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耐火電線はなぜ露出用と金属電線管配線用に分かれているのか|屋内消火栓設備の非常電源回路を保護する基準を解説

非常電源専用受電設備から屋内消火栓ポンプへ延びる耐火電線と金属配管

屋内消火栓設備などの非常電源回路の配線には、火災時にも機能を保つための保護が求められます。
原則は、電線を耐火構造の壁や床に埋め込む方法です。
しかし現場によっては、埋め込み工事が難しいこともあります。
そこで使われるのが耐火電線ですが、露出用と金属電線管配線用の2種類に分かれており、選び方を誤ると基準を満たせません。

うちの消火栓の配線は埋め込み工事をしていません。
業者から耐火電線を使っていると言われました。

耐火電線には露出用と金属電線管配線用の2種類があります。
どちらを使っているか、まず一緒に確認しましょう。

2種類あるなんて知りませんでした。
選び方を間違えると基準を満たさないんですか。

施工方法に合わない耐火電線を使うと基準違反になります。
この記事で判断のしかたを説明します。

この記事の結論
  • 屋内消火栓設備などの非常電源回路の配線は、原則として耐火構造の壁や床への埋め込みが必要です
  • 消防庁長官が定める基準に適合する電線を使えば、埋め込まずに配線できます
  • 耐火電線には露出用金属電線管配線用の2種類があります
  • 旧基準(昭和53年消防庁告示第7号)は廃止され、現行基準(平成9年消防庁告示第10号)に代わっています
  • 使ってよい耐火電線かどうかは、電線本体の表示で確認します

耐火電線は露出用と金属電線管配線用の2種類に分かれる図解

耐火電線の基準はなぜ見直されたのか

金属電線管の中を通る耐火電線が熱源に晒されている様子
従来の耐火電線は、露出配線でしか性能を保証されていませんでした。
しかし現場では、配管に収めて配線する工事も少なくありませんでした。
耐火電線の基準を定める告示について(通知)(昭和53年11月16日 消防予第211号 消防庁予防救急課長、改正 平成13年3月消防予第103号・消防危第53号) 耐火電線は、配線の施工時等に屈曲されるという実態にかんがみ屈曲試験を新たに加えたこと。金属電線管に耐火電線を収納して配線する等密閉された状態で配線できる耐火電線の基準を新たに加えて、露出配線に限り使用できる耐火電線と区別して施工方法により使いわけができるように2種類の低圧の耐火電線の基準を定めたこと。金属電線管配線等用のものを区分して基準を定めたのは、従来の耐火電線で金属電線管配線等を行うと、燃焼させた場合絶縁状態が劣化するものがあること等にかんがみ、金属電線管等による配線を行っても十分機能が維持できるものとしたものであること。
耐火電線が2種類に分かれているのは、施工方法によって求められる性能が違うからです。
密閉された金属電線管の中は熱がこもりやすく、従来品はこの中に収めると絶縁が劣化する事故につながっていました。
そこで昭和53年の告示改正で、露出用金属電線管配線用で試験基準を分けたうえ、屈曲試験も新たに加えられました。
非常電源には高圧回路もあることから、このとき高圧用の耐火電線の基準も初めて定められています。
新基準は昭和54年4月1日に施行され、旧基準(昭和48年消防庁告示第3号)は廃止されました。

密閉した配管の中は熱がこもりやすいんですね。
知らずに古い電線を使っていたら怖いです。

今の基準は施工方法ごとに試験を分けています。
次はどの設備が対象になるか見てみましょう。

どの消防用設備の配線が対象になるのか

キュービクルから屋内消火栓ポンプへ延びる非常電源の配線
耐火電線は、非常電源の配線ならどこにでも使えるわけではありません。
消防法施行規則が定める設備ごとに、配線方法の基準が決められています。
消防法施行規則第12条第1項第4号 屋内消火栓設備の非常電源は、非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備によるものとし、次のイからホまでに定めるところによること。ホ 配線は、電気工作物に係る法令の規定によるほか、他の回路による障害を受けることのないような措置を講じるとともに、次の(イ)から(ハ)までに定めるところによること。(ロ) 電線は、耐火構造とした主要構造部に埋設することその他これと同等以上の耐熱効果のある方法により保護すること。ただし、MIケーブル又は消防庁長官が定める基準に適合する電線を使用する場合は、この限りでない
対象になるのは、屋内消火栓設備など非常電源から消防用設備等へつながる配線です。
非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備のいずれを使う場合も、配線は同じホの規定に従います。
原則は耐火構造への埋設ですが、MIケーブルか、消防庁長官が定める基準に適合する電線(耐火電線)を使えば埋設は不要です。
つまり耐火電線は、埋め込み工事の代わりに選べる方法という位置づけです。

うちは自家発電設備を使っています。
この場合も同じ基準が適用されるんですか。

はい、非常電源の種類にかかわらず配線の基準は共通です。
次は基準の中身を具体的に見てみましょう。

新しい基準は何を求めているのか

露出用と金属電線管配線用に分かれた耐火電線の2種類
露出用と金属電線管配線用では、求められる試験の内容が違います。
どちらも合格すれば同じ耐火電線ですが、使える施工方法は変わります。
耐火電線の基準を定める告示について(通知) 第2 設置区分について 次に示す場合は第1、2の金属電線管配線等に使用できるものとされたいこと。(1)おおむね50cm以上の金属電線管に通線し布設するもの。なお、占積率が小さい場合には金属電線管の長さがおおむね2m以下の場合は、この限りでない。(2)多条布設を行っている場合。(3)その他密閉されたダクト等内を配線する場合で占積率が大きいもの。
2種類の違いは、金属電線管などで密閉した状態で使うかどうかです。
昭和53年当時は、金属電線管の長さがおおむね2m以下なら露出用でもよいという運用も示されていました。
その後、平成9年消防庁告示第10号への全部改正で試験の方法そのものが見直され、現在は製品ごとの試験区分で2種類が固定されています。
絶縁物にハロゲンを含まない高難燃ノンハロゲン耐火ケーブルという区分も、この告示で加わりました。

露出か配管かで試験が違うなんて知りませんでした。
今使っている電線がどちらか気になります。

とても大事な視点です。
次は基準が古いままだと起きる落とし穴を説明します。

実務で見落としやすいのはどこか

廃止された古い基準の書類と耐火電線の表示ラベル
耐火電線の基準は一度改正されており、古い運用のまま覚えていると判断を誤ります。
特に、配管の長さを測って判断する方法は、今は通用しません。
耐火電線の基準(平成9年12月18日消防庁告示第10号)附則 この告示は、公布の日から施行する。昭和五十三年消防庁告示第七号は、廃止する
今の耐火電線は、配管の長さを測って判断する仕組みではありません。
昭和53年当時の通達は、金属電線管がおおむね2m以下なら露出用でもよいという当時の試験基準を前提にした運用でした。
平成9年の全部改正で試験の方法自体が変わったため、この長さの目安をそのまま今の耐火電線に当てはめることはできません
現在は、製品がどちらの試験に合格しているかを、電線本体の表示で確認する仕組みに変わっています。
古い資料の長さの目安をもとに「これで大丈夫」と判断すると、実際には基準を満たさない場合があります。

以前の資料に書いてあった長さの基準を使っていました。
それはもう古いんですね。

今は電線の表示を確認する方法に変わっています。
次は具体的な確認手順をお伝えします。

明日から何を確認すればよいのか

耐火電線の表示ラベルを確認する作業員
耐火電線かどうかは、電線そのものに表示された内容で確認できます。
配線を新しくするときや点検のときに、この表示を見る習慣をつけましょう。
耐火電線の基準(平成9年12月18日消防庁告示第10号)第九 表示 耐火電線には、次の各号に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示するものとする。一 製造者名又は商標 二 製造年 三 耐火電線である旨の表示 四 金属電線管配線等に使用することのできるものにあっては、その旨の表示 五 高難燃ノンハロゲン耐火ケーブルにあっては、NH
確認すべきことは、電線の表示に金属電線管配線等対応の旨があるかどうかです。
表示には製造者名・製造年・耐火電線である旨のほか、この対応可否がまとめて記載されています。
露出用としか書かれていない電線を配管に収めて使うと、基準に適合しない配線になってしまいます。
高難燃ノンハロゲン耐火ケーブルを使う場合は、表示の「NH」の文字も確認しておくとよいでしょう。
表示が消えている、または読み取れない場合は、施工した業者か製造者に確認することをおすすめします。

表示を見れば配管対応かどうか分かるんですね。
今度の点検で確認してみます。

それが一番確実な方法です。
迷ったときは㈱防災屋にもご相談ください。

よくある質問

Q露出用の耐火電線を金属電線管に収めて使ってもよいですか?
A表示に金属電線管配線等対応の旨がない場合、この使い方は基準に適合しません。露出用としてのみ使用してください。
Q高圧回路にも耐火電線は使えますか?
A使えます。昭和53年の告示改正で高圧回路用の耐火電線の基準が新たに定められ、現行の平成9年消防庁告示第10号にも引き継がれています。
Q古い耐火電線がすでに設置されている場合はどうなりますか?
A新基準が施行された時点で設置済みの旧基準品は、引き替えなどの措置は不要とされています。ただし新規の増設や更新では現行基準の耐火電線を使う必要があります。
Q耐火電線の表示が読み取れないときはどうすればよいですか?
A自己判断で使い続けず、施工した業者や製造者に確認することをおすすめします。所轄消防署に相談する方法もあります。

まとめ

屋内消火栓設備などの非常電源回路の配線は、原則として耐火構造への埋め込みが必要です
消防庁長官が定める基準に適合する耐火電線を使えば、埋め込まずに配線できます
耐火電線には露出用金属電線管配線用の2種類があります
2種類に分かれているのは、密閉した配管内では絶縁が劣化しやすいためです
旧基準(昭和53年消防庁告示第7号)は廃止され、現行基準(平成9年消防庁告示第10号)に代わっています
配管の長さで判断する古い運用は、今の試験基準には当てはまりません
使ってよい耐火電線かどうかは、電線本体の表示で確認しましょう

耐火電線の2種類の違いがよく分かりました。
今度の点検で表示を確認します!

配線の基準に関するご相談もお気軽にどうぞ
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 耐火電線の基準を定める告示について(通知)(昭和53年11月16日 消防予第211号 消防庁予防救急課長、改正 平成13年3月消防予第103号・消防危第53号)
  • 耐火電線の基準(平成9年12月18日消防庁告示第10号、改正 平成26年4月14日消防庁告示第11号・令和元年6月28日消防庁告示第2号)
  • 消防法施行規則第12条第1項第4号ホ

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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