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蓄電池設備の充電装置はなぜ一度電源を切って確かめるのか|逆変換装置の電圧基準と絶縁抵抗の測定位置も解説

蓄電池設備の充電装置は入力開閉器を開け閉めして自動復帰を確かめ、絶縁抵抗計で安全に測定するイメージ

蓄電池設備の機器点検には、充電装置・逆変換装置・直交変換装置という仕組みが並び、それぞれに細かい判定基準があります。
充電装置は、入力開閉器を一度開けて閉じ直すことで、自動復帰が正しく働くかを確かめます。
逆変換装置と直交変換装置は、電圧や周波数の許容範囲が機器ごとに決められています。
この記事では、消防庁の点検要領が定める自動復帰の判定基準と、絶縁抵抗を安全に測定する手順まで確認します。

充電装置の点検で、わざと電源を切ったりするんですか。

はい。
入力開閉器を開けて再投入して確かめますよ。

絶縁抵抗の測定も、電源を切ったまま行うんですか。

はい。
検電器で安全を確認してから測定します。

この記事の結論
  • 充電装置は入力開閉器を開放し、再び投入したときに、鉛蓄電池・アルカリ蓄電池・リチウムイオン蓄電池(浮動充電)は自動的に充電を開始し、24時間以内に充電が完了して自動的にトリクル充電又は浮動充電に切り替わることを確かめます
  • リチウムイオン蓄電池(定電流定電圧充電)は、定電流定電圧充電に入り24時間以内に充電が完了することだけが判定基準で、トリクル・浮動への自動切替は求められません
  • 逆変換装置は定格電圧値の±10%以内・定格周波数値の±5%以内であることを、直交変換装置は交流出力側を非常電源として自立運転する回路で同じ基準を確かめます
  • 結線接続は電池の種類で確認方法が異なり、電解液の付着や浸透による接続部の腐食は不導通や焼損、ときには誘爆の原因になるため十分な点検が求められます
  • 絶縁抵抗は交流側と大地(AE)・直流側と大地(DE)・交流側と直流側(AD)の3点を、測定開始は負荷側から遮断し終了時は電源側から投入するという安全な手順で測定します

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蓄電池設備の充電装置は入力開閉器を開け閉めして自動復帰を確かめること、逆変換装置は電圧±10%・周波数±5%以内であること、結線接続は電池の種類で確認方法が変わること、絶縁抵抗はAE・DE・ADの3点で測定することを示した図解

充電装置の自動充電試験はなぜ入力開閉器を一度開けて確かめるのか

レバー式の入力開閉器が付いた灰色の充電装置キャビネットと、その横に2つの丸い表示灯が並ぶ小さなパネルが置かれているイメージ
充電装置の自動充電試験は、ただ計器を眺めるだけでは判定できません。
一度電源を切ってから、入れ直す必要があります。 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第25 非常電源(蓄電池設備) 機器点検 充電装置 自動充電切替 点検方法 充電装置の入力開閉器の操作により確認する。判定方法 充電装置の入力開閉器を開放し、再び投入したとき鉛蓄電池、アルカリ蓄電池及びリチウムイオン蓄電池(浮動充電のものに限る。)は自動的に充電に入ること。また、24時間以内に充電が完了し、自動的にトリクル充電又は浮動充電に切り替わること。リチウムイオン蓄電池(定電流定電圧充電のものに限る。)は、定電流定電圧充電に入ること。また、24時間以内に充電が完了すること。 自動充電試験は、入力開閉器を一度開けてから再び投入することで確認します。
常時通電したまま計器を眺めるだけでは、停電からの自動復帰が本当に働くかは分かりません。
鉛蓄電池・アルカリ蓄電池・リチウムイオン蓄電池(浮動充電)は、再投入の瞬間に自動的に充電を開始し、24時間以内に充電を終えて自動的にトリクル充電又は浮動充電へ切り替わることが条件です。
一方、リチウムイオン蓄電池(定電流定電圧充電)は、定電流定電圧充電に入り24時間以内に完了することだけが基準で、トリクル・浮動への自動切替という項目自体がありません。

停電が起きたときの再現実験みたいなものですか。

はい。
まさに停電からの復帰を再現する試験です。

逆変換装置はなぜ電圧と周波数の両方を確かめるのか

丸い電圧計と丸い周波数計が並んだ灰色の制御パネルと、その横に置かれた端子付きのコイル状の出力ケーブルのイメージ
逆変換装置は、直流を交流に変換して消防用設備等へ送り出す装置です。
点検では、電圧・電流・周波数を別々の計器で確かめます。 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第25 非常電源(蓄電池設備) 機器点検 逆変換装置 交流出力電圧 点検方法 盤面の交流電圧計で確認する。判定方法 定格電圧値の±10%以内であること。交流出力電流 点検方法 盤面の交流電流計で確認する。判定方法 定格電流値以内であること。周波数 点検方法 盤面の周波数計で確認する。判定方法 定格周波数値の±5%以内であること。接地 点検方法 目視等により確認する。判定方法 接地線及び接続部に断線、端子の緩み、著しい腐食等がないこと。 点検では、盤面の交流電圧計・交流電流計・周波数計という3つの計器を使い分けて確認します。
交流出力電圧は定格電圧値の±10%以内、交流出力電流は定格電流値以内、周波数は定格周波数値の±5%以内というように、電圧と周波数それぞれに許容範囲が決まっています。
外箱や表示、開閉器及び遮断器の外観確認だけでなく、計器の指示値まで数値で判定するのが機器点検の特徴です。

電圧だけ見ていたら十分じゃないんですか。

いいえ。
周波数がずれても接続機器に影響しますよ。

直交変換装置は逆変換装置と何が違うのか

丸い直流電圧計と丸い直流電流計が並んだ灰色の制御パネルと、その横に置かれたねじ端子が並ぶ小さな端子台のイメージ
直交変換装置は、逆変換装置とよく似ていますが、点検項目には違いがあります。
二段階の変換構造が、その理由です。 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第25 非常電源(蓄電池設備) 機器点検 直交変換装置 交流入力電圧 点検方法 盤面の交流電圧計で確認する。判定方法 盤面の電圧計により確認し、適正であること。また表示灯のあるものは点灯していること。(直交変換装置に供給する盤で確認する。)充電電圧 点検方法 盤面の直流電圧計で確認する。判定方法 充電電圧値が適正であること。充電電流 点検方法 盤面の直流電流計で確認する。判定方法 充電電流値が適正であること。交流出力電圧 点検方法 盤面の交流電圧計で確認する。判定方法 定格電圧値の±10%以内であること。(非常電源として自立運転する回路で確認)交流出力電流 点検方法 盤面の交流電流計で確認する。判定方法 定格電流値以内であること。(非常電源として自立運転する回路で確認) 直交変換装置は、交流をいったん直流に変換してから、再び交流に変換し直す装置です。
逆変換装置にはない交流入力電圧・充電電圧・充電電流という項目が加わるのは、この二段階の変換構造があるためです。
交流出力電圧・交流出力電流の判定基準は逆変換装置と同じ定格電圧値の±10%以内・定格電流値以内ですが、「非常電源として自立運転する回路で確認」という条件が付く点が逆変換装置とは異なります。
常用電源から切り離した自立運転の状態でなければ、正しい判定ができないということです。

自立運転の回路って、どうやって作るんですか。

常用電源を遮断した状態で確認しますよ。

結線接続の点検はなぜ電池の種類で確認方法が変わるのか

端子に配線が接続されたガラス製蓄電池セルと、その横の小さなトレーに置かれたトルクレンチ工具のイメージ
結線接続の点検は、目視だけでは終わりません。
電池の種類ごとに、確認の方法も判定基準も変わります。 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第25 非常電源(蓄電池設備) 機器点検 結線接続 点検方法 充電装置、逆変換装置、直交変換装置、蓄電池端子と配線、蓄電池間の接続部の全セル及びナトリウム・硫黄電池のモジュール電池間のケーブルについて目視、触手又はトルクレンチ等を用いて確認する。判定方法 ア 鉛蓄電池は、蓄電池間の接続部に断線、端子の緩み、発熱、焼損、腐食等がないこと。イ アルカリ蓄電池及びリチウムイオン蓄電池は、製造者の指定する方法により緩みがないこと。ウ 充電装置、逆変換装置、直交変換装置は、機器の端子と配線との接続部に断線、端子の緩み、発熱、損傷、腐食等がないこと。エ ナトリウム・硫黄モジュール電池は、電池間のケーブル支持の緩み、コネクター部の外れ、絶縁キャップの損傷、発熱、損傷、腐食等がないこと。※電解液の付着や浸透により接続部に腐食を生じることがあり、これが不導通や焼損、ときには誘爆の原因となることがあるので、十分点検すること。接続部に緩みを認めたときは、関係者に連絡する等適切な処置をとること。増締めを行うときは、短絡及び締め過ぎに注意すること。触手により点検するときは、手袋等を用い、感電及び電解液が手に付着しないように注意をすること。 結線接続は、目視・触手・トルクレンチを使い分けて確認します。
判定基準は電池の種類ごとにア〜エの4パターンに分かれ、鉛蓄電池は断線・端子の緩み・発熱・焼損・腐食の有無を直接確認し、アルカリ蓄電池とリチウムイオン蓄電池は製造者の指定する方法で緩みを確かめます。
ナトリウム・硫黄モジュール電池は、ケーブル支持の緩みやコネクター部の外れ、絶縁キャップの損傷まで個別に確認する項目です。
注意書きには「電解液の付着や浸透による腐食が、不導通や焼損、ときには誘爆の原因になる」と明記されており、触手点検では手袋を用いて感電と電解液付着を防ぐことも求められます。

誘爆って、そんな大げさな話なんですか。

はい。
だから十分な点検が求められているんです。

絶縁抵抗はどうやって安全に測定するのか

丸い計器とワニ口クリップの付いたコイル状のテストリードを2本持つ絶縁抵抗計と、その横に置かれたスイッチレバーが2つ並ぶ小さな分電盤のイメージ
絶縁抵抗の測定は、電源を切っていれば安全というわけではありません。
手順を一つずつ踏む必要があります。 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第25 非常電源(蓄電池設備) 総合点検 絶縁抵抗 点検方法 目視及び次の事項により確認する。(1)電源を確実に遮断し、更に検電器等で完全に電源が遮断され安全であることを確認してから、充電部と外箱との間の絶縁抵抗を、絶縁抵抗計(DC500Vメガー)を用いて測定する。(2)充電装置、逆変換装置等又は直交変換装置の交流側端子と大地間(AとE)及び直流側端子と大地間(DとE)の絶縁抵抗値を低圧電路にあっては500V絶縁抵抗計、高圧電路にあっては1,000V絶縁抵抗計で測定する。なお、この試験は、他の法令に基づく試験と兼ねて行うことができる。(3)絶縁抵抗測定法は、例えば第25-4図において、配線用遮断器(MCCB1、MCCB2)を遮断し、交流側(A)と大地(非充電金属部)(E)との間(AE)、直流側(D)と大地(非充電金属部)(E)との間(DE)、交流側(A)と直流側(D)との間(AD)の絶縁抵抗を測定すること。測定開始時回路を遮断する場合は負荷側から行い、終了時の投入は電源側から行うこと。判定方法 絶縁抵抗計を用いて第25-3表に掲げる区分により絶縁抵抗値を測定し、その測定値は第25-3表に示す値以上であること。 絶縁抵抗の測定は、まず電源を確実に遮断し、検電器で安全を確認してから始めます。
充電部と外箱の間は絶縁抵抗計(DC500Vメガー)で測定し、交流側端子と大地間(AE)・直流側端子と大地間(DE)は低圧電路なら500V絶縁抵抗計、高圧電路なら1,000V絶縁抵抗計を使い分けます。
点検要領が示す例では、配線用遮断器(MCCB1・MCCB2)を遮断してAE・DE・ADの3点を測定する手順が示されています。
測定開始時に回路を遮断する場合は負荷側から行い、終了時の投入は電源側から行うという順序も、感電や機器損傷を防ぐための決まりです。

遮断と投入の順番を間違えたら、どうなるんですか。

感電や機器の損傷につながる恐れがあります。

よくある質問

Q充電装置の自動充電試験は、どの蓄電池でも同じ判定基準ですか?
Aいいえ。リチウムイオン蓄電池(定電流定電圧充電)だけは24時間以内の充電完了のみが基準で、トリクル・浮動への自動切替という項目はありません。
Q逆変換装置と直交変換装置は、どちらも同じ±10%・±5%という基準ですか?
A電圧・電流の基準は同じですが、直交変換装置には「非常電源として自立運転する回路で確認」という条件が付く点が異なります。
Q結線接続の点検で、トルクレンチはどの電池にも使うのですか?
A点検方法として目視、触手又はトルクレンチ等が挙げられていますが、判定基準はア〜エの電池の種類ごとに異なります。
Q絶縁抵抗の測定は、必ずAE・DE・ADの3点すべてを測るのですか?
A点検要領では「例えば」として第25-4図の3点を示しています。回路構成に応じて充電装置・逆変換装置・直交変換装置の交流側端子と大地間、直流側端子と大地間を測定します。

まとめ

✔充電装置は入力開閉器を開放し再び投入して、自動復帰の判定基準を確認する
✔鉛・アルカリ・リチウムイオン(浮動充電)は24時間以内に充電完了し自動的にトリクル又は浮動充電へ切替わることが条件
✔リチウムイオン(定電流定電圧充電)は24時間以内の充電完了のみが基準で自動切替の項目はない
✔逆変換装置は定格電圧値±10%以内・定格周波数値±5%以内であることを盤面の計器で確認する
✔直交変換装置は同じ基準に加えて非常電源として自立運転する回路で確認という条件が付く
✔結線接続は電池の種類で確認方法が異なり、電解液の付着や浸透による腐食は不導通・焼損・誘爆の原因になる
✔絶縁抵抗はAE・DE・ADの3点を、負荷側遮断・電源側投入という安全な手順で測定する

充電装置の試験って、こんなに細かく手順が決まっていたんですね。
うちの点検票も見直してみます!

点検要領の数値と突き合わせると確かです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号、最終改正:令和7年消防庁告示第6号)別表第25 非常電源(蓄電池設備)
  • 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第25 非常電源(蓄電池設備)(最終改正:令和7年10月3日消防予第410号)
  • 蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)

※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検の基準や点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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