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防火設備の煙感知器はなぜ設置してはいけない場所が決まっているのか|自動閉鎖装置から手動閉鎖装置の高さ基準まで解説

天井の煙感知器を確認する女性検査員

防火設備が火災時に確実に働くためには、感知器や閉鎖装置がそもそも正しい場所に取り付けられていることが前提になります。
検査で作動や劣化を確認する基準の裏側には、どこに設置しなければならないかという告示の細かい規定があります。
煙感知器には設置してはいけない場所まで定められており、熱感知器や閉鎖装置にもそれぞれ別の基準があります。
この記事では煙感知器の設置基準から自動閉鎖装置・手動閉鎖装置の設置場所までの考え方を解説します。

検査で「感知器の位置がおかしい」と指摘されたんですが、そもそもどこに置くものなんですか。

煙感知器は壁やダクトからの距離まで細かく決まっています。

うちの厨房の近くにも感知器があるんですが、あれって問題ないんでしょうか。

厨房のように煙が滞留する場所は、そもそも設置を避ける基準があります。

この記事の結論
  • 煙感知器(スポット型)は水平距離10m以内・壁から0.6m以上離して設置します。
  • 煙感知器はじんあいや水蒸気が滞留する場所など7か所への設置を避ける基準があります。
  • 熱感知器(スポット型)も水平距離10m以内・壁から0.6m以上という数値は煙感知器と共通します。
  • 自動閉鎖装置と温度ヒューズ装置は熱から保護しながら確実に作動する場所を選んで設置します。
  • 手動閉鎖装置は床からの高さ80cm〜150cmを目安に設置します。

煙感知器や自動閉鎖装置・手動閉鎖装置の設置基準の概要をまとめたインフォグラフィック

煙感知器(スポット型)はなぜ壁やダクトの近くを避けて設置するのか

天井の煙感知器と壁からの距離を確認する女性作業員のイラスト
天井に取り付けるスポット型の煙感知器は、壁からもダクトからも一定の距離を取って設置しなければなりません。
距離が近すぎると、煙の流れが乱れて感知が遅れるおそれがあります。
問1 スポット型の煙感知器は、壁や吹出口からどのくらい離して設置しなければならないのか。
答1 防火扉、防火シャッター及び耐火クロススクリーンからの水平距離が10m以内となるよう設け、壁(天井から0.5m以上下方に突き出した垂れ壁を含む。)から0.6m以上離れた天井等の室内に面する部分に、下端が天井面から0.6m以内となるように設置しなければならない。
スポット型煙感知器は、壁とダクトの両方から距離を取って設置します。
防火扉、防火シャッター及び耐火クロススクリーンからの水平距離は10m以内が基準です。
垂れ壁を含む壁からは0.6m以上離し、下端は天井面から0.6m以内に収めます。
廊下等の狭い場所で壁から0.6m以上離せない場合は、天井等の中央部分に設置することが認められています。
空調設備や換気設備の吹出口が近くにある場合は、当該吹出口から1.5m以上離れた位置を選びます。
検査でこの距離を確認する前提として、そもそも設計段階でこの数値を満たす位置が選ばれているかを図面で押さえておくと現地確認がスムーズになります。

うちの廊下、天井が低くて感知器を壁から離せないんですが、それでも大丈夫でしょうか。

はい、その場合は廊下の中央部分に設置すれば基準を満たせます。

煙感知器を設置してはいけないのはどんな場所か

厨房の湯気を避けて煙感知器の設置場所を検討する男性作業員のイラスト
煙感知器は、火災でなくても反応してしまう場所への設置が禁じられています。
どんな環境がこれに当たるのか、あらかじめ押さえておく必要があります。
問2 煙感知器は、天井のどんな場所への設置を避けなければならないのか。
答2 換気口等の空気吹出口に近接する場所、じんあい・微粉又は水蒸気が多量に滞留する場所、腐食性ガスの発生するおそれのある場所、厨房等正常時において煙等が滞留する場所、排気ガスが多量に滞留する場所、正常時に煙が多量に流入するおそれのある場所、結露が発生する場所への設置は避けなければならない。
避けるべき場所は7か所あります。
じんあいや水蒸気、腐食性ガスが滞留する場所は、誤作動や機能低下の原因になるため避けます。
厨房等で正常時から煙や排気ガスが滞留する場所も、火災でなくても作動してしまうおそれがあるため設置しません。
イオン化式スポット型は直接外風を受けない場所、光電式スポット型は直接日光を受けない場所を選ぶという、方式ごとの違いもあります。
食堂や厨房に接した廊下・通路では、感知器を出入口付近に設置し、点検が容易な場所を選ぶことも基準に含まれます。

厨房の近くに感知器があるんですが、湯気で誤作動しないか心配です。

厨房のように煙等が滞留する場所は、そもそも設置を避ける基準になっています。

熱感知器(スポット型)の設置基準は煙感知器とどう違うのか

熱感知器の設置位置を確認する女性作業員のイラスト
熱感知器(スポット型)にも設置基準がありますが、煙感知器と共通する部分と異なる部分があります。
どちらも設置する部屋では、両方の基準を押さえておく必要があります。
問3 熱感知器(スポット型)は、煙感知器とどのような点で設置基準が異なるのか。
答3 防火扉、防火シャッター及び耐火クロススクリーンからの水平距離が10m以内となるよう設け、間仕切壁等がないこと、壁から0.6m以上離れた天井等の室内に面する部分に設けることは煙感知器と共通するが、廊下等狭い場所で0.6m以上離せない場合は、当該廊下等の天井等の室内に面する部分の中央部分に設けることとされている。
熱感知器は水平距離と壁からの距離の基準が煙感知器と共通します。
水平距離10m以内、壁から0.6m以上という数値は、煙感知器(スポット型)と同じです。
異なるのは下端の高さの規定がなく、対象となる感知器の種類が定温式・補償式・熱複合式・アナログ式スポット型に限られる点です。
廊下等の狭い場所で壁から離せない場合の扱いも、中央部分に設けるという考え方は煙感知器と共通しています。
熱感知器は煙感知器より誤作動が少ない反面、感知までにやや時間がかかるため、設置場所の選定がより重要になります。

熱感知器と煙感知器って、置き場所の基準も別々に覚えないといけないんですか。

水平距離と壁からの距離は共通なので、その2つを押さえれば大丈夫です。

自動閉鎖装置と温度ヒューズ装置はどこに設置するのか

天井裏の温度ヒューズ装置を確認する男性作業員のイラスト
自動閉鎖装置と温度ヒューズ装置は、どちらも熱を受けて防火設備を閉じる働きをします。
そのため、熱から装置自体を守りながら確実に作動する場所を選ぶ必要があります。
問4 自動閉鎖装置と温度ヒューズ装置は、それぞれどのような場所に設置しなければならないか。
答4 自動閉鎖装置は機能に支障なく点検の容易な位置に設け、常時高温となる場所に設置する場合は断熱性の不燃材料で保護された部分に設ける。温度ヒューズ装置は天井の室内に面する部分又は防火扉若しくは防火扉の枠の上部で熱を有効に感知できる場所において、断熱性を有する不燃材料に露出して堅固に設ける。
2つの装置は、どちらも熱から守りながら確実に働く場所を選びます。
自動閉鎖装置は点検の容易な位置に設け、常時高温になる場所では断熱性の不燃材料で保護します。
温度ヒューズ装置は防火扉やその枠の上部など、熱を有効に感知できる場所に、断熱性のある不燃材料に露出させて堅固に取り付けます。
どちらも火災の熱そのものにさらされて作動する装置のため、周囲の断熱・保護が不十分だと、本来より早く、あるいは遅く反応してしまうおそれがあります。
検査で劣化や損傷を確認する前提として、そもそも取り付け位置と保護の状態が基準どおりかを見ておくことが大切です。

温度ヒューズって、感知器と何が違うんですか。

温度ヒューズは熱で溶けて作動する仕組みで、感知器とは別の装置です。

手動閉鎖装置はなぜ高さまで基準があるのか

手動閉鎖装置のボタンを操作する女性作業員のイラスト
手動閉鎖装置は、火災時に人の手で防火シャッターや耐火クロススクリーンを閉じるための装置です。
誰でもすぐに操作できることが前提のため、設置位置と高さの両方に基準があります。
問5 手動閉鎖装置は、どのような位置と高さに設置しなければならないか。
答5 防火シャッター又は耐火クロススクリーンの近くで、周囲に障害物がなく速やかに作動させることができる位置に堅固に設け、床からの高さは人が手で操作する部分の高さとして80cm〜150cmを目安とする。
手動閉鎖装置は、誰でもすぐ押せる高さに設けます。
設置場所は防火シャッター又は耐火クロススクリーンの近くで、周囲に物が置かれておらず速やかに操作できる位置を選びます。
床からの高さは80cm〜150cmが目安とされ、しゃがんだり背伸びしたりせずに操作できる範囲に収めます。
手動閉鎖装置には電気式とワイヤー式があり、電気式は危害防止装置が設けられた防火シャッターや耐火クロススクリーンで使われます。
避難する人の妨げにならない位置かどうかも、設置場所を選ぶときにあわせて確認しておきたい点です。

手動閉鎖装置のボタン、うちのは結構低い位置にあるんですが、大丈夫でしょうか。

80cm〜150cmの範囲に収まっていれば基準どおりです。

よくある質問

Q煙感知器の下端が天井から0.6mより離れていたら、それだけで指摘の対象になりますか?
Aはい。下端は天井面から0.6m以内となるように設けることが基準で定められており、離れすぎている場合は設置位置の是正が必要です。
Q熱感知器と煙感知器は同じ部屋に両方設置してもよいですか?
A設置自体は問題ありませんが、水平距離10m以内・壁から0.6m以上という基準を、感知器の種類ごとに満たす必要があります。
Q自動閉鎖装置が常時高温になる場所にしか設置できない場合はどうすればよいですか?
A断熱性の不燃材料で保護された部分に設けることで、常時高温となる場所でも設置が認められています。
Q手動閉鎖装置のワイヤー式と電気式はどう使い分けますか?
A電気式は危害防止装置が設けられた防火シャッターや耐火クロススクリーンで使われ、それ以外の場所ではワイヤー式が使われます。

まとめ

煙感知器(スポット型)は水平距離10m以内・壁から0.6m以上離して設置します。
煙感知器の下端は天井面から0.6m以内となるように設けます。
煙感知器はじんあい・水蒸気・腐食性ガスが滞留する場所など7か所への設置を避けます
熱感知器(スポット型)も水平距離10m以内・壁から0.6m以上という数値は共通です。
自動閉鎖装置は点検が容易で、高温になる場所では断熱性の不燃材料で保護された位置に設けます。
温度ヒューズ装置は防火扉等の上部で熱を有効に感知できる場所に堅固に取り付けます。
手動閉鎖装置は床からの高さ80cm〜150cmを目安に、速やかに操作できる位置に設けます。

感知器から閉鎖装置まで、置き場所にこんなに基準があるとは知りませんでした!

設置基準を満たしているかどうかの現地確認も、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条第3項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第19項
  • 昭和48年建設省告示第2563号(防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件)
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第21条の2第1項

※本記事は建築基準法・同施行令及び関係告示の現行規定に基づき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。感知器や閉鎖装置の設置位置・設置基準は、建築物の仕様や機種、所轄の特定行政庁の運用によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門の検査資格者にご確認ください。

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