固定電話をISDN回線に切り替える建物が増えていますが、火災通報装置は昔からそのまま使えたわけではありません。
誤って接続すると火災通報ができなくなる事例があったため、消防庁は一時ISDN回線への接続を認めていませんでした。
現在は対応する機器を介し、一定の基準を満たせば技術的に接続してよいとされています。
この記事では、ISDN回線に火災通報装置を接続するための機器の要件から専用チャンネルの確保、既設からの切替え時の注意点までを消防庁の通知にもとづいて整理します。
うちの電話回線をISDN回線に変えようか検討中なんですが、火災通報装置ってそのままつないで大丈夫なんでしょうか。
実は以前はISDN回線への接続自体が認められていませんでした。
今は条件付きで接続できるようになっていますよ。
え、そうなんですか。
どうすれば接続を認められることになるんでしょうか。
対応する機器を介して接続し、機能を確認する必要があります。
まずは接続が認められるようになった経緯から見ていきましょう。
- ISDN回線への火災通報装置の接続は、以前は認められていませんでしたが、消防予第266号の基準を満たせば技術的に接続してもよいとされています。
- 接続には、製造者が適合を確認した火災通報装置対応TA、またはさらに優先機能を持つ火災通報優先接続型TAを介する必要があります。
- 火災通報装置には1の信号チャンネルを専用として確保し、デジタル機器を接続する場合は送受信情報量を64kbps以下に抑える必要があります。
- アナログ回線からISDN回線に変更した既設の火災通報装置も、同じ基準に沿った確認が必要です。
- 対応TA等の設置は消防用設備等の工事には該当しませんが、設置者自身による確認と消防機関の検査時の確認の両方が求められます。
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目次
ISDN回線への火災通報装置の接続はなぜ認められるようになったのか

インターネットの普及でISDN回線に切り替える建物が増えたことが、この基準ができたきっかけです。
誤ってISDN回線に従来の火災通報装置を接続し、火災通報ができなくなっていた事例が散見されたためです。
その後、火災通報装置の機能を損なうことなくISDN回線に接続できる機器の開発が進み、平成12年に消防予第266号が発出されました。
接続そのものが自由になったわけではなく、決められた基準どおりに設置・維持管理し、機能が確認されたものだけが対象です。
まずはどんな機器を介せば接続が認められるのかを見ていきましょう。
昔は接続そのものがだめだったのに、今は条件付きでよくなったということですね。
はい、機器と確認の両方がそろって初めて認められます。
次はその機器の要件を見てみましょう。
どんな機器を介せば技術的に接続が認められるのか

その機器にも、備えるべき機能が細かく定められています。
一般的なTAをそのまま使うことはできず、火災通報装置対応TAとしてメーカーが適合を確認した機器を、回線終端装置のDSUと組み合わせて使います。
さらに他の端末機器より火災通報装置の信号を優先して送り出す機能を持つものは「火災通報優先接続型TA」と呼ばれ、より確実な接続が期待できます。
対応TAには、火災通報装置の音声を正確にISDN回線へ送り、消防機関からの呼返しも正確に伝える機能に加え、その呼返しを他の端末機器に漏らさない機能も求められます。
停電時も火災通報装置が予備電源で動いている間は、TA側も有効に機能する措置が必要です。
今使っているTAが火災通報装置に対応しているかどうかは、どこで分かるんでしょうか。
火災通報装置の製造メーカーに適合を確認できます。
次は実際の接続方法を見ていきましょう。
専用チャンネルはどう確保して優先接続を実現するのか

接続方法によって、確保すべきチャンネルの扱いが変わります。
優先接続型TAなら、アナログとデジタルの端子にそれぞれ別の端末機器をつないでも差し支えありませんが、デジタル側は送受信情報量を64kbps以下に抑える必要があります。
128kbpsのまま使うと、火災通報装置が起動してから通報までに90秒ほどかかることがあるためです。
優先接続型TA以外の対応TAを使う場合は、ISDN回線の信号チャンネルの1つを火災通報装置専用にし、他の端末機器はアナログ・デジタルどちらかの端子に1台だけしかつなげません。
自社の回線に接続する端末機器の台数と種類を、この区別にあわせて整理しておくことが大切です。
うちは事務所のFAXも同じ回線に何台かぶら下げているんですが、それは大丈夫でしょうか。
接続方法によってつなげる台数が変わりますので確認が必要です。
次は実務で見落としやすい注意点を見ていきましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

また、TAの設置そのものの扱いにも見落としやすい点があります。
新規設置のときに基準を満たしていても、アナログ回線からISDN回線に契約を変更すれば、同じ基準にもとづく確認をやり直す必要があります。
電話回線の契約変更は総務部門など防火管理の担当外で進むことが多く、火災通報装置への影響に気づかないまま切り替わってしまうことがあります。
また、対応TA等の設置工事は消防用設備等の工事そのものには当たらないとされているため、消防用設備等の着工届の対象から外れやすい点にも注意が必要です。
なお、ISDN回線(INSネット)自体は2028年12月31日に提供終了が予定されており、新規契約や移転もすでに2024年8月31日で終了しています。今ISDN回線を使っている建物は、次の回線への切替えも見据えておく必要があります。
回線の契約変更って、防火管理の担当には知らされないまま進むこともありそうですね。
社内の連携が大切になります。
次は具体的に何を確認すればよいかをまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

どちらも欠かすことはできません。
火災通報装置対応TA等の仕様、火災通報装置との適合、ISDN回線への接続方法の3点を確認するところがスタートです。
確認できたら、消防機関にも接続方法と通報状態を検査時に見てもらう必要があります。
設置したあとも、点検のたびにTA等の機能と接続状態を確認し、火災通報装置の点検結果とあわせて消防機関へ報告することが求められます。
まずは自社の火災通報装置がどんな電話回線に接続されているかを、点検業者や電話回線の契約状況から確認するところから始めましょう。
点検のときにTAのことまで聞かれた覚えがないので、今度確認してもらいます。
点検結果とあわせた報告まで確認しておくと安心です。
回線の種類を一度整理しておきましょう。
よくある質問
まとめ
ISDN回線でも条件を満たせば大丈夫だと分かって安心しました!
㈱防災屋でもご相談を承っております。
まずは自社の火災通報装置がどの回線につながっているかを確認してみてください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第23条
- 消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第25条
- 総務省消防庁「火災通報装置のISDN回線への接続等の取扱いについて」(消防予第266号、平成12年11月30日)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





