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防炎カーテンの薬剤には使用禁止の物質があるのか|寝具やカーテンに使えない3つの成分を解説

防炎カーテンの薬剤には使用禁止の物質があるのかを解説する記事のアイキャッチ画像

旅館や病院、福祉施設などでは、カーテンやじゅうたんに防炎表示があれば安心と考えがちです。
ところが防炎処理に使う薬剤そのものにも、消防法とは別の法律による規制があることは見落とされがちです。
表示は付いていても、薬剤が別の基準に適合していなければ、その製品は別の法律違反になっている可能性があります。
この記事では、防炎処理の薬剤に何が禁止されているかを解説します

うちの施設のカーテン、防炎表示が付いているので安心していました。
それだけで十分ですよね。

実は表示とは別の法律が、薬剤そのものを規制しています。
使ってはいけない成分があるんです。

消防法の防炎表示とは別に、ですか。
知りませんでした。

寝具やカーテンに使う禁止薬剤が具体的に決まっています。
今日はその中身を見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防炎カーテンや寝具には、消防法の防炎表示とは別に、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律による薬剤規制がかかります
  • 寝衣・寝具・カーテン・床敷物には、リン系の難燃剤3物質の使用が基準で制限されています。
  • これらの薬剤は健康被害のおそれから規制対象になった経緯があります
  • 防炎表示があることと、薬剤が家庭用品基準に適合していることは、別の確認事項です。
  • 基準に適合しない製品を販売した事業者には、罰則が定められています。

防炎処理の薬剤にも法令の規制があることを示す図解

防炎カーテンの薬剤にも法律の規制はあるのか

防炎表示が付いたカーテンと薬剤の入ったフラスコを並べたアイソメ図
防炎物品というと、消防法の防炎表示を思い浮かべる方が多いはずです。
実はそれとは別に、薬剤そのものを規制する法律があります。
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第二条第二項 この法律において「有害物質」とは、家庭用品に含有される物質のうち、水銀化合物その他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定める物質をいう。
同法第四条第一項 厚生労働大臣は、保健衛生上の見地から、厚生労働省令で、家庭用品を指定し、その家庭用品について、有害物質の含有量、溶出量又は発散量に関し、必要な基準を定めることができる。
防炎処理に使う薬剤にも、健康被害の観点から使用を制限する法律があります。
消防法第8条の3は、カーテンやじゅうたんなど防炎対象物品そのものの防炎性能を義務付ける法律です。
一方、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律は、家庭用品に含まれる化学物質が人の健康に被害を与えないようにするための、まったく別の法律です。
防炎処理をしたカーテンや寝具は、この両方の規制が同時にかかる製品になります。
まずはどんな薬剤が対象になっているかを確認しましょう。

防炎表示の基準と、薬剤の基準は別物なんですね。

はい。
対象になる製品と薬剤を次に見ていきます。

どんな薬剤の使用が制限されているのか

寝具とカーテンと床敷物を並べたアイソメ図
対象になる製品は限られています。
まず製品の範囲を押さえましょう。
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則別表第1(第1条関係) トリス(1―アジリジニル)ホスフインオキシド 繊維製品のうち、寝衣、寝具、カーテン及び床敷物 検出されないこと。
トリス(2,3―ジブロムプロピル)ホスフエイト 繊維製品のうち、寝衣、寝具、カーテン及び床敷物 試料1gあたり8μg以下であること。
ビス(2,3―ジブロムプロピル)ホスフエイト化合物 繊維製品のうち、寝衣、寝具、カーテン及び床敷物 試料1gあたり10μg以下であること。
対象になるのは、寝衣・寝具・カーテン・床敷物という繊維製品です。
このうちトリス(1―アジリジニル)ホスフインオキシドは、検出されてはならないという最も厳しい基準です。
残り2つのリン系薬剤も、試料1グラムあたり数マイクログラム単位というごくわずかな量までしか許容されていません。
これらの物質は、政令「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第二条第二項の物質を定める政令」の第十号・第十一号・第十四号に指定されている物質です。
物質名だけでは分かりにくいので、次はなぜこれらが規制対象になったのかを見ていきます。

カーテンだけでなく寝具や寝巻きも対象なんですね。

はい。
規制された理由も確認しておきましょう。

なぜこれらの薬剤は使用が制限されたのか

禁止薬剤と使用できる薬剤のフラスコを比べるアイソメ図
規制の目的は、防炎性能を落とすことではありません。
人の健康への被害を防ぐことが目的です。
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第一条 この法律は、有害物質を含有する家庭用品について保健衛生上の見地から必要な規制を行なうことにより、国民の健康の保護に資することを目的とする。
この法律の目的は、家庭用品による健康被害から国民を守ることです。
規制対象のリン系難燃剤は、かつて寝巻きなどの防炎加工に広く使われていた薬剤ですが、健康への影響が指摘され、基準による使用制限の対象になりました。
防炎性能そのものを否定する規制ではなく、どの薬剤で防炎性能を持たせるかを問う規制だという点が重要です。
同じ防炎性能でも、基準に適合した薬剤を使えば規制の対象にはなりません。
次は、この規制を実務でどう見落としやすいかを確認します。

薬剤を変えれば、防炎性能自体は維持できるんですね。

そのとおりです。
発注時の見落としを次に見ましょう。

発注時に見落としやすいのはどこか

防炎タグの付いた書類と空欄の証明書を並べたアイソメ図
防炎表示だけを確認して終わりにするのが、よくある見落としです。
表示と薬剤基準は、別々に確認する必要があります。
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第五条 前条第一項又は第二項の規定により基準が定められた家庭用品の製造、輸入又は販売の事業を行なう者は、その基準に適合しない家庭用品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で陳列してはならない。
基準に適合しない家庭用品は、販売そのものが禁止されています。
消防法の防炎表示は、あくまで燃えにくさの性能を示す表示であり、薬剤が家庭用品基準に適合しているかどうかは表示から読み取れません。
違反した事業者には、同法第10条により拘禁刑または罰金の罰則が定められています。
発注する側から見ると、既製の防炎カーテンや寝具は通常の流通品であれば基準に適合していますが、特注品や海外製品を扱う場合は注意が必要です。
次は、発注前に確認しておきたい手順を整理します。

うちは既製品を仕入れているので、大きな心配はなさそうです。

それでも確認の手順を持っておくと安心です。

防炎処理を発注する前に何を確認すればよいか

チェックリストとカーテンの生地見本を確認する場面のアイソメ図
最後に、発注前に確認しておきたい項目を整理します。
順番に見ていきましょう。
  • 寝具・カーテン・床敷物を発注するときは、防炎表示だけでなく製品が国内の家庭用品基準に適合しているかを確認します
  • とくに特注品や海外製の生地を防炎処理させる場合は、業者に使用薬剤を確認します。
既製の防炎表示付き製品を国内の登録表示者から仕入れる分には、通常は家庭用品基準にも適合しています。
判断に迷う場合は、購入前に販売元へ薬剤の適合状況を確認しておくと安心です。
防炎表示と薬剤基準は別の確認事項だと理解しておくだけでも、見落としを防げます。
不明な点があれば、所轄消防署や保健所に相談することをおすすめします。

次の発注のときは薬剤の適合状況も聞いてみます。

表示と薬剤の両方を確認する習慣をつけましょう。

よくある質問

Q防炎表示があれば薬剤の基準は自動的に満たしていますか?
A防炎表示は消防法にもとづく燃えにくさの表示で、薬剤の家庭用品基準への適合を直接示すものではありません。国内の登録表示者による正規の流通品であれば通常は両方を満たしていますが、別の確認事項だと理解しておくことが大切です。
Q規制対象の薬剤を使うとどんな罰則がありますか?
A基準に適合しない家庭用品を販売・授与・陳列した事業者には、同法第10条により1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。対象は製造・輸入・販売の事業者です。
Q寝具やカーテンを自前で防炎処理する場合はどうなりますか?
A防炎処理を業者に委託する場合は、その業者が使用薬剤を基準に適合したものにしているかを確認してください。個別の判断は所轄消防署または保健所にご相談ください。
Q規制対象になる製品はカーテン以外にもありますか?
Aはい。施行規則別表第1では寝衣・寝具・カーテン・床敷物の繊維製品が対象とされています。旅館や病院、福祉施設で使う寝具類も含まれる点に注意してください。

まとめ

防炎カーテンや寝具には、消防法の防炎表示とは別に、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律による薬剤規制がかかります。
根拠は同法第2条・第4条と、これにもとづく施行規則別表第1です。
寝衣・寝具・カーテン・床敷物には、リン系難燃剤3物質の使用が基準で制限されています。
規制の目的は健康被害の防止で、防炎性能そのものを否定するものではありません。
防炎表示があることと、薬剤が家庭用品基準に適合していることは別の確認事項です。
基準に適合しない製品を販売した事業者には罰則が定められています。
判断に迷ったら所轄消防署または保健所への確認が確実です。

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㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または保健所にご確認ください。

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