C重油のように粘度の高い危険物は、温めなければ流れません。
その加熱を蒸気ではなく電気で行い、あわせてタンクと配管を保温したいという照会がありました。
回答は設置を認めましたが、二つの条件を付けています。
この記事では屋外貯蔵タンク及び配管の電気加熱保温の条件を消防庁の質疑応答に沿って整理します。
重油を電気で温める方式は、認めてもらえるのでしょうか。
認められました。
ただし条件があり、通電中は加熱コイルが危険物の液面から露出しない措置が要ります。
温度を測る場所まで決まっているのでしょうか。
決まっています。
図面の箇所のほかに加熱コイルの高さ以下の箇所に1以上設けることとされました。
この記事でまとめて解説します!
- 屋外貯蔵タンク及び配管の電気加熱保温設備は次の各号に適合する限り、その設置を認めてさしつかえないとされた
- 条件の一つめは通電中は加熱コイルが貯蔵する危険物の液面から露出しない措置が講じられていること
- 条件の二つめは温度測定点を加熱コイルの高さ以下の箇所に1以上設けること
- 照会の工法ではタンクの加熱コイルを碍石にて絶縁サポートしタンクの壁とは絶縁ノズルにより絶縁する
- 屋外貯蔵タンク上蓋の構造は耐油性パッキン及びボルト締め等でタンク本体と緊結する構造による
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目次
加熱コイルは碍石で絶縁しタンクの壁とも絶縁する

昭和49年1月8日付け消防予第19号は、北海道からの照会に答えたものです。
対象は貯蔵品名C重油、容量3,000キロリットルの屋外貯蔵タンクでした。
一つめがタンクの保温についてです。
電気を通して加熱する以上、コイルがタンク本体と電気的につながらないようにする必要があります。
そのため碍石で支え、壁の貫通部は絶縁ノズルを使うという設計になっています。
外壁の保温は、この連載で取り上げてきたウレタンフォームと防火コートに鉄板外装を重ねる方法です。
絶縁が前提の設計です。
コイルはタンク本体と絶縁するのですね。
電気が流れないようにします。
施工の仕様を、図面で確かめてください。
配管は絶縁テープと保温筒で覆い両端に絶縁フランジを設ける

二つめは配管についてです。
タンクだけでなく、送油管も温めなければ流れません。
保温筒の厚さは30から40ミリメートル、外装はカラー28番の鉄板と、仕様が具体的です。
配管の両端に絶縁フランジを入れることで、電流がほかの設備へ流れないようにしています。
電流を閉じ込めます。
配管側にも、絶縁の措置が要るのですね。
両端にフランジを入れます。
電流の経路を、系統図で確認しておきましょう。
運転監視は事務所内で行い故障時は警報と自動しゃ断

三つめは運転監視及び保安装置です。
電気で加熱する以上、異常が起きたときに止まる仕組みが要ります。
想定されている故障は三つ挙げられています。
接地事故、過電流事故、異常過熱事故です。
いずれの場合も、人が気づくための警報ブザーと、人が動く前に止まる自動しゃ断の両方が用意されています。
知らせて止めます。
異常のときは、警報と自動停止の両方があるのですね。
人が気づく前に止まります。
停止の動作を、定期的に試験してください。
通電中は加熱コイルが液面から露出しない措置が要る

ここからが回答です。
消防庁は設置を認めたうえで、二つの条件を挙げました。
危険物の中に沈んでいるかぎり、コイルの熱は液に奪われます。
しかし液面が下がってコイルが空気中に出れば、熱がこもって高温になります。
そこに可燃性の蒸気があれば、着火する可能性が生まれます。
つまり守られているのはコイルが常に液に浸かっている状態です。
露出させない構造です。
液面が下がると、コイルが露出してしまうのですね。
そこが最大の危険です。
液面の下限を、運転の基準に定めてください。
温度測定点は加熱コイルの高さ以下に1以上設ける

二つめの条件は、温度を測る場所についてです。
照会では、測定抵抗体を取り付けて遠隔指示するとされていました。
図面に示された場所だけでは足りず、加熱コイルの高さ以下にもう一箇所以上が求められました。
コイルより高い位置だけで測っていると、液面が下がったときにその温度計が液から出てしまいます。
そうなると、いちばん危ない状態のときに温度が読めません。
コイルと同じ高さかそれより下で測っていれば、コイルの周りの状態を最後まで追えます。
一つめの条件と組み合わせると、コイルの露出を温度でも捉えるという設計思想が見えてきます。
低い位置で測ります。
測る場所にも決まりがあるのですね。
コイルの高さ以下にも設けます。
温度計の位置を、図面で確かめておきましょう。
よくある質問
まとめ
- C重油3,000キロリットルの屋外貯蔵タンク及び配管への電気加熱保温設備の設置が照会された
- タンクの加熱コイルは鋼管を使用し碍石にて絶縁サポートしタンクの壁とは絶縁ノズルにより絶縁する
- 配管には電気絶縁テープを巻き硬質ウレタンフォームの保温筒30から40ミリメートル厚を取り付ける
- 配管の両端に絶縁フランジを取り付けその近くに銅帯をろう付けして加熱電源盤に接続する
- 運転監視及び保安装置を事務所内に設置し接地事故や過電流事故や異常過熱事故には警報と自動しゃ断を行う
- 回答は次の各号に適合する限りその設置を認めてさしつかえないとした
- 通電中は加熱コイルが貯蔵する危険物の液面から露出しない措置が講じられていること
- 温度測定点は図面の箇所のほかに加熱コイルの高さ以下の箇所に1以上設けられていること
コイルが油から出てはいけない。
それを温度でも見張るのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
加熱設備や保温工事の計画も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条・第23条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第13条の4 e-Gov法令検索
- 屋外貯蔵タンク及び配管の電気加熱保温について(昭和49年1月8日付け消防予第19号 北海道あて回答)
- 危険物屋外貯蔵タンク上蓋の構造について(昭和51年4月15日付け消防予第51号 栃木県あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




