防災管理者を選ぶことになったとき、まず思い浮かぶのは講習を受けさせることだと思います。
ところが担当者がすでに自衛消防業務講習や点検資格者の講習を終えていることは珍しくありません。
同じような内容をもう一度はじめから受け直すのかという疑問は、申し込む前に必ず出てきます。
消防法施行規則は講習の細目を消防庁長官に委ねていて、その告示のなかに講習事項の一部を免除する定めが置かれています。
防災センターの担当者に防災管理者をやってもらう話が出ています。
もう自衛消防の講習は受けているのに、また一日つぶすのかと言われてしまいました。
そこは告示に免除の定めがあります。
まるごと免除ではありませんが、重なる講習事項は外せます。
免除の話は消防法のどこを見れば書いてあるのでしょうか。
法律や政令ではなく施行規則から先の告示です。
順番に条文をたどっていきましょう。
- 防災管理の講習の細目は消防法施行規則第51条の7第7項が消防庁長官に委ねていて、実際の中身は告示に書かれています
- 免除されるのは講習まるごとではなく講習事項の単位です
- 防災管理新規講習だけを受けるときに免除の対象になるのは自衛消防業務講習の修了者です
- 甲種防火管理と併せて受けるときは、防火対象物点検資格者と防災管理点検資格者にも免除が用意されています
- 免除することができるという書き方なので実施機関の案内で確かめる必要があります
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目次
防災管理の講習に科目の免除はあるのか

消防法施行規則が答えを外に投げているからです。
前各項に定めるもののほか、防災管理に関する講習の実施に関し必要な事項の細目は、消防庁長官が定める。
この委任を受けて出されているのが防災管理に関する講習の実施細目という告示で、平成20年消防庁告示第18号として公布され、平成22年消防庁告示第22号で改められています。
告示は第一で防災管理新規講習の講習事項と講習時間を、第二で甲種防火管理新規講習と併せて実施する場合の講習事項と講習時間を定めています。
そのうえで第三に講習事項の一部免除という項目が置かれています。
つまり免除を調べるときは、法律や政令ではなく施行規則から告示へたどるのが正しい道順になります。
施行規則を最後まで読んでも免除が見つからなかったわけですね。
細目は告示送りになっているためです。
次はどの講習の修了者が対象なのかを見ていきます。
どの講習を修了していれば免除を受けられるのか

受け方によって顔ぶれが変わるのが特徴です。
防災管理新規講習については、第一の規定に関わらず、次表の上欄に掲げる者の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる講習事項を免除することができるものとする。
講習事項の一部を免除することができる者 消防法施行令第4条の2の8第3項第一号に規定する自衛消防組織の業務に関する講習の課程を修了している者
免除することができる講習事項 防災管理の意義及び制度
消防法施行令第4条の2の8第3項第一号の講習は、自衛消防組織の統括管理者になるために受ける講習のことです。
一方、甲種防火管理新規講習と防災管理新規講習を併せて受ける講習では、告示第三の二に三つの区分が並びます。
消防法施行規則第4条の2の4第4項の講習を修了して免状の交付を受けている者、つまり防火対象物点検資格者が一つ目です。
二つ目が同じ自衛消防業務講習の修了者で、三つ目が消防法施行規則第51条の12第3項の講習を修了して免状の交付を受けている防災管理点検資格者です。
単独で受けるときと併せて受けるときで対象者の数が違うのですね。
併せて受けるほうが防火管理の講習事項も混ざるので対象が広がります。
次はどの講習事項が外れるのかを確かめましょう。
免除されるのはどの講習事項でどれだけ短くなるのか

まず全体の時間割を押さえます。
防災管理の意義及び制度 1時間30分
施設及び設備の維持管理並びに防災管理に係る消防計画 1時間30分
防災管理に係る訓練及び教育 1時間30分
合計は4時間30分で、消防法施行規則第51条の7第2項がいうおおむね四時間三十分と一致します。
自衛消防業務講習の修了者はこのうち防災管理の意義及び制度が外れるので、免除されるのは1時間30分ぶんです。
併せて実施する講習のほうは告示第二の表で五つの講習事項に分かれ、防火管理及び防災管理の意義及び制度が2時間30分、火気管理が2時間、施設及び設備の維持管理が2時間30分、防火管理及び防災管理に係る訓練及び教育が2時間30分、防火管理及び防災管理に係る消防計画が2時間30分とされています。
合計は12時間で、防火対象物点検資格者は火気管理と施設及び設備の維持管理の二つが、自衛消防業務講習の修了者は防火管理及び防災管理の意義及び制度が、防災管理点検資格者は施設及び設備の維持管理が、それぞれ免除の対象になります。
点検資格者だと二つの講習事項が外れることもあるのですね。
火気管理と施設及び設備の維持管理の組合せですね。
ただし読み違えやすい点がいくつかあります。
免除を当てにするとき見落としやすいのはどこか

先に一つだけ別のルートを確認します。
令第四十七条第一項第四号に掲げる防災管理者として必要な学識経験を有すると認められる者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。(略)
一の二 第五十一条の十二第三項に規定する防災管理対象物の点検に関し必要な知識及び技能を修得することができる講習の課程を修了し、免状の交付を受けている者
消防法施行規則第51条の5第一号の二で学識経験を有すると認められる者に挙げられているため、そもそも防災管理新規講習を受けなくても防災管理者になれるからです。
次に、同じ自衛消防業務講習の修了者でも、単独講習では防災管理の意義及び制度、併せて実施する講習では防火管理及び防災管理の意義及び制度と、外れる講習事項の名前が変わります。
また告示第三は免除することができるものとするという書き方なので、必ず外れると決めつけられません。
再講習についてはこの告示に免除の定めが置かれておらず、消防法施行規則第51条の7第4項のおおむね二時間はそのまま残ります。
できるものとするなら、実施するところによって扱いが違うということですか。
告示は上限を示しているだけなので案内を見るのが確実です。
最後に申し込む前の手順をまとめます。
申し込む前になにを確認すればよいのか

公示の定めから逆算するのが早道です。
講習の日時、場所等の公示
講習を実施する者は、講習の種類、日時、場所その他講習の実施に関し必要な事項をあらかじめ公示するものとする。
最初にやるのは、その方が持っている修了証や免状を実際に机の上に出して種類を確かめることです。
次に決めるのが受け方で、防災管理新規講習だけなら4時間30分、甲種防火管理新規講習と併せるなら消防法施行規則第51条の7第3項でおおむね12時間になります。
甲種防火管理新規講習は消防法施行規則第2条の3第2項でおおむね十時間とされているので、別々に受けるより併せたほうが短くなる計算です。
そのうえで公示された案内に載っている免除の取扱いを読み、どの書類で修了を確認するのかを実施機関に合わせて用意すれば申込みまで進めます。
まず免状を集めて、それから案内を読む順番にします。
その順番なら無駄な受講を避けられます。
選任の届出まで見据えて日程を組んでおきましょう。
よくある質問
まとめ
手元の免状を確かめてから案内を読むようにします。
これで無駄な一日を使わずに済みそうです。
受け方の組合せは建物の事情で変わります。
迷われたときは㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第51条の7(防災管理に関する講習)
- 消防法施行規則第51条の5(防災管理者として必要な学識経験を有すると認められる者)
- 消防法施行規則第51条の12第3項(防災管理点検資格者)
- 消防法施行規則第4条の2の4第4項(防火対象物点検資格者)
- 消防法施行規則第2条の3第2項(甲種防火管理新規講習)
- 消防法施行令第4条の2の8第3項(自衛消防組織の統括管理者)・第47条第1項(防災管理者の資格)
- 防災管理に関する講習の実施細目(平成20年消防庁告示第18号 最終改正 平成22年消防庁告示第22号)
- 消防法施行規則の一部を改正する省令の公布に伴う関係告示の公布について(平成20年9月24日 消防予第238号 消防庁予防課長)
- 消防法施行規則の一部を改正する省令(案)、防火管理に関する講習の実施細目の一部を改正する告示(案)等に対する意見募集の結果(平成22年12月14日 消防庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





