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地下タンク室の上部に点検用の地下空間を設けられるか|必要な措置と構造計算

地下タンク室の上部に点検用の地下空間を設ける計画を解説するアイキャッチ画像

非常用発電機の燃料タンクを地下に置くとき、点検のたびに掘り返すのは現実的ではありません。
そこでタンク室の上に人が入れる点検作業用の地下空間を設けたい、という相談が出ます。
地下タンク貯蔵所は、タンク室や地下貯蔵タンク等が地盤面下に埋設されていることを前提に基準が組まれています。
否定はされていませんが、措置と構造計算の2つが宿題になります

維持管理をしやすくしたいので、タンク室の上に点検用の空間を作りたいんです。認められますか。

頭ごなしに否定はされていません。ただし空間そのものへの措置と、タンク室の構造の確認という2つの宿題が示されています。

構造は標準の構造例をそのまま使えばいいですか。

そこがはっきり否定されています。構造例は適用できず、個別に構造計算をして基準への適合を確認する必要があります。

この記事の結論
  • タンク室の上部に地下空間を設ける形態は、現行の技術基準では想定されていないとされています
  • 地下空間には、政令第24条の技術上の基準に従って照明、換気、危険物が漏えいした場合の回収措置等を講ずる必要があります
  • 標準として示されている構造例を適用することはできず、個別の条件に応じた構造計算等による確認が必要です
  • 統計的手法を用いた漏れの点検方法は、検知精度が客観的に確認されている場合に「その他の方法」として認められます
  • 電気防食は、腐食防食学会が策定したガイドラインに基づき施工して差し支えないとされています

上部に地下空間を有するタンク室の位置づけ

タンク室の上に人が立てる点検用の地下空間を設けた断面のイメージ
平成30年4月27日付けの消防危第72号は、非常用発電機の燃料として灯油、軽油等の引火点40度以上の危険物を貯蔵する地下タンク貯蔵所において、維持管理の容易さから、タンク室の上部と地盤面の間に点検作業用の地下空間を設ける計画の相談を扱っています。
問 地下タンク貯蔵所は、タンク室や地下貯蔵タンク等が地盤面下において埋設されていることを前提として、位置、構造及び設備の技術上の基準が従来規定されており、本件のような形態は、現行の技術基準では想定されていないと考えられることから、その取扱いについて御教示願いたい。
照会側が自ら「想定されていない」と述べている点が特徴です。
基準が前提にしていない形です
地下タンク貯蔵所の基準は、タンクや室が土に囲まれていることを織り込んで作られています。
その上に空洞があると、埋設という前提が一部崩れることになります。
なお本通知は、消防組織法第37条の規定に基づく助言として発出されたものです。

地下空間に講ずべき措置

地下空間に照明と換気設備と漏えい時の回収措置を設けたイメージ
回答は、まず空間そのものに求められる措置を示しました。
答 設問の地下タンク貯蔵所に設ける地下空間においては、点検作業中に可燃性蒸気が滞留する危険性や、空間内に設置されている配管から危険物が流出する危険性等を考慮し、政令第24条に規定される貯蔵及び取扱いの技術上の基準に従って、照明、換気、危険物が漏えいした場合の回収措置等の措置を講ずる必要がある
想定されている危険は2つです。可燃性蒸気の滞留と、配管からの危険物の流出。
照明と換気と回収措置が要ります
地上なら自然に拡散する蒸気が、閉じた地下空間では溜まります。
また空間内には配管が通るため、そこから漏れた危険物を受けて回収する手当ても必要になります。

標準の構造例は適用できない

標準として示された構造例の図面をそのまま使えないことを示すイメージ
もう1つの宿題が、タンク室の構造です。
通常であれば、示されている構造例に沿って設計すれば足ります。
また、タンク室の形態として、「地下貯蔵タンク及びタンク室の構造例について」(平成18年5月9日付け消防危第112号)別紙に示される構造例を適用することはできないものであり、個別の地下タンク貯蔵所の条件に応じた構造計算等により、政令第13条第1項第14号、規則第23条の4及び告示第4条の50に規定される技術上の基準に適合することを確認することが必要である
個別の構造計算が必要になります
構造例は、上に土が載っている前提で荷重を見込んだものです。
上部が空洞になれば荷重の条件が変わるため、そのまま当てはめられません。
なお、この際には平成17年3月24日付けの消防危第55号の第1の5を参考にするとともに、必要に応じ第三者機関の評価資料を活用されたいとされています。

統計的手法による漏れの点検が認められる条件

液量の推移を分析した結果に第三者機関の評価が付されていることを示すイメージ
平成31年4月19日付けの消防危第81号は、漏れの点検方法を扱っています。
規則第62条の5の2第1項による地下貯蔵タンク(二重殻タンクを除く)の漏れの点検、および規則第62条の5の3第1項による地下埋設配管の漏れの点検についてです。
問12 次の点検方法は、告示第71条第1項第5号及び第71条の2第1項第5号に規定される「その他の方法」として、認められるか。
〈統計的手法を用いた漏れの点検方法〉
設置者等が、1日に1回以上の割合で、地下貯蔵タンクへの受入量、払出量及びタンク内の危険物の量を継続的に記録し、当該液量の情報に基づき分析者(法人を含む。)が統計的手法を用いて分析を行うことにより、直径0.3ミリメートル以下の開口部からの危険物の流出の有無を確認することができる方法
答 危険物の流出の有無に関する検知精度について、第三者機関の評価を受けている等、客観的に確認されている場合にあっては、お見込みのとおり
無条件ではありません。
検知精度の客観的な確認が条件です
第三者機関の評価を受けていることが例として挙げられており、自社で精度を主張するだけでは足りない書きぶりです。

電気防食をガイドラインに基づき施工できるか

地下タンクと陽極を電線でつなぎ電気防食を施すイメージ
令和2年3月27日付けの消防危第89号は、電気防食の施工方法を扱っています。
電気防食の措置は、告示第4条第1項第1号の規定に基づき実施することとされています。
問5 管内の電気防食施工事業者より、既設の地下貯蔵タンクや地下埋設配管に対して電気防食の措置を講ずるに当たり、公益社団法人腐食防食学会が策定した「危険物施設の鋼製地下貯蔵タンク・配管に適用する電気防食規格及びガイドライン(JSCE S 1901:2019)」に基づき施工してよいかとの相談があった。ガイドラインは、ISO(国際標準化機構)規格(ISO 15589-1)に準拠し、電気防食の施工方法等をとりまとめたものであるとのことであり、危険物保安上支障ないものと考えられることから、当該ガイドラインに基づき運用することとしてよいか。
答 差し支えない
学会のガイドラインで施工できます
判断の根拠として、そのガイドラインが国際標準化機構の規格に準拠していることが挙げられています。
告示に直接書かれていない民間の規格でも、拠って立つ標準が示されていれば運用できるという例です。

よくある質問

Q. 通気管は地下埋設配管に該当しますか?
平成31年4月19日付け消防危第81号の問13が扱っています。政令第13条第1項第8号に規定する通気管は、その一部が地盤面下に設置されている場合であっても、規則第62条の5の3に規定する「地下埋設配管」に該当しないものと解してよいかという照会に対し、回答は「お見込みのとおり」となっています。
Q. 構造計算では何を参考にすればよいですか?
「危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について」(平成17年3月24日付け消防危第55号)の第1の5を参考にするとともに、必要に応じ第三者機関の評価資料を活用されたいとされています。適合を確認する対象は、政令第13条第1項第14号、規則第23条の4および告示第4条の50に規定される技術上の基準です。
Q. 地下空間で想定されている危険は何ですか?
2つ挙げられています。点検作業中に可燃性蒸気が滞留する危険性と、空間内に設置されている配管から危険物が流出する危険性です。これらを考慮して、政令第24条に規定される貯蔵及び取扱いの技術上の基準に従った措置を講ずる必要があるとされています。
Q. この通知はどのような位置づけで出されたものですか?
平成30年4月27日付け消防危第72号および令和2年3月27日付け消防危第89号は、いずれも消防組織法第37条の規定に基づく助言として発出されたものであることが本文に明記されています。

まとめ

  • タンク室の上部と地盤面の間に点検作業用の地下空間を設ける形態は、現行の技術基準では想定されていないとされています
  • 地下空間では、点検作業中の可燃性蒸気の滞留と、空間内の配管からの危険物の流出が危険として想定されています
  • これらを考慮し、政令第24条の技術上の基準に従って照明、換気、危険物が漏えいした場合の回収措置等を講ずる必要があります
  • タンク室の形態については、平成18年5月9日付け消防危第112号別紙の構造例を適用することはできません
  • 個別の条件に応じた構造計算等により、政令第13条第1項第14号、規則第23条の4および告示第4条の50への適合を確認する必要があります
  • 統計的手法を用いた漏れの点検方法は、検知精度について第三者機関の評価を受けている等、客観的に確認されている場合に認められます
  • 政令第13条第1項第8号の通気管は、一部が地盤面下にあっても「地下埋設配管」には該当しません
  • 電気防食は、腐食防食学会が策定しISO 15589-1に準拠したガイドラインに基づき施工して差し支えないとされています

否定はされてないけど、構造計算と第三者評価まで要るとなると相応の準備がいりますね。

基準が想定していない形をとるなら、そのぶん資料で埋めることになります。㈱防災屋でも計画段階からご相談を承っています。

参考・出典

  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成30年4月27日 消防危第72号 危険物保安室長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)別紙 上部に地下空間を有する地下タンク貯蔵所のタンク室関係
  • 同前〔抄〕(平成31年4月19日 消防危第81号)別紙 地下貯蔵タンク及び地下埋設配管の漏れの点検について 問12・問13
  • 同前〔抄〕(令和2年3月27日 消防危第89号)別添 地下貯蔵タンク等の電気防食について 問5
  • 地下貯蔵タンク及びタンク室の構造例について(平成18年5月9日付け消防危第112号)
  • 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について(平成17年3月24日付け消防危第55号)
  • 危険物の規制に関する政令第24条・第13条第1項第14号・第13条第1項第8号/規則第23条の4・第62条の5の2・第62条の5の3/告示第4条の50・第4条第1項第1号・第71条・第71条の2
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。

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