給油取扱所に併設されたコンビニや宅配ボックスは、営業時間外でも動かしてよいのでしょうか。
消防庁は令和3年、閉店後の物販やイベント利用について安全対策の運用要領をまとめました。
対象になるのは宅配ボックスの無人営業や祭礼・イベントの一時的な利用で、危険物を扱うエリアとは明確に切り分けます。
営業時間外に何をどこまでやってよいかは、この運用要領を読めば見えてきます。
うちのスタンド、閉店後は宅配ボックスだけ動かしているんですが、これって大丈夫なんでしょうか。
はい。
条件を満たせば、営業時間外の物販やイベント利用も認められています。
どんな条件を満たせばいいんですか。
はい。
対象・中身・落とし穴・手順の順に、運用要領の内容を見ていきましょう。
- 対象は宅配ボックスの無人営業や祭礼・イベント等の一時的な利用を含む、給油取扱所の営業時間外における販売等の業務です
- ただし消防法施行令別表第一(六)項に示す用途は対象から除かれます
- 係員不在時はノズルの施錠や電源遮断など、危険物を取り扱う部分への進入を防ぐ措置が必要です
- 所有者と営業時間外業務を行う者が異なる場合は契約や覚書で責任関係を明確にします
- 講じた対策は予防規程又はこれに関連する文書に明記する必要があります
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目次
給油取扱所の営業時間外の物販はなぜ認められるようになったのか

社会情勢の変化を受けて、消防庁はあらためて営業時間外の利活用について検討を行いました。
以前から給油取扱所に併設される物販店舗等の営業は、平成13年の消防危第127号などで個別に運用が案内されてきました。
近年は営業時間外に宅配ボックスを利用することや、休日等に敷地内でイベントを開催することなど、給油業務が行われていない時間帯の利活用に関するニーズが高まっています。
これを受けて消防庁は令和元年度から「過疎地域等における燃料供給インフラの維持に向けた安全対策のあり方に関する検討会」で安全確保の方策を検討しました。
今回の運用要領は、令和3年3月30日の消防危第50号としてその成果をまとめたものです。
うちのスタンドも、閉店後だけ宅配ボックスを稼働させたいと思っていました。
そのニーズが、まさにこの運用要領が作られた背景です。
営業時間外の販売等の業務とはなにを指すのか

含まれるものと除外されるものがそれぞれ定められています。
対象となるのは危険物の規制に関する規則第40条の3の6第1項で定める物品の販売等の業務で、宅配ボックス等の無人営業や祭礼・イベント等の一時的利用もこれに含まれると解されています。
一方で、消防法施行令別表第一(六)項に示す病院・老人福祉施設等の用途は、この運用要領の対象から除かれます。
これらの用途を給油取扱所の敷地内で営業時間外に行う場合は、別の基準に基づく判断が必要になります。
まずは自分の施設で行おうとしている業務が、この対象の範囲に収まっているかを確認してください。
宅配ボックスは対象だとして、他の用途でも同じように考えていいんですか。
病院や福祉施設のような用途は対象から除かれているので注意してください。
どんな安全対策を求めているのか

物的対策と人的対策の両面から、具体的な項目が示されています。
物的対策としては、固定給油設備や固定注油設備のノズルの施錠及び電源遮断、施設利用に供さない部分の施錠が求められます。
さらに固定給油設備や注入口の周囲には進入禁止区域を設定し、パイロンやロープ、進入防止柵等で区切ることとされています。
現行の危険物の規制に関する政令第27条第6項第1号も、給油の業務が行われていないときは係員以外の者を出入させないための措置を求めており、この考え方と重なります。
人的対策としては、消火器等の設置や緊急時連絡先の表示、危険物保安監督者等の立会いによる管理が基本になります。
ロープで囲うだけでいいのか、施錠までいるのか迷っていました。
ノズルの施錠と進入禁止区域の設定は、両方セットで必要です。
実務で見落としやすいのはどこか

責任の所在と、対策を書面に残すことです。
給油取扱所の所有者等と、営業時間外の販売等の業務を実際に行う者が異なる場合には、契約や覚書によって防火管理や施設管理に係る責任関係を明確にする必要があります。
コンビニ運営会社や宅配業者にテナントとして貸している場合は、この整理を忘れがちです。
もう一つは、講じた対策を予防規程又はこれに関連する文書へ明記すること。祭礼・イベント等の一時利用の場合は、火災予防条例(例)に基づく届出への明記が求められます。
機器を設置しただけで終わらせず、誰が何をどこまで責任を持つかを書面に残してください。
テナントに貸しているだけだから、うちは関係ないと思っていました。
所有者としての責任関係は、契約や覚書で明確にしておく必要があります。
明日からなにを確認すればよいのか

根拠になるのは運用要領が示す考え方と、関連する既存通知です。
まず宅配ボックスの無人営業や祭礼・イベントなど、行おうとしている業務がこの運用要領の対象に収まっているかを確認します。
次に危険物を取り扱う部分の施錠・進入禁止区域・立会い体制を整え、所有者とテナントの責任関係を契約書に、講じた対策を予防規程等に反映します。
建築物の外で行う物品の販売等の業務については、令和2年の消防危第88号や関連の事務連絡もあわせて参照する必要があります。
迷ったときは、届出や予防規程の変更が必要かどうかも含めて所轄消防署に事前に相談してください。
閉店後の使い方を広げたいときは、まず何から手を付ければいいですか。
対象の確認と責任関係の整理から始めてください。
よくある質問
まとめ
対象・対策・責任関係・記録の4点を見ればいいと分かりました。
すっきりしました。
その視点を最初に整理しておけば、新設や運用の相談もスムーズに進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 給油取扱所の営業時間外における販売等の業務に係る運用について(令和3年3月30日 消防危第50号 消防庁危険物保安室長)
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一(六)項
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第40条の3の6
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第27条第6項第1号
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





