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BCPで火災避難後にパソコンを取りに戻ってよいのか|再入館を防ぐ重要情報の備えを解説

パソコンが残る室内への再入館を防ぐ入口を写したアイキャッチ

火災の避難中に、机へ置いたパソコンや重要書類を思い出すことはありませんか。
「数十秒で取れる」と感じても、建物の中では煙や火の広がり方を外から正確に判断できません。
人命を守る避難と、重要情報を守るBCPは、同じ瞬間に同じ人へ背負わせないことが大切です。
火災時は戻らずに避難を完了し、情報は平時のバックアップで守ります。

避難してから、机のパソコンを置いてきたことに気づいたらどうしますか。

取りに戻らず、まず建物外への避難を完了してください。

ほな、事業に必要なデータは諦めるしかないんですか。

そこを事前のバックアップで切り分けるのがBCPです。

この記事の結論
  • 火災で一度避難したらパソコンや書類を取りに戻りません
  • 避難時は持ち物より人命を優先します
  • 重要情報は同時被災しない場所へ複製します
  • 集合場所では点呼と再入館防止を同時に行います
  • 鎮火後も消防機関等の確認前に自己判断で立ち入りません

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火災時はパソコンを取りに戻らず点呼と再入館防止を行いバックアップで事業を継続する流れのアイソメ図

火災避難後にパソコンを取りに戻ってよいのか

警報が鳴る事務所でパソコンを置いたまま避難口へ向かう担当者のアイソメ図
火災時は、避難したあとに持ち物を取りに建物へ戻りません。
消防庁の自衛消防組織に関する資料でも、一度避難した者を再び戻らせない考え方が示されています。
取りに戻らないのが原則です。
煙は有害なガスを含み、短時間で室内へ広がります。入口から炎や煙が見えなくても、机までの経路が安全とは限りません。
パソコン、財布、鍵、契約書などの物品は、逃げ遅れた人とは扱いが違います。
取り残された人の情報は消防隊へ伝え、自分で救出や回収に戻らないようにします。
まず全員が安全な集合場所まで移動し、点呼と情報提供を優先しましょう。

入口から煙が見えなくても、戻ったらあかんのですね。

はい。
見えない煙と熱を自己判断しないでください。

どの端末と重要情報を対象に確認するのか

事務所のパソコンと重要書類を遠隔バックアップへ分けて保管するアイソメ図
戻りたくなる理由を減らすには、端末と情報を平時に洗い出します。
対象は会社支給パソコンだけではありません。現場の運用に必要な連絡先、図面、契約情報も確認します。
端末と情報を分けて考えます。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要な情報システムのバックアップと、連絡先一覧の更新を事前対策として示しています。
まず次の対象を、自社の業務に合わせて一覧にします。
  • 重要業務で使うパソコンと業務端末
  • 顧客や従業員へ連絡するための連絡先一覧
  • 消防隊への情報提供に使う建物図面と在館情報
  • 復旧判断に必要な契約情報と設備台帳
端末本体を持ち出せなくても、別拠点や適切に管理された外部サービスから必要な情報へアクセスできれば、避難と事業継続を切り分けられます。
反対に、唯一のデータが机上の端末だけにある状態は単一障害点です。
だから明日、重要業務ごとに「端末を失っても何が残るか」を確認してください。

パソコンを持ち出す計画より、データを別に残す計画が先なんですね。

そうです。
避難を遅らせない設計にしましょう。

避難完了から再入館防止まで何を決めるのか

建物入口の前で再入館を止めながら集合場所で点呼する担当者のアイソメ図
避難を完了しても、誰かが忘れ物を取りに戻れば安全管理は崩れます。
集合場所の点呼と建物入口の管理を、別々の担当任せにしないことが重要です。
出口の外までが避難です。
消防法施行規則第3条は、消防計画に消火、通報連絡、避難誘導や訓練などを定める枠組みを置いています。
現場では次の順番を一つの手順にします。
  1. 警報や指示を受けたら、端末を回収せず避難を開始する
  2. 避難者を決めた集合場所へ誘導する
  3. 点呼担当が未確認者と最後に確認した場所を整理する
  4. 入口担当が再入館を止め、消防隊へ必要な情報を渡す
入口担当者も危険な位置に残りません。建物外の安全な場所から声をかけ、消防隊の活動を妨げない位置で管理します。
パソコンや書類を思い出した人には、バックアップ担当へ申し出る経路を案内します。
「取りに戻る」以外の選択肢をその場で示せることが、再入館防止につながります。

点呼だけやなく、入口で戻る人を止める担当も要りますね。

その役割を避難誘導班の動きに入れておきましょう。

煙が見えなければ戻れると思うと何を見落とすのか

外見上は静かな建物入口への再入館を禁止して安全距離を保つアイソメ図
外から火が見えないことと、建物内が安全であることは同じではありません。
煙、熱、再燃、落下物、電気設備の損傷など、避難者が確認できない危険が残ります。
見た目だけでは判断できません。
消防庁の防災危機管理eカレッジは、煙に一酸化炭素などの有害ガスが含まれ、短時間で室内へ広がることを説明しています。
また東京消防庁は、火災現場には火災調査が終了するまで立ち入らないよう案内しています。
見落としやすい区別を整理します。
  • 警報が止まったことと、安全確認が終わったこと
  • 炎が見えないことと、煙や熱が無いこと
  • 鎮火したことと、火災調査や施設確認が終わったこと
  • 管理職の判断と、消防機関等による現場確認
火災中の再入館と、鎮火後の復旧調査も混同しないようにします。
いずれも自己判断で戻らないことを手順へ明記し、現場の指示に従ってください。

警報が止まっただけで戻るのも危ないんですね。

はい。
鎮火と立入可能は別に確認してください。

明日から重要情報と再入館防止をどう確認するのか

担当者がバックアップ一覧と避難後の再入館防止手順を訓練するアイソメ図
新しい仕組みを買う前に、今の避難訓練とバックアップをつなぎます。
避難と情報保全を同じ担当者の瞬間判断へ任せないことが出発点です。
平時の準備で戻る理由を減らします。
内閣府の事業継続ガイドラインは、初動手順、指揮命令系統、連絡先、情報システムのバックアップを事前に整える考え方を示しています。
次の順番で確認してください。
  1. 重要業務ごとに失って困る端末と情報を洗い出す
  2. 重要情報を別拠点または適切な外部環境へバックアップする
  3. 避難集合場所と点呼担当と入口担当を消防計画で確認する
  4. 火災時は持ち物を取りに戻らないと全員へ周知する
  5. 訓練で再入館しようとする人への声かけまで試す
訓練では、端末を置いたまま避難する場面をあえて入れます。
集合場所でバックアップ担当が代替端末や連絡先へアクセスできるかも確認します。
避難完了、点呼、消防隊への情報提供、BCPへの受渡しまで一続きに記録すれば、改善点が見えます。

次の訓練は、パソコンを置いて避難するところまで試します。

ええですね。
訓練後は戻りたくなった理由も記録してください。

よくある質問

Qスマートフォンが机にあっても取りに戻ってはいけませんか?
Aはい。建物外へ避難した後は、端末を取りに戻らないでください。連絡手段は集合場所側にも用意します。
Q管理職なら重要書類を回収しに戻れますか?
A役職にかかわらず戻りません。重要書類は事前の複製や安全な外部保管で備えます。
Q火が消えたように見えれば建物へ入れますか?
A自己判断では入りません。鎮火後も火災調査や安全確認が終わるまで現場の指示に従います。
Qクラウドへ保存すればBCPは十分ですか?
A保存先だけでなく、代替端末、認証方法、連絡手段を含めて災害時に取り出せるかを訓練で確認します。

まとめ

✔火災避難後はパソコンや書類を取りに戻りません
✔避難では持ち物より人命を優先します
✔重要情報は同時被災しない場所へ複製します
✔集合場所で点呼と再入館防止を行います
✔未確認者の情報は消防隊へ伝えます
✔鎮火後も自己判断で立ち入りません
✔訓練は避難からバックアップ利用までつなげます

戻らずに済む備えまで、次の訓練で確認します!

人命と重要情報を切り分けて守りましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。火災時は現場の消防機関や施設管理者の指示に従ってください。個別の消防計画やBCPは、施設の用途と実態に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。

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