中高層マンションの一階に、銀行の支店やコンビニが入っているのを見たことはありませんか。
第一種中高層住居専用地域は「住居専用」という名前のわりに、実は一定の条件を満たせば店舗や飲食店、金融機関の窓口まで建てることを認めています。
どこまでの業種が、どれだけの面積まで建てられるのかは、建築基準法別表第二(は)項第五号という条文に細かく定められています。
この記事では条文と政令の中身を条ごとに確認しながら、防火管理者や管理権原者が押さえておくべきポイントを解説します
うちの近所のマンションの一階に、銀行の支店とコンビニが入っているんですが、中高層住居専用地域でも大丈夫なんでしょうか。
はい、面積や階数の条件を満たせば認められます。
まずは条文を確認しましょう。
住居専用地域なのに、そこまで色々建てられるんですね。
面積・階数・業種の三条件があります。
順番に見ていきましょう。
- (は)項第五号は店舗・飲食店の用途に供する部分の床面積の合計が五百平方メートル以内のものを許容します
- 三階以上の部分をその用途に供するものは対象から除かれます
- 対象業種は建築基準法施行令第百三十条の五の三が三つの区分で定めています
- (ろ)項・(ち)項の日用品限定より広く、銀行支店や一般の飲食店まで対象になります
- 「専ら性的好奇心をそそる写真その他の物品の販売を行うもの」は除外されます
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目次
中高層住居専用地域の店舗はどこまで認められるのか

その中の第五号に、店舗・飲食店に関する規定があります。
まず面積は、建物全体の延べ面積ではなく、店舗・飲食店の用途に供する部分だけの合計です。
次に階数は、店舗部分が一階・二階にとどまっていることが条件で、建物自体が三階建て以上でも一階に店舗があれば対象になります。
そして業種は、条文に直接書かれておらず政令に委ねられています。
根拠は建築基準法第48条第3項で、第一種中高層住居専用地域では(は)項に掲げる建築物以外は原則建築できないと定めています。
面積は店舗の部分だけなんですね。
建物全体の広さは関係ないんですか。
はい、店舗部分の合計面積だけを見ます。
次は対象業種の中身を見てみましょう。
政令が定める店舗業種はどの三区分に分かれるのか

条文を確認します。
一号は理美容院やクリーニング取次店、小規模な洋服店・パン屋、学習塾といったサービス業や小規模製造業です。
二号は物品販売業を営む店舗と飲食店で、扱う品目や業態の限定がありません。
三号は銀行の支店や損害保険代理店、宅地建物取引業といった金融・不動産系のサービス業です。
一号だけが他の項の条文を引用する形で、二号・三号はこの条文が独自に定めています。
銀行の支店や不動産屋さんまで対象になるんですね。
普通の物品販売業のお店も大丈夫なんですか。
はい、二号がその受け皿です。
次はなぜこれほど範囲が広いのかを見てみましょう。
なぜ日用品限定を外れて一般の店舗や銀行支店まで認められるのか

条文を確認します。
一方、第一種中高層住居専用地域の政令(第百三十条の五の三)は、前条の一号(日用品限定の店舗)を引用せず、二号として日用品に限らない物品販売業と飲食店を独自に定めています。
さらに三号で銀行の支店や宅地建物取引業まで加えており、低層住居専用地域よりも範囲が広がっています。
これは、中高層のマンションが立ち並ぶ地域では、日常の買い物先に加えて金融機関の窓口のような生活サービスへの需要も想定されているためと考えられます。
ただし範囲が広いといっても、五百平方メートル以内・三階以上を除くという条件は変わりません。
低層の地域より中高層の地域のほうが、お店の種類が広いんですね。
はい、ただし除外される業種もあります。
次はその落とし穴を見てみましょう。
性風俗除外規定を見落とすとどうなるか

その部分を確認します。
除外されるのは、あくまで専らその目的で営業する店舗であり、一般の書店や雑貨店が対象になるわけではありません。
この規定は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律が個別に規制する個室付浴場業のような業態とは別に、建築基準法が用途地域規制として独自に定めているものです。
店舗のテナント募集や用途変更の相談を受けたときは、業種の名目だけでなく実際の営業内容がこの除外規定に当たらないかを確認する必要があります。
三号の銀行支店等のサービス業には、この種の除外規定はありません。
物品販売業と一口に言っても、業種によっては認められない場合があるんですね。
はい、営業の実態まで見る必要があります。
次は確認の手順を整理しましょう。
明日から何を確認すればよいのか

確認すべき点を整理します。
- 敷地が第一種中高層住居専用地域に指定されているかを都市計画図で確認する
- 店舗・飲食店の用途に供する部分の床面積の合計が五百平方メートル以内かを図面で確認する
- 店舗部分が三階以上に配置されていないかを確認する
- 業種が施行令第百三十条の五の三の一号から三号のいずれかに当てはまるかを確認する
- 物品販売業の場合は、性風俗関連の除外規定に当たる営業実態がないかを確認する
面積と階数と業種、三つとも順番に確認すればいいんですね。
はい、どれか一つでも外れると対象外になります。
迷ったらよくある質問も参考にしてください。
よくある質問
まとめ
面積・階数・業種の三つを確認すれば、迷わず判断できそうです!
用途地域の判断に迷ったら、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第3項
- 建築基準法別表第二(は)項第五号・(ろ)項第二号・(ち)項第五号
- 建築基準法施行令第百三十条の五の二・第百三十条の五の三
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





