ボイラーや自家用発電設備で危険物を消費する施設は、危険物の規制に関する規則第28条の55以降に特例が用意されています。
ただし設備が2台に分かれていたり、性質の違う装置が同じ室に混在していたりすると、どの単位で許可を取るのか迷います。
非常用の発電設備を停電時に動かすことは認められるのか。
廃止された運用基準で取った既存の許可はどうなるのか。
実際の照会をもとに解説します。
ボイラーが離れた場所に2台あるんやけど、これ1つの一般取扱所にするか2つに分けるか、どっちが正解なん?
正解が1つに決まっていない論点です。
示された4つの方法のいずれによっても差し支えないとされています。
ほんなら同じ部屋にボイラーと油圧装置が混じってても、まとめて同じ特例でいけるやんな。
そちらは適用できないとされました。
設備の数ではなく、混在している装置の種類で結論が変わります。この記事でまとめて解説します!
- 区画のない作業所内に離れて置かれた2つのボイラー設備は、示された4つの方法のいずれによっても差し支えない
- 同一作業室内にボイラー設備と高引火点危険物を用いる油圧装置等が混在している場合、両設備を併せて規則第28条の57の基準を適用することはできない
- 耐火構造の壁で区画された専用室に発電設備とボイラー設備を隣り合わせて設ける場合は、1つとするか2つとするかは設置者等の選択によられたい
- 他の部分との区画壁に、防火上有効にダンパー等を設けた換気または排出設備を設置しても差し支えない
- 非常用電源として使用する自家用発電設備は、耐震措置・サービスタンク・自動遮断装置の要件を満たせば、政令第23条を適用して残存する危険物により一時的に稼働させて差し支えない
- 廃止された運用基準に基づき許可された一般取扱所は改めて許可を受ける必要はないが、販売取扱所で容器への詰替えを行うには一旦廃止して新たに一般取扱所の許可を受ける必要がある
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目次
離れた2つのボイラー設備は4通りのどれでもよい

工場等区画のない作業所内において、指定数量以上10倍未満の危険物を消費するボイラー設備と、指定数量未満の危険物を消費するボイラー設備とを離れた場所に設置する場合(両設備における危険物消費量の合計が指定数量の10倍未満)、次のいずれによるべきかという問いが立てられました。
- 建築物全体を政令第19条第1項の一般取扱所とする
- 建築物全体を政令第19条第2項の一般取扱所とし、規則第28条の57第2項に規定する技術上の基準を適用する
- 両ボイラー設備を併せて政令第19条第2項の一般取扱所とし、規則第28条の57第3項に規定する技術上の基準を適用する
- 危険物消費量が指定数量以上10倍未満のボイラー設備のみを政令第19条第2項の一般取扱所とし、規則第28条の57第3項に規定する技術上の基準を適用する
4つの方法は、施設の範囲の取り方も適用する基準も異なります。それでもすべて認められました。唯一の正解を決めていないという回答の形自体が答えです。
実務上は、建物の使い方や将来の増設予定を踏まえて、事業者側が管理しやすい単位を選べるということになります。協議の場では「どれが正しいか」ではなく「どれを選ぶか」を持ち込むのが筋になります。
ボイラーと油圧装置の混在では特例を適用できない

同一作業室内において、指定数量以上10倍未満の危険物を消費するボイラー設備と、指定数量未満の高引火点危険物を用いる油圧装置等が混在している場合、両設備を併せて政令第19条第2項の一般取扱所とし、規則第28条の57に定める技術上の基準を適用できるか、という問いです。
前の問いでは2台のボイラーをまとめることが認められたのに、こちらは認められません。違いは装置の種類がそろっているかどうかです。
規則第28条の57はボイラー等で危険物を消費する一般取扱所のための特例です。油圧装置は危険物を消費するのではなく作動流体として使うため、別の号で整理されます。性質の違う装置を1つの特例に押し込むことはできないという整理になります。
一方で、指定数量以上10倍未満の危険物を消費する発電設備とボイラー設備を、耐火構造の壁で区画されたそれぞれの専用室に隣り合わせて設ける場合、1つの一般取扱所とすべきか2つの一般取扱所とすべきかという問いもあります。
発電設備とボイラー設備はどちらも危険物を消費する装置なので、同じ特例の枠に収まります。そのうえで耐火構造の壁で区画されているため、まとめても分けても保安上の差が生じません。だから選択に委ねられています。
区画壁にダンパー付きの換気設備は設けられる

規則第28条の55第2項第2号および第28条の56第2項第1号に規定する他の部分との区画壁に、防火上有効にダンパー等を設けた換気または排出設備を設置しても差し支えないか、という問いがあります。
区画壁は他の部分と切り離すためのものですが、可燃性蒸気を屋外へ排出する設備は危険物施設に必須です。この2つは一見矛盾しますが、防火ダンパーで火災時に自動的に閉じれば区画の性能は保たれます。
配管への覗き窓が認められないのと対照的です。ダンパーは平常時は開き火災時に閉じるという機能で区画を成立させているため認められます。
あわせて、規則第28条の56第3項第2号等に規定する危険物を取り扱う設備から3メートル未満となる建築物の壁および柱が耐火構造である場合の当該範囲は、当該設備から水平距離3メートル未満となる範囲に存する壁および柱と解してよいのか、という問いにもお見込みのとおりと回答されています。斜めの距離ではなく水平距離で測るという確認です。
非常用の自家用発電設備は残存分で一時稼働できる

地震時または停電時等の緊急時に消防用設備等の非常用電源として使用する自家用発電設備について、次の要件を満足する場合には政令第23条を適用して設置を認め、サービスタンクに残存する危険物により発電設備等を一時的に稼働させて差し支えないか、という照会がありました。
- 危険物施設には十分な耐震性を有するような措置を講ずること
- 指定数量未満の危険物を取り扱うタンク(サービスタンク)を設けること
- 地震時または停電時等の緊急時に危険物の供給を自動的に遮断する装置を、危険物を取り扱うタンク(サービスタンク)の直近(貯蔵タンク側)に設けること
ここでの考え方は、貯蔵タンクからの供給を切り離してサービスタンクの分だけで動かすというものです。自動遮断装置をサービスタンクの直近の貯蔵タンク側に設けるという指定が肝で、これにより地震時に大量の危険物が流れ込むことを防ぎます。
あわせて、病院等電力供給を停止することにより重大な支障が生じるおそれのある施設に設けられる非常用電源についても問われており、こちらも同様の扱いが示されています。
地震時においては、速やかに危険物の漏えいがないことを確認する必要がある。また、点検等により屋内貯蔵タンク等の貯蔵タンク及び配管等に漏れがないこと等安全を確認した後にあっては、遮断装置等を解除して差し支えないとされています。
自動遮断装置は作動させたままにするものではありません。地震後に漏えいの有無を確認し、点検で安全を確認できれば解除して通常の運転に戻せます。遮断と復旧の両方を手順として決めておくことが求められます。
廃止された運用基準に基づく既存許可の扱い

改正に伴い、昭和42年1月30日付け自消丙予発第7号「販売取扱所及び一般取扱所の設置に関する運用基準について」の別添のうち一部が廃止されることとなりました。そこで既存の許可がどうなるかが問われています。
まず「小口詰替専用の一般取扱所の設置に関する運用基準」が廃止される場合、当該通達に基づき許可された容器に危険物を詰め替える一般取扱所については、改めて政令第19条第1項の一般取扱所として許可を受ける必要があるのか。また規則第28条の59の基準を満たしていれば政令第19条第2項第5号の一般取扱所としての許可を受けたものとみなせるか、という問いです。
既存の許可はそのまま有効ですが、新しい号の許可に自動的に移し替えられるわけではありません。特例の適用を受けたいのであれば、あらためて手続きが必要という整理です。
もうひとつ、「建築物外に設ける販売取扱所の設置に関する運用基準」が廃止される場合、当該通達に基づき許可された販売取扱所において、施行日以降も従来どおり危険物の容器への詰替えを行ってよいか、という問いです。
さらに、許可を受けなかった場合にも当該施設は従来どおり販売取扱所ではあるものの、政令第27条第6項第2号ロの規定により容器への詰替えはできないと示されています。
施設の区分は残るが、その区分でできる行為が制限されるという結論です。既存施設を持っている場合は、実際に行っている作業が許可の区分と合っているかを確認してください。
よくある質問
まとめ
- 区画のない作業所内に離れて置かれた2つのボイラー設備は、示された4つの方法のいずれによっても差し支えない
- ボイラー設備と高引火点危険物の油圧装置等が混在する場合は、規則第28条の57の基準を適用できない
- 耐火構造の壁で区画された専用室に発電設備とボイラー設備を隣り合わせる場合は、設置者等の選択によられたい
- 他の部分との区画壁に、防火上有効にダンパー等を設けた換気または排出設備を設置しても差し支えない
- 設備から3メートル未満となる壁および柱の範囲は水平距離で判断する
- 非常用電源の自家用発電設備は、耐震措置とサービスタンクと自動遮断装置を条件に政令第23条を適用して一時稼働できる
- 廃止された運用基準の既存許可は改めての許可は不要だが、販売取扱所で容器への詰替えを行うには一旦廃止して一般取扱所の許可を受ける必要がある
選べるところと、選べへんところがはっきりしてるんやな。
そのとおりです。
同じ性質の装置なら単位の取り方は選べますが、性質が違う装置を1つの特例に入れることはできません。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第19条・第23条・第27条第6項第2号ロ e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の55から第28条の60まで e-Gov法令検索
- 「販売取扱所及び一般取扱所の設置に関する運用基準について」(昭和42年1月30日付け自消丙予発第7号 消防庁予防課長通達)
- 「危険物規制事務に関する執務資料(給油取扱所を除く)の送付について」(平成元年7月4日付け消防危第64号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)問28から問32まで
- 「危険物規制事務に関する執務資料の送付について」(平成2年3月31日付け消防危第28号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)問5・問6
- 「危険物規制事務に関する執務資料の送付について」(平成9年3月25日付け消防危第27号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)一般取扱所の基準に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




