地下街に出店する店舗が増えるほど、各構えが地下道にどれだけ接しているかや、地下道そのものの造りが施設全体の避難と防火の安全性を左右します。
地上の建物とは別に、地下街には専用の構造基準があることは意外と知られていません。
基準を満たさないまま増改築や用途変更を進めると、検査の段階で計画のやり直しを求められることもあります。
この記事では、建築基準法施行令第128条の3が定める地下街の各構えと地下道の構造基準を、条文に沿って具体的に解説します。
うちのビルは地下に商業フロアがあって、地下道でお店同士がつながっています。
この地下道にはどんな基準があるんでしょうか。
地下街の各構えについては建築基準法施行令第128条の3という規定が定めています。
まずは各構えと地下道の関係から確認しましょう。
地下道に「接する」というのは、具体的にどういう意味なんでしょうか。
各構えが地下道に2メートル以上接することが原則です。
次に条文の中身を見ていきましょう。
- 建築基準法施行令第128条の3は、地下街の各構えが地下道に接する長さと、地下道そのものの構造基準を号ごとに定めています。
- 各構えは、公衆便所等の例外を除き、地下道に2メートル以上接しなければなりません。
- 地下道は耐火性能のある壁・柱・床とし、幅員5メートル以上・天井までの高さ3メートル以上を確保し、天井と壁を不燃材料で仕上げる必要があります。
- 長さ60メートルを超える地下道は、各構えから歩行距離30メートル以内に直通階段を設けなければなりません。
- 各構えどうし、各構えと地下道は、耐火構造の床・壁または特定防火設備で区画しなければなりません。
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目次
地下街の各構えはなぜ地下道に接しなければならないのか

だからこそ、各構えが避難路である地下道にどうつながっているかが安全上の出発点になります。
ここでいう地下道とは、地下街の共用の通路部分を指し、各店舗(構え)はこの地下道を介して避難と消火活動の経路を確保します。
公衆便所や公衆電話所のように利用形態が限られる部分だけは、2メートル未満でも接する扱いが認められる例外です。
つまり多くの構えにとって、この2メートルという長さは店舗レイアウトを決めるときの前提条件になります。
うちの店は角地にあって、地下道に接する幅が狭いんです。
これって問題になりますか。
2メートルに届いているかをまず実測してください。
次は地下道そのものの基準を見ていきましょう。
地下道自体にはどんな構造基準が求められるのか

そのため条文は地下道そのものにも細かい性能を求めています。
壁・柱・床・はり・床版には国土交通大臣が定める耐火性能が必要で、天井と壁の内装は下地まで含めて不燃材料で造ることが求められます。
段や8分の1を超える急な傾斜路も禁止されており、車いすやベビーカー利用者を含めた避難のしやすさが基準の前提になっています。
これらは地下道という共用部分そのものの性能なので、テナントの入れ替わりがあっても管理組合や所有者側で維持する必要があります。
地下道そのものの基準はわかりました。
長い地下道だと、また別の基準が出てくるんですか。
はい、長さ60メートルを境に階段の配置基準が加わります。
次に確認しましょう。
長い地下道や各構え同士の区画はどう定められているのか

条文はこの距離と、構え同士の火災の広がり方の両方に基準を置いています。
これは地下道の端から端までの長さではなく、各構えの接する部分から一番近い階段までの歩行距離で測る基準です。
さらに、隣り合う構え同士、そして構えと地下道の境界は、耐火構造の床・壁または特定防火設備で区画しなければなりません。
この区画があるからこそ、一つの構えで火災が起きても、隣の構えや地下道への延焼を一定時間食い止められます。
区画があるから、隣の店の火事がすぐには
うちの店に広がらないということですね。
そのとおりです。
ただし出入口の扱いには見落としやすい点があります。
実務で見落としやすいのはどこか

ここの幅員が足りていないと、地下道自体の基準を満たしていても意味がありません。
出入口を2つ以上に分けて設ける場合は、それぞれの幅員の合計が地下道の幅員以上あれば足ります。
見落としやすいのは、地下道の幅員だけを基準に満たしていても、末端の出入口が狭ければ基準違反になる点です。
また各構えの居室から地下道への出入口までの歩行距離も30メートル以内という別枠の基準があり、店舗を奥まで拡張する改装のときに見落とされがちです。
地下道の幅だけ満たしていても、
出口が狭いと基準違反になるんですね。
はい、末端の出入口は特に見落とされやすい箇所です。
最後に確認すべき設備を見ていきましょう。
明日から何を確認すればよいのか

最後に、明日から現場で確認できる順番に整理します。
停電で真っ暗になっても避難路を照らす照明、煙を排出する設備、そして浸水を排水する設備がそろって初めて、地下道は避難路として機能します。
さらに地方公共団体の条例で異なる定めが置かれることもあるため、この条文だけで判断を終えないことが大切です。
- 各構えが地下道に2メートル以上接しているか、公衆便所等の例外に当たらないかを確認する
- 地下道の幅員・天井高さ・仕上げが耐火性能と不燃材料の基準を満たしているかを確認する
- 地下道の長さが60メートルを超える場合は、各構えから歩行距離30メートル以内に直通階段があるかを確認する
- 末端の出入口の幅員が地下道の幅員以上か、分割している場合は合計幅員で満たしているかを確認する
- 非常用照明・排煙・排水の各設備が国土交通大臣の定める構造方法どおりかを所轄行政庁に確認する
条例による上乗せの有無も含めて、特定行政庁への事前相談を欠かさないようにしてください。
地上の建物とは別枠の基準なんですね。
順番に確認していきます。
まず地下道への接する長さからです。
チェックリストの順に見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
地下道の基準、
条文の号ごとに確認していきます!
地下街の防火管理のご相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)
- 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第128条の3
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または消防署にご確認ください。





