灯油ストーブやガスストーブとは違い、電気ストーブやオイルヒーターのような電気を熱源とする器具には、燃料を使わないという特有の事情があります。
燃料が無いからといって、消防の基準が何も無いわけではありません。
火災予防条例には、通電中の放置や安全装置の扱いについて、電気の器具だけに向けた専用の条文が置かれています。
この記事では、電気を熱源とする器具に定められた専用の基準と、液体燃料の器具からどこまで基準が引き継がれるのかを整理します。
休憩室に置いている電気ストーブなんですが、消防の決まりって何かあるんでしょうか。
電気を熱源とする器具にも専用の基準があります。
まず結論から確認しましょう。
灯油ストーブと同じ基準が当てはまるということですか。
いいえ、電気の器具には別の基準が定められています。
順番に見ていきましょう。
- 電気を熱源とする器具の取扱いには、火災予防条例(例)第21条が専用の基準を定めています。
- 通電した状態でみだりに放置してはなりません。
- 安全装置は、みだりに取りはずしたり不適合な物に取り替えたりしてはなりません。
- 液体燃料の器具の共通基準のうち第1号から第7号、第9号及び第9号の2が準用されます。
- 器具の表面が発火するおそれのない構造なら、準用される号はさらに第2号及び第5号から第7号までに絞られます。
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目次
電気を熱源とする器具にはなぜ専用の基準が置かれているのか

電気を熱源とする器具にも、燃料を使わないことを前提にした別の条文があります。
電気ストーブやオイルヒーターのような器具は、灯油や薪のように燃料を燃やすわけではなく、電熱線や発熱体そのものが熱源になります。
そのため、燃料漏れや補給といった液体燃料特有の場面を想定した基準ではなく、通電と安全装置という電気特有の視点から基準が組み立てられています。
自分の施設で使っている電気ストーブ等が、この第21条の対象になることを意識しておくとよいでしょう。
灯油や薪と違って、電気には燃料が無いから基準の中身も変わるんですね。
そのとおりです。
通電と安全装置が焦点になります。
なぜ通電したまま放置してはいけないのか

まず一つ目は、通電した状態での放置に関する基準です。
外出時や就寝時に電気ストーブ等を稼働させたままにしておくと、周囲の可燃物に長時間熱が加わり続けたり、器具自体の異常に気づけなかったりするおそれがあります。
条文の「みだりに」という言葉は絶対的な禁止ではなく、合理的な理由なく放置しないという趣旨と考えられます。
使用後や離れるときは、その都度スイッチを切る習慣を徹底しておくことが基本になります。
休憩室を出るときは、電気ストーブのスイッチも必ず確認するようにします。
その一言で通電放置のリスクは大きく減ります。
次は安全装置の基準を見てみましょう。
なぜ安全装置を取り外したり不適合な物に取り替えたりしてはいけないのか

条文を確認しましょう。
電気を熱源とする器具には、転倒したときに電源を遮断する装置や、異常な温度上昇を検知して止める装置など、あらかじめ安全装置が組み込まれています。
これを取り外したまま使い続けたり、その器具に適合しない部品へ交換したりすると、本来働くはずの安全機能が失われてしまいます。
故障や汚れを理由に安全装置を無効化するのではなく、製造事業者が指定する部品での修理・交換を徹底することが求められます。
壊れた安全装置を外したまま使っている器具があるかもしれません。
それはすぐに点検・交換が必要な状態です。
次は共通する基準を見てみましょう。
液体燃料の器具の共通基準はどこまで電気の器具にも準用されるのか

準用されるのは、消防長(消防署長)が認める距離を保つこと、可燃性のガス等が滞留するおそれのない場所で使うこと、地震等により容易に転倒又は落下しない状態で使うこと、故障・破損した物を使わないこと、目的外使用をしないこと、周囲の整理清掃に努めること、多数の者が集まる催しでは消火器を準備することです。
第18条の中でも第1号から第7号、第9号及び第9号の2という具体的な号が指定されており、燃料を使う器具と共通する部分だけが引き継がれています。
電気ストーブ等を可燃物のすぐそばに置かないという基本は、他の対象火気器具等と変わりません。
距離や転倒防止は、灯油ストーブと同じ考え方なんですね。
そのとおりです。
燃料が無い分だけ準用されない号もあります。
なぜ燃料に関する基準は準用されず発火のおそれのない器具はさらに範囲が絞られるのか

さらに、器具の構造によって準用される号がもう一段絞られる場合もあります。
電気を熱源とする器具はそもそも燃料を使わないため、燃料漏れや補給という場面が想定されないためです。
さらに、条文にはかっこ書きによる限定があり、器具の表面に可燃物が触れても発火するおそれのない構造の器具については、準用される号が第2号及び第5号から第7号までだけに絞られます。
表面の構造が変わるだけで当てはまる号の数まで変わることを、覚えておく必要があります。
器具の構造によって当てはまる号の数まで変わるとは知りませんでした。
構造の違いまで踏まえた基準です。
最後によくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
今日から離れる前の電源確認を徹底します!
安全装置も自分で外さないようにします。
電気を熱源とする器具特有の基準を押さえておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条の2(対象火気器具等の取扱いに関する条例の基準)
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号 消防庁長官)第18条・第21条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





