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巡査派出所や郵便局はなぜ第一種低層住居専用地域に建てられるのか|建築基準法別表第二(い)項第九号の規制を解説

巡査派出所や郵便局のような公益上必要な建築物が第一種低層住居専用地域に建つイメージ

第一種低層住居専用地域は、住宅以外の建物を原則として建てられない、最も規制が厳しい用途地域です。
では、巡査派出所や郵便局のような公共性の高い施設は、なぜここに建てられるのでしょうか。
建築基準法別表第二(い)項第九号は「政令で定める公益上必要な建築物」に限ってこれを認めており、実際の対象は施行令が具体的に列挙しています。
公益施設だからといって何でも建てられるわけではなく、政令が定める種類と規模の範囲でしか認められません

近所の空き地に郵便局を誘致する計画があるらしいのですが、この地域に建てられるんでしょうか。

実は別表第二(い)項第九号に、そうした公益施設の規定があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。

公益性が高ければ、施設の種類を問わず建てられるということですね。

いいえ、政令が定める種類と規模に限られます。
次はその内容を確認しましょう。

この記事の結論
  • 第一種低層住居専用地域では、建築基準法第48条第1項により別表第二(い)項に掲げる建築物以外は原則建てられません。
  • 別表第二(い)項第九号の「公益上必要な建築物」は、施行令第百三十条の四が定める五つの種類に限られます
  • 郵便局は延べ面積500平方メートル以内、地方公共団体の支庁支所や老人福祉センターは600平方メートル以内という上限があります
  • 近隣公園の公衆便所や休憩所、路線バスの停留所の上家には面積の上限がありません
  • 電気やガスなどインフラ施設は、国土交通大臣の指定を受けたものに限って建てられます

公益上必要な建築物は郵便局が500平方メートル支庁支所が600平方メートルまでで電気ガスなどのインフラ施設は国土交通大臣の指定が必要なことを示す図解

巡査派出所や郵便局はなぜ第一種低層住居専用地域に建てられるのか

住宅街に立つ巡査派出所と公衆電話所のイラスト
第一種低層住居専用地域は住宅専用の地域ですが、条文には公益性の高い施設の例外規定があります。
まず九号の条文を確認します。
建築基準法別表第二(い)項 九 巡査派出所、公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物
九号が実際に認めている範囲は、条文に書かれた例示ではなく政令が定める具体的な一覧に限られます
条文は「巡査派出所、公衆電話所その他これらに類する」と書いていますが、これは例示にすぎません。
実際にどの施設が対象になるかは、末尾の「政令で定める公益上必要な建築物」という部分が指し示す施行令の規定で決まります。
公益性が高いと感じられる施設でも、この政令の一覧に載っていなければ建築は認められません。
次は、政令が実際にどんな施設を指定しているかを確認します。

例示として書かれている巡査派出所や公衆電話所以外は、対象にならないということですか。

いいえ、政令の一覧に該当すれば対象になります。
次は具体的な一覧を見てみましょう。

政令はどんな施設を公益上必要な建築物として指定しているのか

郵便局支庁支所公園の休憩所を並べたイラスト
施行令第百三十条の四は、公益上必要な建築物として五つの種類を列挙しています。
条文を確認します。
建築基準法施行令第百三十条の四(抜粋) 法別表第二(い)項第九号の規定により政令で定める公益上必要な建築物は、次に掲げるものとする。 一 郵便法の規定により行う郵便の業務の用に供する施設で延べ面積が五百平方メートル以内のもの 二 地方公共団体の支庁又は支所の用に供する建築物、老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもので延べ面積が六百平方メートル以内のもの 三 近隣に居住する者の利用に供する公園に設けられる公衆便所又は休憩所 四 路線バスの停留所の上家(略)
五つの種類のうち、公園の公衆便所や休憩所、路線バスの停留所の上家には面積の上限が定められていません
一号の郵便施設と二号の地方公共団体の支庁支所などには延べ面積の上限が設けられています。
一方で三号の公園の公衆便所・休憩所と四号の路線バスの停留所の上家は、施設の性質上もともと小規模なため上限が定められていません。
条文はこの四つに加えて、電気やガスなどのインフラ施設を対象とする五号を定めています。
次は、面積の上限が定められている一号と二号を詳しく見ていきます。

公園のトイレやバス停の屋根には、面積の制限が無いんですね。

はい、性質上小規模なため上限がありません。
次は上限がある施設を見てみましょう。

郵便局や支庁の支所にはなぜ延べ面積の上限があるのか

小規模な郵便局と上限を超える大きな郵便局を対比したイラスト
一号と二号には、施設の種類ごとに異なる延べ面積の上限が定められています。
条文を確認します。
建築基準法施行令第百三十条の四(抜粋) 一 郵便法の規定により行う郵便の業務の用に供する施設で延べ面積が五百平方メートル以内のもの 二 地方公共団体の支庁又は支所の用に供する建築物、老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもので延べ面積が六百平方メートル以内のもの
郵便施設は500平方メートル、支庁支所や老人福祉センターなどは600平方メートルが上限です
この上限を超える規模の施設は、たとえ公益性が高くても九号の対象外になります。
上限が二段階に分かれているのは、施設ごとに一般的な規模が異なるためと考えられます。
児童厚生施設や老人福祉センターは、地方公共団体の支庁支所と同じ600平方メートルの枠に含まれます。
次は、この一覧の中でも扱いが異なる電気やガスなどの施設を確認します。

郵便局の規模で建てられるかどうかが変わるんですね。

はい、500平方メートルが上限です。
次は電気やガスの施設を見てみましょう。

電気やガスの供給施設はなぜ大臣の指定が必要なのか

国土交通大臣の指定を受けた変電施設と指定のない事業所の建物を対比したイラスト
五号は、電気やガスなどのインフラ施設を対象にしていますが、他の号とは仕組みが異なります。
条文を確認します。
建築基準法施行令第百三十条の四(抜粋) 五 次のイからチまでのいずれかに掲げる施設である建築物で国土交通大臣が指定するもの(イ 電気通信事業の用に供する施設 ロ 電気事業の用に供する施設 ハ ガス小売事業又は一般ガス導管事業の用に供する施設 ニ 液化石油ガス販売事業の用に供する施設 ホ 水道事業の用に供する施設 ほか)
五号の施設は、種類に当てはまるだけでは足りず、国土交通大臣の指定を受けて初めて建築が認められます
一号から四号までは、面積などの要件を満たせば自動的に対象になりますが、五号は大臣の個別指定という手続きが加わります。
電気通信・電気・ガス・液化石油ガス・水道といった事業の種類に該当していても、指定を受けていなければ対象外です。
インフラ関連の施設だからという理由だけで、この区分に当てはまると判断するのは早計です。
次は、これらを踏まえて実務でどう確認すればよいかを整理します。

変電施設なら、電気事業者のものは何でも建てられると思っていました。

いいえ、大臣の指定を受けているかの確認が必要です。
次は確認の手順を整理しましょう。

公益上必要な建築物を計画するとき何を確認すればよいのか

役所窓口と製図机のイラスト
公益上必要な建築物の計画を相談されたときは、五つの類型のどれに当てはまるかを順に確認します。
確認すべき点を整理します。
  • 計画中の施設が、施行令第百三十条の四が定める五つの類型のいずれかに当てはまるかを確認する
  • 郵便施設であれば延べ面積が500平方メートル以内かを確認する
  • 地方公共団体の支庁支所や老人福祉センターなどであれば延べ面積が600平方メートル以内かを確認する
  • 電気やガスなどのインフラ施設であれば国土交通大臣の指定を受けているかを確認する
種類、面積、指定の有無という三段階で確認すれば、公益上必要な建築物として建てられるかどうかの見立てが立ちます
まず計画中の施設が五つの類型のどれに当てはまるかを確認します。
次に面積の上限がある類型であれば、その上限を超えていないかを確認します。
最後に大臣の指定が必要な類型であれば、指定を受けているかを特定行政庁や関係機関に確認します。

種類と面積と指定の有無、この順番で確認すればいいんですね。

はい、その三段階が基本です。
次はよくある質問を見ていきましょう。

よくある質問

Q郵便局は延べ面積が500平方メートルちょうどなら建てられますか?
Aはい。施行令第百三十条の四第一号により、延べ面積が500平方メートル以内であれば対象になります。ちょうど500平方メートルの場合も含まれます。
Q児童厚生施設も老人福祉センターと同じ600平方メートルの上限ですか?
Aはい。児童厚生施設は老人福祉センターと同じ第二号に含まれ、延べ面積600平方メートル以内という上限が共通して適用されます。
Q公園の休憩所には面積の上限が本当にありませんか?
A施行令第百三十条の四第三号には、近隣居住者向けの公園に設ける公衆便所・休憩所について面積の上限は定められていません。ただし公園の規模や用途に応じた常識的な範囲であることが前提です。
Q個人が経営する電気工事店の建物も五号の対象になりますか?
Aいいえ。五号は電気事業法などに規定される特定の事業者の施設で、かつ国土交通大臣の指定を受けたものに限られます。個人の工事店は対象になりません。

まとめ

第一種低層住居専用地域では、建築基準法第48条第1項により別表第二(い)項に掲げる建築物以外は原則建てられません。
別表第二(い)項第九号の「公益上必要な建築物」は、施行令第百三十条の四が定める五つの種類に限られます
郵便施設は延べ面積500平方メートル以内、地方公共団体の支庁支所や老人福祉センターなどは600平方メートル以内が上限です
近隣公園の公衆便所や休憩所、路線バスの停留所の上家には面積の上限がありません
電気やガスなどのインフラ施設は、国土交通大臣の指定を受けたものに限って建てられます
一号から四号までは要件を満たせば自動的に対象になりますが、五号だけは大臣の個別指定という手続きが加わります。
計画を相談されたときは、種類・面積・指定の有無の三段階で確認すると見立てが立ちます

相談してくれた方には面積の上限と指定の有無を確認するよう伝えてみます!

特定行政庁への相談も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第48条第1項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法別表第二(い)項第九号(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第百三十条の四(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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