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危険物配管に強化プラスチック製の管を使ってよいのか|地下埋設の深さと金属配管との接続方法を解説

産業施設の地下ピットと配管を背景にした記事のアイキャッチ画像

危険物を運ぶ配管というと、金属製の管を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、強化プラスチック製の配管を使っている製造所や貯蔵所も少なくありません。
政令の基準は配管の材質そのものを指定しておらず、満たすべき性能だけを定めています。
この記事では、強化プラスチック製配管が基準に適合する条件と、金属配管との接続方法・埋設の注意点を整理します。

うちの施設、配管の交換でプラスチック製を勧められたのですが大丈夫でしょうか。

条件を満たせば使えます。
まず結論から確認しましょう。

金属配管とつなぐところが特に不安です。

接続方法も運用基準で決まっています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 危険物の規制に関する政令第9条第1項第21号は、配管の材質を金属に限定せず、強度・耐薬品性・耐熱性・耐腐食性の性能基準を満たせば足りるとしています。
  • 消防危第23号の運用基準により、JIS K7013・K7014の附属書2に適合し呼び径100A以下の強化プラスチック製配管はこの基準に適合するとされます。
  • 強化プラスチック製配管は、火災の熱で悪影響を受けないよう地下に直接埋設するか、蓋を鋼製等とした地下ピットに設置します。
  • 金属配管とフランジ継手で接続する場合は、漏えいを点検できるよう地下ピット内に設置する必要があります。
  • 埋設深さは地盤面が無舗装等なら60センチメートル以上、厚さ15センチメートル以上の鉄筋コンクリート舗装なら30センチメートル以上です。

危険物配管に強化プラスチックは使えるか規格適合継手接続深さ確保漏えい点検の4つを示した図解

危険物配管に樹脂製の管を使ってもよいのか

地下に埋設された金属製とプラスチック製の配管を並べたイメージ
危険物を取り扱う配管というと、まず金属製を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし政令は、配管の材質そのものを金属に限定していません。
危険物の規制に関する政令第9条第1項第21号 危険物を取り扱う配管の位置、構造及び設備は、次によること。 イ 配管は、その設置される条件及び使用される状況に照らして十分な強度を有するものとし、(略) ロ 配管は、取り扱う危険物により容易に劣化するおそれのないものであること。 ハ 配管は、火災等による熱によつて容易に変形するおそれのないものであること。(略)
条文が定めているのは材質ではなく、強度・耐薬品性・耐熱性という性能の基準です
この性能を満たすものであれば、金属でなくても配管として認められる余地があります。
そこで登場するのが、強化プラスチック製配管です。
どんな製品でも自由に使えるわけではなく、基準に適合することを示す運用基準が別に定められています。

材質は決まっていないなら、樹脂製でもよさそうですね。

条件を満たす製品ならという前提です。
次は具体的な条件を見てみましょう。

どんな強化プラスチック製配管なら基準に適合するのか

フランジ継手でつながれた強化プラスチック製配管のイメージ
強化プラスチック製配管であれば何でも使えるわけではありません。
消防庁の運用基準が、適合するための具体的な条件を示しています。
消防危第23号(強化プラスチック製配管に係る運用基準) (1) 強化プラスチック製配管に係る管及び継ぎ手は、JIS K7013「繊維強化プラスチック管」附属書2「石油製品搬送用繊維強化プラスチック管」及びJIS K7014「繊維強化プラスチック管継手」附属書2「石油製品搬送用繊維強化プラスチック管継手」に定める基準に適合するもので、使用圧力及び取り扱う危険物の種類等の使用条件に応じて、適切に選択されるものであること。 (2) 強化プラスチック製配管は呼び径100A以下のものであること。 (3) 強化プラスチック製配管は、火災等による熱により悪影響を受けるおそれのないよう地下に直接埋設すること。ただし、蓋を鋼製、コンクリート製等とした地下ピットに設置することができる。
JIS規格に適合した管と継手を、呼び径100A以下の範囲で使うことが条件です
使用圧力や取り扱う危険物の種類に応じて、適切な製品を選ぶ必要があります。
そして強化プラスチック製配管は、地下への直接埋設が原則で、地上にそのまま露出させることは想定されていません。
熱に弱いという性質を踏まえ、蓋を鋼製やコンクリート製にした地下ピットに納める方法も認められています。

地上に出したまま使うことはできないんですね。

熱に弱い性質を踏まえた条件です。
次は金属配管との接続を見てみましょう。

金属配管とはどうやって安全につなぐのか

地下ピット内で金属配管とつながる強化プラスチック製配管のイメージ
配管をすべて強化プラスチック製にできるとは限らず、途中から金属配管に変わる区間もあります。
異なる材質どうしの接続には、独自の注意点があります。
消防危第23号 (2) 強化プラスチック製配管と金属製配管との接合は、フランジ継手による接合とすること。(略)フランジ継手による接合は、(略)接合部分からの危険物の漏えいを点検するため、地下ピット内に設置する必要がある。 (4) 地上に露出した金属製配管と地下の強化プラスチック製配管を接続する場合には、次のいずれかの方法によること。 ア 金属製配管について、地盤面から65センチメートル以上の根入れ(管長をいう。)をとり、地下ピット内で強化プラスチック製配管に接続すること。 イ 金属製配管について、耐火板により地上部と区画した地下ピット内において耐火板から120ミリメートル以上離した位置で強化プラスチック製配管に接続すること。
金属配管との接続はフランジ継手で行い、点検できる地下ピット内に設置します
溶接のように漏えいのおそれがないと認められる接合と違い、フランジ継手は点検が前提の接合方法として扱われます。
地上に露出した金属配管とつなぐ場合は、金属配管側を65センチメートル以上地中に入れるか、耐火板から120ミリメートル以上離す方法のいずれかを選びます。
どちらの方法でも、熱の影響を受けやすい接続部分を火災からどう守るかが考え方の軸になっています。

継ぎ目は溶接ではなく、必ずピットの中で点検できるようにするんですね。

そのとおりです。
次は埋設で見落としやすい点を見てみましょう。

埋設で見落としやすいのはどこか

舗装の厚みによって埋設の深さが変わることを示すイメージ
強化プラスチック製配管を埋めるときは、深さの基準を地盤面の状態と切り離して考えないことが大切です。
条件によって求められる深さが変わります。
消防危第23号 (1) 強化プラスチック製配管の埋設深さ(地盤面から配管の上面までの深さをいう。)は、次のいずれかによること。 ア 地盤面を無舗装、砕石敷き又はアスファルト舗装とする場合、60センチメートル以上の埋設深さとすること。 イ 地盤面を厚さ15センチメートル以上の鉄筋コンクリート舗装とする場合、30センチメートル以上の埋設深さとすること。
埋設深さは地盤面の舗装の有無と厚みによって変わります
無舗装や砕石敷き、アスファルト舗装なら60センチメートル以上、厚さ15センチメートル以上の鉄筋コンクリート舗装であれば30センチメートル以上で足ります。
浅く埋めてよい条件を、舗装の厚みを確認せずに適用してしまうのが典型的な見落としです。
なお給油取扱所については、車両の荷重が配管に直接加わらない保護構造物を設ける部分に限り、車両の活荷重を考慮しなくてよい特例が平成30年の改正で追加されています。

舗装が薄いのに浅く埋めてしまう、というミスがありそうですね。

舗装の厚みを必ず確認してください。
最後に施工前の確認事項を見てみましょう。

施工前に何を確認すればよいのか

チェックリストと埋設前の配管を並べたイメージ
ここまでの基準は、いずれも施工の前に確認しておくべき事項です。
最後に、明日から実際に使えるチェックの順番を整理します。
危険物の規制に関する規則第13条の5(配管の基準) 一 配管を地上に設置する場合には、配管は、地震、風圧、地盤沈下、温度変化による伸縮等に対し安全な構造の支持物により支持すること。(略) 三 配管を地下に設置する場合には、その上部の地盤面にかかる重量が当該配管にかからないように保護すること
使用予定の配管がJIS規格に適合しているかを、まず図面や仕様書で確認します
次に金属配管とつなぐ区間があるかを洗い出し、フランジ継手が地下ピット内で点検できる配置になっているかを見ます。
埋設区間については、その場所の地盤面が舗装されているかどうかで必要な深さが変わる点を忘れずに確認しましょう。
すでに埋設済みの配管がある場合は、支持物や保護の状態を点検記録で確認しておくと安心です。

施工業者に任せきりにせず、こちらでも確認しておいたほうがよさそうですね。

図面での事前確認が大切です。
最後によくある質問を見てみましょう。

よくある質問

Q強化プラスチック製配管はすべての危険物施設で使えますか?
A危険物の規制に関する政令第9条第1項第21号は製造所の配管基準ですが、屋内貯蔵所や給油取扱所など他の危険物施設の配管基準にも同条の例によるとされており、運用基準はこれらの施設に共通して適用されます。
Qなぜ呼び径100A以下に限られているのですか?
A運用基準が適合条件の一つとして呼び径100A以下という範囲を定めていますが、理由までは書かれていません。判断に迷う場合は所轄消防署に確認してください。
Q強化プラスチック製配管を地上にそのまま露出させることはできませんか?
A運用基準は、火災等の熱により悪影響を受けないよう地下に直接埋設するか、蓋を鋼製・コンクリート製等とした地下ピットに設置することを求めています。地上への露出は基準の対象になっていません。
Q給油取扱所の保護構造物の特例はいつから使えますか?
A平成30年3月29日消防危第42号による改正で追加された特例で、厚さ15センチメートル以上の鉄筋コンクリート舗装の下に一定の保護構造物を設ける部分については、車両の活荷重を考慮しなくてよいとされています。

まとめ

危険物の規制に関する政令第9条第1項第21号は、配管の材質を金属に限定せず強度・耐薬品性・耐熱性・耐腐食性の基準を満たせば足りるとしています
消防危第23号の運用基準により、JIS K7013・K7014の附属書2に適合し呼び径100A以下の強化プラスチック製配管はこの基準に適合するとされます
強化プラスチック製配管は火災の熱で悪影響を受けないよう地下に直接埋設するか、蓋を鋼製等とした地下ピットに設置します
金属配管とはフランジ継手で接続し、漏えいを点検できるよう地下ピット内に設置する必要があります
埋設深さは地盤面が無舗装等なら60センチメートル以上、厚さ15センチメートル以上の鉄筋コンクリート舗装なら30センチメートル以上です
地上の金属配管との接続は65センチメートル以上の根入れ耐火板から120ミリメートル以上離す方法によります
給油取扱所では、一定の保護構造物を設ければ車両の活荷重を考慮しなくてよい特例が平成30年の改正で追加されました

今度の配管更新はJIS適合品かどうかを施工業者に確認してみます!
ピットの点検口も忘れずに見ておきます。

配管の基準を押さえておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第9条第1項第21号
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第13条の4・第13条の5
  • 強化プラスチック製配管に係る運用基準(平成10年3月11日消防危第23号、平成21年8月4日消防危第144号改正、平成30年3月29日消防危第42号改正)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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