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給油取扱所の二階部分はどんな用途だと避難設備が必要になるのか|誘導灯と非常電源の設置基準を解説

二階建ての給油取扱所の外観写真

ガソリンスタンドの二階に事務所やテナントの部屋を構えている、という管理権原者の方は少なくありません。
その二階をどんな用途で使うかによって、誘導灯という新しい設備義務が生まれることがあります。
危険物の規制に関する政令と規則は、特定の用途で二階を使う給油取扱所に避難設備の設置を求めています。
この記事では対象になる条件と設置場所を条文から整理します

うちのガソリンスタンドは二階に軽食スタンドのテナントが入っているんですが、消防法上なにか関係ありますか。

テナントの用途によっては誘導灯の設置義務が生まれます。
危険物の規制に関する政令と規則がその条件を定めています。

うちは軽食スタンドなんですが、それも対象になるんでしょうか。

対象になるかどうかは、二階の用途の種類で決まります。
条文に沿って一つずつ確認していきましょう。

この記事の結論
  • 給油取扱所の二階部分を特定の用途で使うと、避難設備(誘導灯)の設置義務が生じます。
  • 対象になるのは、飲食店や物品販売店舗など消防法施行令別表第一が定める特定の用途に限られます。
  • 一方だけが開放された屋内給油取扱所で、規則が定める「事務所等」を持つ場合も対象になります。
  • 誘導灯は二階または事務所等から敷地外へ通じる出入口・通路・階段に設置します。
  • 誘導灯には非常電源の付置が義務付けられています

給油取扱所の避難設備の設置条件と手順を示す図解。二階の用途確認、誘導灯の設置、非常電源の付置、用途変更時の再確認の4段階を整理

ガソリンスタンドの二階にも避難設備が必要になることがあるのか

給油取扱所の一階に燃料の給油スペース、二階に部屋がある二階建ての建物のイメージ
給油取扱所といえば、消火設備や標識のイメージが強いかもしれません。
けれど条文を見ると、避難のための設備を求める規定も置かれています。
危険物の規制に関する政令第21条の2 製造所等のうち、その規模、貯蔵し、又は取り扱う危険物の品名及び最大数量等により、火災が発生したとき避難が容易でないと認められるもので総務省令で定めるものは、総務省令で定めるところにより、避難設備を設置しなければならない
避難設備の設置義務は総務省令が定める一部の施設だけに生じます
政令第21条の2は「火災が発生したとき避難が容易でないと認められるもの」を対象にすると定め、具体的な施設の範囲は危険物の規制に関する規則に委ねています。
給油取扱所はふだん屋外の作業が中心で、危険物施設の中でも避難設備とは縁が薄いと思われがちです。
ところが規則を見ると、二階部分の使い方によっては給油取扱所自身が対象になる場合があると分かります。
次の項目で、その具体的な条件を確認します。

うちのスタンドには消火器も標識もありますが、それとは別に避難設備が要るんですか。

はい、条件を満たす二階を持つ場合は別枠で必要になります。
次の項目で対象になる用途を確認しましょう。

どんな二階の使い方だと避難設備の対象になるのか

給油取扱所の二階にある店舗のような部屋と、寝室のような部屋を並べて比べているイメージ
避難設備が必要になるのは、すべての給油取扱所ではありません。
対象になるのは、二階の用途が特定の種類に当てはまる場合です。
危険物の規制に関する規則第38条の2第1項 令第21条の2の総務省令で定める製造所等は、給油取扱所のうち建築物の二階の部分を第25条の4第1項第6号の用途に供するもの及び屋内給油取扱所のうち第25条の9第1号イの事務所等を有するものとする。
対象になる二階の用途は消防法施行令別表第一で決まっています
規則が引く消防法施行令別表第一の(1)項(3)項(4)項(8)項や、(11)項から(13)項イまで(14)項(15)項の用途、つまり劇場や飲食店、物品販売店舗、図書館、神社仏閣、工場、駐車場、倉庫などに二階を使っている場合が対象です。
給油取扱所の業務のための事務所や、給油取扱所の所有者・管理者が住む住居として使っているだけなら、この条文の対象にはなりません。
もう一つの経路として、一方だけが開放された屋内給油取扱所で、規則が定める「事務所等」という区画を持つ場合も対象に加わります。
自分のスタンドがどちらに当てはまるか、まずテナントの用途を確認することが出発点になります。

うちの二階は軽食スタンドのテナントなんですが、対象になりますか。

飲食店は施行令別表第一(3)項に当たるので対象になります。
該当するかどうかは用途の実態で判断してください。

誘導灯はどこにどんな仕様で設置すればよいのか

出入口の上に設置された誘導灯と、そのそばにある非常電源のバッテリーボックスのイメージ
対象になることが分かったら、次は設置場所と仕様の確認です。
規則は設置場所を二階の使い方ごとに分けて定めています。
危険物の規制に関する規則第38条の2第2項 (前略)建築物の二階の部分を(中略)用途に供するものにあつては、当該建築物の二階から直接給油取扱所の敷地外へ通ずる出入口並びにこれに通ずる通路、階段及び出入口に誘導灯を設けること。屋内給油取扱所のうち(中略)事務所等を有するものにあつては、当該事務所等の出入口、避難口並びに当該避難口に通ずる通路、階段及び出入口に誘導灯を設けること。誘導灯には、非常電源を附置すること。
設置場所は二階から敷地外までの経路全体です
二階を対象用途に使っている場合は、二階から直接敷地外へ通じる出入口と、そこに至る通路・階段・出入口のすべてに誘導灯が必要です。
事務所等を持つ屋内給油取扱所の場合は、事務所等の出入口・避難口とそこに通じる通路・階段・出入口が対象になります。
どちらの経路でも、誘導灯には非常電源の付置が義務付けられており、停電時にも避難経路を示せることが前提です。
サイズは大形・中形・小形のいずれでもよいとされているので、設置場所の見やすさを優先して選べます。

誘導灯は非常用のバッテリーがあれば何でもいいんですか。

はい、種類の指定はなく非常電源があれば足ります。
ただし避難口が見やすい位置に付けることが前提です。

実務で見落としやすいのはどこか

テナントの店舗が別の業種の店舗に入れ替わる様子を矢印で示したイメージ
避難設備の要否は、二階の使い方が変われば変わります。
特にテナントの入れ替わりで見落としが起きやすい場面があります。
危険物の規制に関する規則第25条の4第1項 (中略)二 給油取扱所の業務を行うための事務所 五 給油取扱所の所有者、管理者若しくは占有者が居住する住居又はこれらの者に係る他の給油取扱所の業務を行うための事務所 六 消防法施行令別表第一(一)項、(三)項、(四)項、(八)項、(十一)項から(十三)項イまで、(十四)項及び(十五)項に掲げる防火対象物の用途(前各号に掲げるものを除く。)
「事務所」という名前だけでは判断できません
給油取扱所自身の業務のための事務所(規則第25条の4第1項第2号)は対象から除かれますが、不動産業や保険代理店など他業種のテナント事務所は第六号の用途に当たり、対象に含まれます。
所有者や管理者本人が住む住居(同項第5号)も対象外ですが、こちらもテナントの入れ替わりで住居から一般の店舗に変わると扱いが変わります。
契約書の名称ではなく実際にどんな業務に使われているかで判断する必要があるため、テナントが変わるたびに用途を確認する運用が欠かせません。
一度誘導灯を設置したあとも、テナント変更のたびに対象条件を見直す習慣をつけておくと安心です。

前のテナントは事務所だったので対象外でした。
今度不動産屋さんが入るんですが、それでも大丈夫ですか。

不動産業は給油取扱所自身の業務ではないので対象になります
入居が決まった時点で早めに誘導灯の設置を検討してください。

明日からなにを確認すればよいのか

点検員が誘導灯と非常電源のボックスを点検しているイメージ
最後に、実務で確認すべき手順を整理します。
既に二階にテナントがある場合も、これから貸す場合も同じ視点で確認できます。
  • 二階またはテナント区画の実際の用途を、消防法施行令別表第一の分類に当てはめて確認する
  • 該当する場合は、二階から敷地外までの避難経路に誘導灯があるかを確認する
  • 誘導灯に非常電源が付いているか、停電を想定して点検する
  • テナントの契約更新や入れ替わりのタイミングで、用途の再確認を運用ルールに組み込む
点検と契約管理の両方に組み込むことが実務のコツです
誘導灯の点検は消防用設備等の点検の一環として扱えますが、用途の再確認は消防設備の点検サイクルだけでは拾えません。
テナント契約の担当部署と防火管理の担当が情報を共有し、入居やレイアウト変更の情報が防火管理者に届く仕組みを作っておくと安心です。
判断に迷う用途があれば、早めに所轄消防署へ相談することをおすすめします。

テナント管理の部署と防火管理の情報を共有するのは盲点でした。

はい、ここが抜けると設置のタイミングを逃しやすい点です。
次のよくある質問もあわせて確認してください。

よくある質問

Q給油取扱所の一階部分だけでも誘導灯は必要になりますか?
A一階部分の給油設備や作業場そのものは、この規定の対象ではありません。対象になるのは二階の特定用途や事務所等からの避難経路で、一階の給油エリア自体は含まれません。
Q屋根や壁のない一般的な給油取扱所にも避難設備は必要ですか?
A該当する二階や事務所等を備えていない一般的な給油取扱所であれば、この規定の対象にはなりません。ただし増築などで二階を設けた場合は改めて確認が必要です。
Q誘導灯の設置を怠るとどうなりますか?
A避難設備も含めた技術上の基準への適合は、消防法第12条が定める維持義務の対象です。基準に適合しない状態を放置すると、市町村長等による修理・改造・移転命令や使用停止命令の対象になるおそれがあります。
Q誘導灯の設置後、点検はどのように行いますか?
A誘導灯は消防用設備等の一つとして、他の消防用設備と同様に定期点検・報告の対象になります。非常電源が正常に作動するかも点検項目に含めて確認します。

まとめ

給油取扱所の避難設備は、危険物の規制に関する政令第21条の2が根拠です。
対象になるのは二階を特定用途に使う給油取扱所と、事務所等を持つ一方開放型の屋内給油取扱所です。
対象用途は消防法施行令別表第一の(1)項(3)項(4)項(8)項(11)項から(13)項イまで(14)項(15)項に限られます。
給油取扱所自身の事務所や住居、作業場は対象から除かれます
誘導灯は二階または事務所等から敷地外までの避難経路全体に設置します。
誘導灯には非常電源の付置が義務です。
テナントの用途が変わるたびに、対象条件の再確認を運用に組み込むことが実務のポイントです。

二階の用途を、この機会に見直してみます。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第21条の2(避難設備の基準)
  • 危険物の規制に関する規則第38条の2(避難設備を設置しなければならない製造所等及びその避難設備)
  • 危険物の規制に関する規則第25条の4(給油取扱所の建築物)
  • 危険物の規制に関する規則第25条の9(一方のみが開放されている屋内給油取扱所において講ずる措置)
  • 消防法施行令別表第一
  • 消防法第12条・第12条の2

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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