動を見つけたら、施設担当者だけで天井内の機構や配線を触らないでください。
手動操作箱の表示、操作した時刻、排煙口の開き具合、異音、周囲の落下物を発見時の状態のまま記録します。
そのうえで、専門業者へ連絡できるか、利用を止める区画を分けられるかを確認し、施設責任者が再開条件を決めます。

開かない区画から分けるんですね。

そうです。
影響範囲の特定が先です。

どの排煙口と防煙区画を対象に確認するのか

複数の防煙区画と排煙口の受持ち範囲を図面で確認する施設担当者のアイソメ図
確認対象は、目の前の排煙口だけではありません。
排煙口、手動操作箱、ワイヤーやケーブル、連動制御、風道、排煙機、非常電源まで、一連の経路を図面で確認します。
消防庁の排煙設備の点検基準は、防煙区画壁、排煙口・給気口、風道、制御装置、起動装置、排煙機・給気機、排煙出口を確認対象にしています。
建物によっては、消防法上の排煙設備と建築基準法上の排煙設備が別の根拠で設けられています。
完成図、設備図、前回の点検票、定期検査報告書を照合し、どの法令と区画に関係する設備かを確認します。
  • 不作動だった排煙口と手動操作箱の位置
  • 排煙口が受け持つ防煙区画と隣接区画
  • 自然排煙か機械排煙かという設備方式
  • 感知器や操作箱から排煙機までの連動範囲
  • 天井、壁、風道、支持部の変形や落下物
消防庁の点検要領は、排煙口の枠やパネル、排煙ダンパー、取付金具の変形・損傷・腐食などを確認事項にしています。
手動式起動装置では、表示、外形、ワイヤロープ、ハンドルやレバーの操作性も対象です。
現場担当者が外観だけで原因を断定せず、設備方式と連動範囲を専門業者へ伝えてください。
テナント内と共用部で管理者が異なる場合は、区画をまたぐ連絡先も確認します。

排煙口だけを見るわけやないんですね。

はい。
排煙の経路全体を見ます。

発見から使用制限と専門点検までどう進めるのか

排煙口が開かない区画を立入制限して専門業者へ連絡する施設担当者のアイソメ図
不作動を見つけたら、安全確認、範囲特定、記録、使用制限、専門点検の順で進めます。
設備担当、防火管理者、BCP担当、テナント責任者が同じ不作動範囲を共有してください。
立入を止めるだけで終わらせず、誰が避難誘導を補強し、誰が復旧結果を受け取るかまで決めます。
  1. 火災、煙、落下物、天井材のずれがないか安全を確認する
  2. 排煙口、操作箱、表示、開き具合、異音を写真に残す
  3. 図面で受持ち区画と隣接する避難経路を確認する
  4. 施設責任者が立入、収容人数、用途などの制限を決める
  5. 専門業者へ点検を依頼し、必要に応じて所轄消防署へ相談する
使用制限の内容は、建物の用途、区画、在館者、避難経路、設備方式で変わります。
現場だけで一律に「閉鎖」または「利用可」と決めず、施設責任者と専門家で判断します。
制限中は対象区画、開始時刻、案内方法、避難誘導の追加配置を時刻入りで記録してください。
専門点検の日時と復旧見込みを共有し、暫定運用の終了条件を明確にします。

制限の開始時刻も残します。

ええですね。
終了条件もセットです。

窓を開ければ代替できると思うと何を見落とすのか

開放した窓や送風機と排煙口を分けて考える施設担当者のアイソメ図
普通の窓を開けたり送風機を置いたりしても、設置されている排煙設備が復旧したことにはなりません。
排煙口は、防煙区画、開放装置、風道、排煙機などと組み合わさって機能します。
室内の空気が動くことと、火災時に計画された経路で煙を排出できることは分けて考えます。
消防庁の点検要領は、排煙口が完全に開放すること、排煙機と連動するものは確実に起動することなどを確認事項にしています。
次の見落としに注意してください。
  • 排煙口は開いたように見えるが完全開放していない
  • 手動操作箱が動いてもワイヤーや連動部が作動していない
  • 排煙口は開いたが排煙機が起動していない
  • 地震で防煙区画壁や風道の支持部が損傷している
  • 窓の開放で扉や避難経路へ予想外の風が生じる
国土交通省の保全資料も、排煙口が開かない場合に電源を確認し、排気されない場合に防火ダンパーや排煙ファンの連動を確認する例を示しています。
ただし、点検時以外にむやみに起動せず、設備方式を理解した専門業者と操作を調整してください。
施設担当者は、窓や送風機を使った事実も記録し、火災時の安全対策として適切かを相談します。
「風が通った」という感覚ではなく、設備の作動結果で復旧を判断しましょう。

窓が開けば同じではないんですね。

そのとおりです。
復旧は作動確認で判断します。

明日から排煙口の不作動対応をどう確認するのか

専門業者が排煙口を点検し施設担当者が復旧結果を記録するアイソメ図
平常時に設備図、区画図、点検結果、専門業者の連絡先を一つにまとめます。
消防計画には通報や避難誘導を、BCPには設備不良時の利用制限、代替運用、業務再開条件を整理しましょう。
「手動操作箱を動かしても一つの排煙口が開かない」という想定で、連絡から復旧確認まで訓練します。
  1. 排煙方式、受持ち区画、操作場所を図面で確認する
  2. 設備担当、防火管理者、BCP担当の責任者と代行者を決める
  3. 不作動状況を写真と時刻で残す記録票を用意する
  4. 利用制限と避難誘導の追加配置を決める
  5. 専門業者と所轄消防署への連絡先と順番を確認する
  6. 作動確認の結果を受けて再開を判断する流れを訓練する
消防庁の総合点検基準は、非常電源へ切り替えた状態で起動装置を操作し、排煙機や給気機が確実に起動することなどを確認項目にしています。
こうした操作は、空調設備などへの影響もあるため、専門業者と事前に調整してください。
復旧後は、排煙口の完全開放、起動装置、排煙機、表示などの結果を受け取り、施設側で保管します。
消防計画とBCPを更新したら、更新日と責任者を残しましょう。

不作動を想定して訓練します。

ええですね。
再開判断まで確認できます。

よくある質問

Q排煙口が一つ開かないだけでも利用を止めますか?
A建物全体を一律に止めるとは限りません。受持ち区画、用途、避難経路を確認し、影響範囲に応じた利用制限を決めます。
Q窓や送風機を使えば排煙設備の代わりになりますか?
A自動的に同じ扱いにはなりません。設備の復旧とは分け、専門業者と所轄消防署へ確認してください。
Q施設担当者が何度も操作して確認してよいですか?
A無理な反復操作や分解は避けます。外観と最初の操作結果を記録し、設備方式を理解した専門業者へ依頼します。
Q復旧完了は誰が判断しますか?
A専門業者の点検結果と利用制限の終了条件を確認し、施設側の責任者が判断します。復旧時刻と判断根拠を記録します。

まとめ

不作動の排煙口が受け持つ区画を特定します。
操作結果と外観を写真と時刻で残します。
影響区画の利用条件と避難誘導を見直します。
排煙口から排煙機まで経路全体を確認します。
窓や送風機を復旧扱いにしません。
専門点検で完全開放と連動を確認します。
不作動対応を消防計画とBCPの訓練へ反映します。

排煙口の不作動訓練をやってみます!

範囲特定・利用制限・専門点検を一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令・点検資料等に基づく一般的な解説です。排煙設備の法令上の扱い、点検方法、使用制限、復旧、営業再開の判断は、建物の用途・規模・設備方式や被害状況で異なります。実際の対応は専門業者、建築士等の資格者および所轄消防署・特定行政庁へご確認ください。
BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
地震後に排煙口と手動操作箱を確認する施設管理者の写真を使ったアイキャッチ
地震後の巡回で、壁の手動操作箱を動かしても天井の排煙口が開かなかったらどうしますか。 「窓を開ければ換気できる」と、そのまま通常利用へ戻すのは危険です。 排煙口が受け持つ区画や不作動の原因を確認しないままでは、火災時の煙...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →