屋外貯蔵タンクの弁は鋳鋼で作ることとされています。
ではその定めは、タンクに直結する元弁だけの話なのか、その先の弁も含むのか。
可撓管継手のベローズも、強度が足りていれば薄くしてよいのか。
この記事では弁の材質と可撓管継手の基準を消防庁の質疑応答に沿って整理します。
鋳鋼と書かれているのは、元弁だけの話でしょうか。
そこが逆でした。
回答は元弁及び元弁以外の弁ともすべて鋳鋼とする読み方を採っています。
強度が足りていれば、ベローズを薄くしてもよいのではないでしょうか。
それも通りません。
厚さは認められない、一方で固定方法は試験基準を満たせば別の方法でもよいとされました。
この記事でまとめて解説します!
- 屋外貯蔵タンクに使用する弁の材質は元弁及び元弁以外の弁ともすべて鋳鋼とする
- 最高液面以上に取付口のある配管の元弁であっても鋳鋼以外の材質は認められない
- ベローズの固定方法は技術上の指針に定める試験基準を満足する固定方法であればさしつかえない
- 強度が指針を満たしていてもベローズの厚さを基準数値より薄くすることは認められない
- MIケーブルによる電気加熱保温設備は添付された資料から判断すれば、認めてさしつかえない
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目次
弁は元弁も元弁以外もすべて鋳鋼とする

昭和56年6月19日付け消防危第71号は、佐賀県からの照会に答えたものです。
危険物の規制に関する政令第11条第1項第11号の読み方が問われました。
照会は、この規定がつぎのいずれを規定しているかとして、二つの読み方を並べています。
(2)は政令第11条第1項第11号の規定は元弁の材質を規定したもので、元弁以外の弁の材質規定ではないです。
選ばれたのは、範囲の広い(1)でした。
タンクに直結する元弁だけでなく、その先に付く弁も鋳鋼とすることになります。
条文が屋外貯蔵タンクに使用する弁と書いている以上、位置で区別しないという読み方です。
位置で分かれません。
元弁以外の弁も、同じ材質にするのですね。
範囲の広い読み方が採られました。
設備の一覧に、弁の材質を書き添えてください。
最高液面以上の配管の元弁でも鋳鋼以外は認められない

同じ照会の二つめは、より限定された場面についてです。
理由まで添えて、例外を認めてもらえないかと尋ねています。
液面より上にある取付口なら、弁が壊れても中身は出てこない。
理屈としては通っていますが、回答は一つめの答えに戻すかたちで退けています。
液面は運用で変わりますし、タンクの状態も一定ではありません。
条文が材質を定めている以上、そこに個別の事情を持ち込まないという整理です。
事情は挟めません。
液面より上でも、例外にはならないのですね。
運用で液面は変わるためです。
取付口の位置を、図面で確かめておきましょう。
ベローズの固定方法は試験基準を満たせば別の方法でもよい

昭和56年10月21日付け消防危第138号は、山口県からの照会に答えたものです。
昭和56年3月9日付け消防危第20号による可撓管継手に関する技術上の指針についての疑義でした。
あわせてなお、ネックリング及びバンドの材質については指針第1、1、(2)、オを満足していますと述べています。
指針の図例と違う方法でも、試験基準を満足するのであれば認められました。
図に描かれている形が唯一の正解ではない、ということです。
判断の物差しとして示されたのが、指針の(8)(9)(10)という具体的な試験基準でした。
試験で示せます。
固定の方法は、別の方法でもよいのですね。
試験基準を満たすことが条件です。
試験の結果を、資料として保管してください。
ベローズの厚さを基準数値より薄くすることは認められない

同じ照会の二つめは、寸法そのものについてです。
こちらは同じ論法が通用しませんでした。
強度の基準を満たしているなら厚さは下げてよいはず、という主張です。
しかし厚さは厚さとして別に定められており、他の項目で代替できるものではないとされました。
一つめは方法の話、二つめは数値の話です。
方法は試験で示せても、数値は動かせないという線が引かれています。
数値は動きません。
寸法そのものは、代えられないのですね。
数値は数値として定められています。
設計の変更を求める前に、条文を確かめてください。
MIケーブルによる電気加熱保温設備は資料により認められた

昭和55年10月15日付け消防危第126号は、山形県からの照会に答えたものです。
対象はC重油、容量150キロリットル1基、70キロリットル2基の屋外タンク貯蔵所と配管でした。
照会にはMI型ケーブルそのものの説明も添えられていました。
完全に無機の固体金属の外被を有し、鉱物質で絶縁された電気加熱用ケーブルで、外被は継目なし銅管、絶縁は酸化マグネシウムです。
保安装置についても監視室に保安装置を設置し、常に使用状態を監視する故障時(漏電事故、過電流事故、異常過熱事故等)には警報表示ランプ及びブザーを発し、自動的に電源が遮断されると示されていました。
新しい方式であっても、材料の性質と保安の仕組みを資料で示せば通る道があります。
資料で示す道です。
加熱の設備も、資料があれば認められるのですね。
構造の説明が添えられていました。
採用する方式の資料をそろえて相談してください。
よくある質問
まとめ
- 政令第11条第1項第11号の弁の材質の定めは元弁及び元弁以外の弁ともすべて鋳鋼とする趣旨である
- 最高液面以上に取付口のある配管の元弁であっても鋳鋼以外の材質は認められない
- 可撓管継手のベローズの固定はボルト・ナットによる締付けバンド以外の方法もありうる
- 技術上の指針第1の1、(8)(9)及び(10)に定める試験基準を満足する固定方法であればさしつかえない
- ベローズの強度及びブレードの強度が指針を満たしていても厚さを基準数値より薄くすることは認められない
- MIケーブルによる電気加熱保温設備はC重油150キロリットル1基と70キロリットル2基について照会された
- MIケーブルは銅と酸化マグネシウムだけで作られ250度まで連続使用することができるとされる
- 回答は添付された資料から判断すれば認めてさしつかえないであった
やり方は試験で示せても、寸法と材質は動かせないのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
弁や継手の仕様の確認も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第13条の5 e-Gov法令検索
- 特殊加熱ケーブルによる電気加熱保温設備の設置について(昭和55年10月15日付け消防危第126号 危険物規制課長から山形県あて回答)
- 屋外貯蔵タンクの弁の材質について(昭和56年6月19日付け消防危第71号 危険物規制課長から佐賀県あて回答)
- 可撓管継手の基準について(昭和56年10月21日付け消防危第138号 危険物規制課長から山口県あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




