防火扉や防火シャッターが火災時に確実に閉まるかどうかは、感知器が異常を検知してから実際に閉鎖するまでの間、複数の機器が連携して動く仕組みで決まります。
連動制御器や連動中継器には、作動までの時間や周囲温度への耐性まで細かい一般機能の基準が定められています。
停電などで電源が失われても、温度ヒューズ装置や座板感知部が電気に頼らずに設備を閉じます。
この記事では連動制御器の一般機能から自動閉鎖装置の作動原理、予備電源用蓄電池と手動閉鎖装置までの仕組みを解説します。
感知器が煙を検知してから防火シャッターが閉まるまで、実際どれくらい時間がかかるものなんですか。
連動制御器の蓄積時間と連動中継器の遅延時間を合わせても、数十秒以内に収まるよう基準で決まっています。
停電のときは、シャッターは自動で閉まらなくなるということですか。
いいえ、予備電源用蓄電池や温度ヒューズ装置が電気が無くても閉鎖を続けます。
- 連動制御器は蓄積式なら5秒を超え60秒以内という作動時間の基準を満たさなければなりません。
- 連動中継器は感知から自動閉鎖装置の作動まで遅延時間を含め10秒以内という制限があります。
- 危害防止用連動中継器は90秒以内という別の時間基準と、-10℃から50℃までの温度条件を持ちます。
- 自動閉鎖装置はフック式・マグネット式・ソレノイド式など防火設備の種類ごとに作動の仕組みが異なります。
- 温度ヒューズ装置は50℃で5分間作動せず、90℃では1分以内に作動する性能を持ち、電気が無くても機能します。
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目次
連動制御器はなぜ蓄積時間や耐久性まで基準が決まっているのか

連動制御盤と連動操作盤の2種類があり、どちらも一般機能として細かい性能基準を満たさなければなりません。
連動制御盤は1回線用、連動操作盤は多回線用に区分され、いずれも停電時に自動的に予備電源へ切り替わることが条件です。
ほこりや湿気で機能が損なわれないことに加え、外箱に不要な開口部を設けないという構造上の要件もあります。
普通型は0℃から40℃、耐熱型はJIS A 1304の加熱試験にも耐えるものでなければ、火災時の熱で機能を失うおそれがあります。
蓄積式は火災信号を検出してから表示までの蓄積時間が5秒を超え60秒以内と定められており、この時間の中に誤作動を防ぐ仕組みが組み込まれています。
蓄積時間ってなんですか、感知したらすぐ閉まらないんですか。
非火災報を防ぐための待ち時間で、60秒以内と決まっています。
連動中継器と危害防止用連動中継器はどこが違うのか

危害防止装置付きの防火シャッターや耐火クロススクリーンには、専用の危害防止用連動中継器も別に設けられます。
連動中継器は遅延時間を含め10秒以内に末端の自動閉鎖装置を作動させる必要があり、ヒューズを設ける場合は外部から破断や溶断を容易に確認・交換できる位置に置きます。
危害防止用連動中継器は、座板感知部が人や物を感知して停止し、再び動き出すまでの制御を担うため、90秒以内という長めの時間と-10℃から50℃までの幅広い温度条件が設定されています。
電源回路や外部への供給回路には、回路ごとにヒューズなどの保護装置を設けることも一般機能の条件です。
どちらも、ほこりや湿気で機能が損なわれないことが共通の前提になっています。
危害防止用のほうだけ90秒って、ずいぶん余裕があるんですね。
座板感知部が人や物を感知して停止する時間も含んでいるからです。
自動閉鎖装置はどうやって防火設備を閉じるのか

防火設備の種類によって、閉める仕組みそのものが異なります。
防火扉のフック式は通電でラッチが外れて扉を保持していた力が解け、ハンドル等を引けば手動でも閉鎖できます。
防火シャッターはソレノイドやDCモータで開閉機のブレーキそのものを解放し、シャッターカーテンが自重で降下する仕組みです。
危害防止装置が付いたシャッターや耐火クロススクリーンは、座板感知部が人や物に触れると降下を止め、移動が確認できれば自動で再び降下を始めます。
連動制御器による復旧操作をしない限り、閉鎖途中の状態を開放位置に戻しても再ロックしない、という誤作動防止の一般機能も共通しています。
フック式とマグネット式って、見た目じゃ分からないですよね。
はい、点検では作動方式ごとの復帰手順を確認します。
温度ヒューズ装置と座板感知部はなぜ電気に頼らないのか

温度ヒューズ装置と座板感知部は、その代表的な機構です。
50℃で5分間は作動せず、90℃では1分以内に作動するという条件があり、通常の室温では誤作動せず、実際の火災の熱には素早く反応します。
防火シャッターではヒューズワイヤとアウターレバー、スプリングという機械的な連結だけでブレーキを解放する構造になっており、停電時でも作動します。
座板感知部はシャッターカーテンの下端に付いており、降下中に人や物へ接触すると自動で止まり、移動が確認できれば再び降下する動きを電気系統と組み合わせて実現します。
温度ヒューズも座板感知部も、復帰させるときは未使用の部品に交換する点は共通です。
電気を使わない仕組みがあるのは、ちょっと安心ですね。
はい、停電中の火災でも閉鎖を続けられる備えです。
予備電源用蓄電池と手動閉鎖装置はどう補い合うのか

予備電源用蓄電池と手動閉鎖装置は、電気の備えと人力の備えという役割分担になっています。
予備電源用蓄電池は昭和48年消防庁告示第2号に適合するもの、又は日本消防検定協会の受託評価を取得した密閉型蓄電池が使われます。
手動閉鎖装置には電気式とワイヤー式があり、電気式は危害防止装置が付いたシャッターやクロススクリーン専用で、操作中は人や物がないことを確認しながら押しボタンやレバーで作動させます。
ワイヤー式は物理的にワイヤーを引く動作だけで閉鎖できるため、電源そのものが失われた状況でも人の力で対応できます。
どちらの備えも、日頃の点検で劣化や損傷がないかを確認しておくことが、いざというときに機能する前提になります。
電気式とワイヤー式、どちらのほうが多く使われているんですか。
危害防止装置の有無で、設置される方式が変わります。
よくある質問
まとめ
連動制御器から予備電源蓄電池まで、電気が生きていても切れていても閉まる仕組みがよく分かりました!
作動基準や電源の備えの点検も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条第3項
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第19項
- 昭和48年建設省告示第2563号(防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件)
- 昭和48年建設省告示第2564号(防火区画に用いる遮煙性能を有する防火設備の構造方法を定める件)
- 昭和48年消防庁告示第2号(蓄電池設備の基準)
※本記事は建築基準法・同施行令及び関係告示の現行規定に基づき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。連動制御器・連動中継器・自動閉鎖装置等の作動時間や温度条件、製品ごとの容量基準は、機種や設置環境、所轄の特定行政庁の運用によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門の検査資格者にご確認ください。





