「シャッターの上のほうに小さいセンサーが付いているんですが、あれは火災報知器と同じものですか」——防火管理者から㈱防災屋によく寄せられる質問です。
防火シャッターは煙感知器や熱感知器と連動しており、火災の煙や熱を感知すると連動制御器を通じて自動的に閉鎖する仕組みになっています。
防火設備定期検査では、感知器の設置位置から温度ヒューズ装置、連動制御器のスイッチ・配線・接地・予備電源まで、7つの検査項目が定められています。
本記事では、防火シャッターの連動機構を定期検査で実際にどう確認するのか、感知器の仕組みから判定基準まであわせて解説します。
うちのシャッター、上のほうに小さいセンサーが付いているんですが、火災報知器と同じものなんでしょうか。
何のためのものか気になっていました。
それは防火シャッター専用の感知器かもしれません。
自動火災報知設備の感知器と兼用の場合もあるので、設備図面で確認しながら点検します。
まぐさの部分に温度ヒューズみたいな部品もあるって聞いたことがあります。
これも点検の対象なんですか。
はい、温度ヒューズ装置も連動機構の一部として検査します。
油脂や埃が付着すると正しく溶断しないことがあるので、注意深く確認しています。
- 防火シャッターは煙感知器・熱感知器と連動し、火災を感知すると自動的に閉鎖します。
- 感知器は防火設備からの水平距離や壁からの離隔など、告示で定められた位置に設置しなければなりません。
- 温度ヒューズ装置は油脂・埃・塗料の付着や針金による代用がないかを目視で確認します。
- 連動制御器のスイッチ類は検査時以外、必ず定位に戻しておく必要があります。
- 連動制御器は接地と予備電源への切替の両方が正常であることを確認します。
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目次
感知器の設置位置はなぜ厳密に決まっているのか

防火シャッターの連動機構は、煙感知器・熱煙複合式感知器・熱感知器が火災を感知するところから始まります。
まずは、その感知器が正しい位置に設置されているかを確認します。
感知器の設置位置は、煙や熱をいち早くとらえられるかどうかを左右します。
壁や垂れ壁から60cm以上離れた天井の室内に面する部分に設けるのが原則で、廊下等で60cm以上離せない狭い場所では、廊下等の天井の中央部分に設置します。
換気口などの空気吹出し口に近接する場所、じんあいや水蒸気が多量に滞留する場所、厨房のように正常時から煙が滞留する場所などは、誤作動や感知の遅れにつながるため設置を避けます。
検査では、間仕切りの新設や模様替えで感知器が増設・移動されないまま取り残されていないかも、あわせて確認します。
外観に変形・損傷・脱落・汚れ・著しい腐食があるものも、その場で交換が必要と判断します。
うちの厨房、天井に丸い感知器が付いているんですが、油煙で汚れているのが気になっていました。
これも検査で見てもらえますか。
はい、汚れや腐食があれば交換のご案内をします。
厨房のように正常時から煙が滞留する場所は、そもそも感知器の設置を避ける場所でもあるので、位置自体もあわせて確認します。
感知の状況はどのように確認するのか

感知器が正しい位置にあることを確認したら、次はその感知器が実際に作動するかどうかを試験します。
加煙試験器や加熱試験器を使い、決められた時間内に感知するかを確認します。
感知器は種類ごとに、作動するまでの時間の上限が決まっています。
熱感知器には加熱試験器、スポット型の煙感知器には加煙試験器、分離型の煙感知器には減光フィルターを使って作動させ、確認灯の点滅・点灯までの時間を測定します。
自動火災報知設備の感知器と防火設備用の感知器が兼用されている建物もあるため、検査の前に設備図面で対象を取り違えないよう確認します。
感知器を作動させたら、連動制御器に表示される制御区域表示番号が、実際に連動するシャッターと一致しているかも連動表と照合します。
適正な時間内に作動しない、又は表示番号が一致しない場合は要是正と判定します。
感知器の種類によって作動する速さが違うんですね。
うちのシャッターがどの感知器と連動しているか、把握できていないかもしれません。
連動表という一覧表で、どの感知器がどのシャッターと連動するか管理されています。
点検の記録とあわせてお渡しできますので、確認しておきましょう。
温度ヒューズ装置はなぜ油脂や埃に弱いのか

面積区画に設置される防火シャッターの中には、感知器の代わりに温度ヒューズ装置で閉鎖するものもあります。
まぐさに設置され、熱で温度ヒューズが溶断すると開閉機のブレーキが開放される仕組みです。
温度ヒューズは、まぐさで熱を直接受け止める小さな部品です。
定められた温度になると温度ヒューズが溶断し、開閉機のブレーキが開放されて防火シャッターが閉鎖します。
油脂、埃又は塗料などが付着すると、想定した温度で適切に溶断しないおそれがあり、飲食店の厨房まわりなどでは特に注意深い確認が必要です。
まれに温度ヒューズの代わりに針金などで固定されている例もあり、この場合は熱を感知しても閉鎖しないため、発見したら速やかな是正が必要です。
平成17年12月の危害防止機構の義務化以降、温度ヒューズ装置付きのシャッターは自重降下中に人や物と接触しても止められない構造のため、人の通行の用に供する部分には原則として設置されません。
温度ヒューズの代わりに針金で固定されているなんてこと、実際にあるんですか。
ちょっと怖いです。
過去の改修で応急的に使われたまま放置されている例が見つかることがあります。
見つかった場合はすぐに正規の温度ヒューズへの交換をご案内します。
連動制御器のスイッチと配線はどこを確認するのか

感知器からの信号を受け取り、防火シャッターに閉鎖の指令を送るのが連動制御器です。
ここでは、そのスイッチ類・表示灯と、内部の配線接続を確認します。
連動制御器のスイッチは、通常監視状態では必ず定位にあることが前提です。
スイッチレバーの破損やメンブレンスイッチの表面シートの破損があると操作ができなくなり、表示灯の破損は感知器や防火設備の作動状況そのものを見えなくします。
検査で操作したスイッチ類は、作業終了後に必ず定位へ戻します。
内部の配線は、外部配線接続用の端子部に緩みがないか触診で確認し、端子部に著しい錆があると導電率が低下して接触不良や短絡の原因になります。
電線の被覆が損傷して導体部が露出している例もあるため、目視でも配線全体の状態をたどって確認します。
点検のときにスイッチを操作したままうっかり戻し忘れる、みたいなことは起きないんですか。
少し心配になりました。
弊社では作業終了後に必ずスイッチ類が定位に戻っているかを再確認してから現場を離れています。
ご不安であれば、点検報告書でも状態をご確認いただけます。
連動制御器の接地と予備電源はなぜ重要なのか

最後に、連動制御器そのものを支える接地と、停電時に備える予備電源の状態を確認します。
どちらも、日常はあまり意識されない項目です。
接地と予備電源は、どちらも「もしも」のときに効いてくる項目です。
接地端子の緩みや脱落、配線の断線があると、落雷時に連動制御器の内部回路が破損したり、感電のおそれが生じるため、回路計やドライバー等で導通と緩みを確認します。
予備電源は、連動制御器の交流電源スイッチをOFF側にして常用電源を意図的に遮断し、自動的に予備電源へ切り替わるかを確認します。
切り替わらない場合は、停電を伴う火災でシャッターが正しく作動しない可能性があるため要是正と判定します。
これで感知器の設置位置から予備電源まで、連動機構7項目の検査が一とおり完了します。
感知器から予備電源まで、こんなに細かく点検されているとは思いませんでした。
うちのビルも一度きちんと見てもらいたいです。
ありがとうございます。
気になる点があれば、次回の防火設備定期検査の際にあわせてご確認します。
よくある質問
まとめ
感知器から連動制御器まで、防火シャッターにもこんなに細かい連動の仕組みがあるんですね。
今度の点検のときは、スイッチ類がちゃんと定位に戻っているか一緒に確認してみます!
その視点はとても大切です。
防火シャッターの連動機構の詳しい点検は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条第3項
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第19項
- 昭和48年建設省告示第2563号(防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第21条の2第1項
※本記事は公表されている建築基準法令に基づく一般的な解説です。個別の建物における検査項目の判定は、実際の検査結果や特定行政庁の指導によって異なる場合があります。詳細は検査資格者または所轄の特定行政庁にご確認ください。





