蓄電池設備の総合点検には、警報が正しく働くかを確かめる項目がいくつも並んでいます。
減液警報装置は、液面を実際に下げなくても検出器の端子を短絡させるだけで確認できます。
液漏れ警報装置や電圧調整範囲、タイマーなど、電池の種類によって点検の対象から外れる項目もあります。
この記事では、消防庁の点検要領が定める警報系統の点検方法と、除外される電池の組み合わせまで確認します。
減液警報装置の点検って、実際に電解液を減らすんですか。
いいえ。
検出器端子の短絡でも確認できますよ。
タイマーの点検は、どの蓄電池にも必要なんですか。
いいえ。
対象から外れる電池が決まっています。
- 減液警報装置は、電解液をスポイトで抜いて液面を下げる方法のほか、検出器端子を短絡又は開放する方法でも確認でき、リチウムイオン蓄電池はこの項目の対象外です
- 警報が作動する液面の範囲は、ベント式据置鉛蓄電池は最低液面線の5mm上から極板上まで、ベント式アルカリ蓄電池は最低液面線の15mm上から5mm下までと電池の種類で異なります
- 減液警報装置の検出器は100V用では2個、48V以下用では1個取り付けられており、点検終了時はブザーやベルのスイッチを必ずON位置へ戻します
- 液漏れ警報装置はレドックスフロー電池だけの点検項目で、電極を短絡させて作動を確認します
- 電圧調整範囲は直流電圧計で確認しますが、負荷電圧補償装置とタイマーはナトリウム・硫黄電池及びレドックスフロー電池が対象から除かれます
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目次
総合点検の警報動作はなぜ回路をわざと異常状態にして確かめるのか

正常なときに確認しても、異常はもともと起きていません。 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第25 非常電源(蓄電池設備) 総合点検 警報動作 点検方法 回路を異常状態にして確認する。判定方法 外部警報送出を含む警報について、回路を異常状態にして警報が正常に作動すること。 警報動作の点検方法は、回路をわざと異常状態にして、実際に警報を鳴らしてみることです。
外部へ警報を送る機能を持つものは、外部警報送出も含めて確認します。
外観が正常に見えても、回路が本当に異常を検知して警報を出すとは限りません。
だから総合点検では、実際に動かして確かめるのです。
外部に警報を送る設備がないときは、確認しなくていいんですか。
その場合も警報そのものは必ず確認しますよ。
減液警報装置はなぜ液面を実際に下げなくても点検できるのか

検出器そのものを操作する方法もあります。 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第25 非常電源(蓄電池設備) 総合点検 減液警報装置(リチウムイオン蓄電池は除く。) 点検方法 減液警報装置用電極の取り付けてある蓄電池より、電解液を注液スポイトを用いて抜き取り、最低液面線より液面を低下させるか、検出器端子を短絡又は開放して確認する。なお、点検終了後は必ずもとの状態に戻すこと。判定方法 減液警報装置が作動し、音響を発し表示灯が点灯すること。 点検方法は、電解液をスポイトで抜いて液面を下げるか、検出器端子を短絡又は開放して確認するかのどちらかです。
液面を実際に下げなくても、端子の操作だけで警報が作動するかを確かめられます。
どちらの方法でも、点検終了後は必ずもとの状態に戻すことが条件です。
なお、この項目はリチウムイオン蓄電池には適用されません。
端子を短絡させるだけなら、液面を下げるより簡単そうですね。
はい。
ただし終了後に元へ戻すのを忘れないでください。
鉛蓄電池とアルカリ蓄電池で警報が作動する液面の範囲はなぜ違うのか

判定方法にはこの違いがそのまま書かれています。 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第25 非常電源(蓄電池設備) 総合点検 減液警報装置 判定方法 ベント式据置鉛蓄電池は、液面が最低液面線の5mm上から極板上までの間の範囲で警報作動すること。ベント式アルカリ蓄電池は、液面が最低液面線の15mm上から5mm下までの間の範囲で警報作動すること。※スポイトは、鉛蓄電池用とアルカリ蓄電池用とを区別し、専用のものを使用すること。通常、減液警報装置の検出器(電極)は、100V用では2個、48V以下用では1個取り付けられている。 ベント式据置鉛蓄電池は、液面が最低液面線の5mm上から極板上までの間で警報が作動します。
一方ベント式アルカリ蓄電池は、最低液面線の15mm上から5mm下までの間と、警報が作動する範囲の位置づけ自体が違います。
電解液を抜き取るスポイトも、鉛蓄電池用とアルカリ蓄電池用を区別し、専用のものを使います。
検出器(電極)の個数も、100V用では2個、48V以下用では1個と電圧の区分で決まっています。
スポイトを兼用してしまったら、どうなりますか。
電解液が混ざってしまうので、必ず区別してください。
液漏れ警報装置はなぜレドックスフロー電池だけの点検項目なのか

電解液を循環させるタンクと配管を持つ構造だから、液漏れそのものを警報で検知する装置が備わっているのです。
点検方法は減液警報装置と同じく、電極を短絡させて作動を確認する方法です。
鉛蓄電池やアルカリ蓄電池には、そもそもこの項目自体がありません。
うちは鉛蓄電池なんですが、関係ある話ですか。
鉛蓄電池ならこの項目自体がありません。
電圧調整範囲と負荷電圧補償装置とタイマーはなぜ一部の電池だけ点検を省略できるのか

この3項目は、除外される電池の範囲がそれぞれ違います。 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第25 非常電源(蓄電池設備) 総合点検 電圧調整範囲 点検方法 直流電圧計により確認する。判定方法 製造者の指定する範囲であること。構造上電圧調整を要しないものにあっては点検を省略することができる。負荷電圧補償装置(ナトリウム・硫黄電池及びレドックスフロー電池を除く。)判定方法 降下電圧値が適正であること。タイマー(ナトリウム・硫黄電池及びレドックスフロー電池を除く。)判定方法 設定値及び作動状況が適正であること。 電圧調整範囲は直流電圧計で製造者の指定する範囲かどうかを確認し、構造上調整の要らないものは点検自体を省略できます。
一方、負荷電圧補償装置とタイマーは、ナトリウム・硫黄電池及びレドックスフロー電池がそろって対象から除かれます。
この2つの電池は、電圧計及び周波数計の点検でも電力制御を行っていることを理由に周波数計の確認を省略できる扱いです。
構造の違いによって、点検項目そのものが増えたり減ったりするのです。
除外される電池が毎回同じ2種類なのは、偶然ですか。
いいえ。
構造が共通しているからそろって外れるんです。
よくある質問
まとめ
警報装置にこんな除外規定があるとは知りませんでした。
うちの蓄電池の種類を確認してみます!
点検要領の表と突き合わせると確かです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号、最終改正:令和7年消防庁告示第6号)別表第25 非常電源(蓄電池設備)
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第25 非常電源(蓄電池設備)(最終改正:令和7年10月3日消防予第410号)
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検の基準や点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





