防油堤の容量が足りないとき、隣の防油堤とつないで確保できないか。
タンクの底板が腐食したとき、その部分だけ張り替えて検査を軽く済ませられないか。
昭和53年の回答は、四つの照会のうち三つを退け、一つだけを条件付きで認めました。
この記事では防油堤の連結と底板の張替えの扱いを消防庁の質疑応答に沿って整理します。
隣の防油堤とつないで容量を確保したらあかんのか。
相手によります。
第4類と第6類の防油堤をつなぐ案は適当でないとされました。
ほな底板の傷んだとこだけ張り替えるんは。
張替えそのものではなく検査の代替が問われました。
水張検査を真空試験等に代えることは適当でないとされています。この記事でまとめて解説します!
- 第4類の防油堤と第6類の防油堤を連結工で接続して容量を確保することは適当でない
- ボックスカルバートを継ぎ合わせた連結工は構造指針に適合し目地処理が十分できるものであれば認めてさしつかえない
- 底板の一部張替えで水張検査を真空試験等に代えることは適当でない
- 側板溶接部の当板の間へのパテ当ては認められない
- 冷却用散水管は防護面1平方メートルにつき毎分2リットル以上で防護面全面に散水可能であればよい
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目次
第4類と第6類の防油堤を連結することは適当でない

昭和53年12月12日付け消防危第169号は、香川県からの照会に答えたものです。
防油堤の構造等に関する運用基準について、三つの問いが並んでいます。
第六類は酸化性液体で、第四類の引火性液体とは性質が異なります。
片方が漏れたときにもう一方の堤へ流れ込めば、混ざり合う可能性が生まれます。
既設の第六類の防油堤が第四類に準じて造られていても、結論は変わりませんでした。
類をまたげません。
ボックスカルバートによる連結工は条件付きで認められる

三つめの問いは、連結工そのものの材料についてです。
四つの照会のうち、認められたのはこれだけでした。
条件は二つです。
連結工の構造指針に適合することと、目地処理が十分できるものであることです。
既製品を使うこと自体は問題にされていません。
継ぎ目から漏れないことが確かめられれば通る、という整理になります。
継ぎ目が要点です。
なお二つめの問いは、防油堤内に設置するタンクの数を原則10以下とする規則第22条第2項第4号について、連結された防油堤内では10以上となってよいかを尋ねたもので、回答は(2) 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(昭和51年自治省令第7号)附則第4項により承知されたいでした。
底板の一部張替えで水張検査を真空試験等に代えることは適当でない

二つめの論点は、特定屋外貯蔵タンクの底板についてです。
腐食した部分だけを直すという、現場では避けられない工事です。
そのうえで、通達にある軽徴であるものと認めて、水張検査を真空試験等に代えられないかと尋ねました。
水張検査では漏れを見つけにくいという指摘があり、20箇所を切り取る必要があるという負担も示されました。
それでも、検査の方法を差し替えることは認められていません。
検査は代えられません。
側板溶接部へのパテ当ては認められない

三つめの論点は、見た目を整えるための施工です。
安全のためではなく美観のための申請という点が特徴です。
当板と当板の間をパテで埋めれば、見た目は滑らかになります。
しかし溶接線の上を覆ってしまうと、そこに割れや漏れが生じても外から見つけられません。
点検できる状態を保つことが優先された、という理解になります。
覆うと見えません。
冷却用散水管は防護面全面に毎分2リットル以上で散水できればよい

同じ回答には、冷却用散水設備についての項目もあります。
散水管をどこに何本設けるかという、設計に直結する問いです。
問われたのは当該散水管の設備方法について、別紙図のように設置し防護面1平方メートルにつき、2リットル毎分以上で防護面全面に散水可能とした場合、タンクのウインドガーター、ステイフナリングごとに散水管を設置したものと見なしてさしつかえないかという点です。
添付図では、容量20,000キロリットルの灯油タンクで高さ18,700ミリメートル、ウインドガーターとステイフナリングの位置に合わせて4Bの散水管を配した例が示されています。
補強リングの一本ごとに散水管を付けるという読み方ではなく、結果として全面に必要な量が届くかで判断されました。
結果で見られます。
よくある質問
まとめ
- 第4類の防油堤と第6類の防油堤を連結工により接続して防油堤容量を確保することは適当でない
- 既設の第6類の防油堤が第4類に準じて設置されている場合でも認められない
- ボックスカルバートを継ぎ合わせた連結工は連結工の構造指針に適合し目地処理が十分できれば認められる
- 連結された防油堤内のタンク数は昭和51年自治省令第7号附則第4項による
- 特定屋外貯蔵タンクの底板の一部張替えで水張検査を真空試験等に代えることは適当でない
- 側板の溶接線をはさむ当板の間に金属粉配合エポキシ樹脂をパテ当てすることは認められない
- 冷却用散水管は防護面1平方メートルにつき毎分2リットル以上で防護面全面に散水可能であればよい
- その場合はウインドガーターやステイフナリングごとに設置したものと見なしてさしつかえない
手間がかかるからという理由では、検査は軽うならんのやな。
そのとおりです。
防油堤の改修やタンク本体の変更工事の手続も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第22条 e-Gov法令検索
- 危険物行政に関する疑義について(昭和53年12月12日付け消防危第169号 危険物規制課長から香川県あて回答)
- 防油堤の構造等に関する運用基準について(昭和52年11月14日付け消防危第162号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 特定屋外貯蔵タンクのタンク本体の変更について(昭和52年9月2日付け消防危第135号)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




