ガス漏れ火災警報設備には、検知器や受信機のほかに、通路にいる人へ光でガス漏れを知らせる「ガス漏れ表示灯」という装置があります。
すべての警戒区域に必ず設けなければならないわけではなく、条文は省略できる条件も定めています。
どこに設置し、いつ省略してよいのかを知らないと、点検のときに設置漏れなのか基準どおりなのかを判断できません。
この記事ではガス漏れ表示灯の設置条件と省略できる場合を、条文に沿って整理します。
うちの機械室にはガス漏れ検知器が付いていますが、光る表示灯のようなものは見当たりません。
これは無くても大丈夫なんでしょうか。
条文に、設置しなくてよい条件が決まっています。
順番に見ていきましょう。
検知区域警報装置という言葉も聞いたことがありますが、表示灯とは別物なんですか。
別の装置です。
役割の違いも含めて整理します。
- ガス漏れ表示灯は検知器の作動と連動し光でガス漏れを通路の人に知らせる装置である
- 一の警戒区域が一の室からなる場合には設置を省略できる
- 検知器を設ける室が通路に面している場合は出入口付近に設置する
- 前方三メートル離れた地点で点灯を明確に識別できることが必要
- 警戒区域が複数の室にまたがる場合は室ごとに設置状況を確認する
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目次
ガス漏れ表示灯とは何を知らせるための装置なのか

条文はそのうちの一つを「ガス漏れ表示灯」として、はっきり定義しています。
同じ号には、声で建物全体の関係者・利用者に知らせる音声警報装置や、音で検知区域の中にいる人に知らせる検知区域警報装置も並んでいますが、これらとガス漏れ表示灯は役割が異なります。
表示灯が伝える相手は「通路にいる人」に限られており、検知器が作動した部屋の入口を、通路側から一目で分かるようにするための装置です。
次の章では、この表示灯を設けなくてよい場合を見ていきます。
音や声じゃなくて、光で知らせるのが表示灯なんですね。
そのとおりです。
だからこそ設置を省略できる条件も別に定められています。
ガス漏れ表示灯を設置しなくてよいのはどんなときか

まずはこのただし書きを確認します。
そもそも警戒区域とは、ガス漏れの発生した区域を他の区域と区別して識別できる最小単位の区域を指します。
区域が最初から1つの部屋の中で完結していれば、通路にいる人に別の部屋と見分けさせる必要がないため、表示灯を省略できるとされています。
逆にいえば、この条件に当てはまらない限り、原則どおり表示灯を設けなければなりません。
図面を見て、対象の警戒区域が本当に1つの室で完結しているかどうかを、まず確かめてください。
うちの機械室は独立した1部屋だけなので、表示灯が無かったのは省略の条件どおりだったんですね。
そのとおりです。
ただし区域が複数の室にまたがると話が変わります。
表示灯はどこに、どう見えるように設置するのか

条文はイとロの2つに分けて定めています。
イは設置場所の話で、検知器のある部屋が通路に面しているなら、その通路側の出入口付近に表示灯を設けることを求めています。
ロは見え方の話で、色や明るさの数値は定めておらず、前方三メートル離れた地点からでも点灯が明確に分かることだけを求めています。
通路を歩く人が、遠目にも「ここで検知した」と分かる見え方になっているかを基準に考えると分かりやすくなります。
表示灯の色や明るさそのものには基準が無いんですか。
条文が求めているのは三メートル先で識別できることだけです。
色や明るさの数値までは定めていません。
実務で見落としやすいのはどこか

条文をもう一度、区域の単位に注目して読み直します。
条文の(イ)が対象にしているのは「検知器を設ける室」であり、警戒区域全体ではありません。
つまり、1つの警戒区域が複数の室にまたがっている場合は省略の条件に当てはまらず、通路に面する室のそれぞれに表示灯が必要になると読めます。
機械室のような独立した1室だけの区域と、廊下でつながった複数室にまたがる区域を同じ扱いにしてしまうと、必要な表示灯を見落とすことになります。
点検や設計の際は、対象の警戒区域が実際に何室で構成されているかを、まず図面で数えてください。
区域の中に部屋がいくつあるかまでは、意識したことがありませんでした。
そこが判断の分かれ目です。
次は確認の手順をまとめます。
表示灯の要否を確認する手順はどうなるか

図面と現地、両方を見比べながら進めます。
まず、対象の警戒区域が1室で完結しているかを図面で数え、完結していれば表示灯は省略できると判断します。
複数の室にまたがる区域であれば、通路に面する室ごとに、出入口付近へ表示灯が設けられているかを確認します。
最後に、実際に前方三メートル離れた地点に立ち、点灯していることが明確に識別できるかを目視で確かめます。
この3つの手順を踏めば、表示灯の設置漏れなのか、それとも基準どおりの省略なのかを区別できます。
区域の室数を数えるところから始めればいいんですね。
そのとおりです。
そこから設置場所と見え方の順に確かめてください。
よくある質問
まとめ
省略できる条件と見落としやすい点がはっきり分かって、点検で何を見ればいいか整理できました!
お役に立てて何よりです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第24条の2の3第1項第4号ロ(ガス漏れ表示灯の設置基準)
- 消防法施行令第21条の2第2項第1号(警戒区域の定義)
- 消防法施行規則第24条の2の3第1項第4号イ・ハ(音声警報装置・検知区域警報装置)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





