非常警報設備は、鳴らすための電気が火災の熱で切れてしまえば意味がありません。
そこで配線には、どこからどこまでを守るのかという線引きが置かれています。
ところが図面には描かれていても条文には書いていない区間があり、現場では判断が割れます。
質疑応答が示したのは電線の種類ではなく区間で決まるという考え方です。
うちのベルまでの線は耐熱電線を使っています。
それなら金属の管に入れなくてもよいのではありませんか。
その点はお見込みのとおりと回答されています。
電線の種類を上げても工事の方法は省けません。
では、条文に書いていない区間はどうなりますか。
非常電源から表示灯までは、図にしか出てきません。
そちらは耐熱保護が必要と回答されています。
守る区間と守らなくてよい区間は、はっきり分かれています。
配線と起動装置についての照会を5つ並べて見ていきます。
- 地区音響装置までの配線は600V耐熱ビニル絶縁電線を使っても金属管工事等とするとされました
- 非常電源から表示灯までの回路配線については耐熱保護が必要であると回答されています
- 非常ベルの一部に置いた自動火災報知設備の受信機は規則第25条の2第2項第4号ニの操作部には該当しないとされました
- その設問では起動装置や表示灯までの配線に耐熱保護をする必要はないとされています
- 11階以上の階又は地下3階以下の階の放送設備の起動装置は非常電話に限ることとされ既存の建物にも適用されます
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目次
地区音響装置までの配線は電線を良くすれば工事を省けるか

良い電線を使えば工事のほうは省ける、という発想への照会です。
照会は、600V耐熱ビニル絶縁電線という耐熱性のある電線を使うのだから、そこまでの工事は問わなくてよいのではないか、という趣旨です。
これに対する回答はお見込みのとおりで、その場合でも金属管工事等とすると示されました。
電線そのものの性能と、電線を収める工事の方法は、別々に求められているという読み方になります。
自分の建物でやることは1つです。地区音響装置までの配線が金属管などに収められているか、見えている範囲だけでも点検の記録と突き合わせてください。
電線と工事は、別々に見るのですね。
どちらかを良くすれば足りると思っていました。
はい、両方が求められています。
まずは地区音響装置までの線がどう収められているかを見てください。
非常電源から表示灯までの配線に耐熱保護は要るか

運用基準細則の図にだけ描かれていた部分についての照会です。
照会は、運用基準細則の図では耐熱配線として描かれているのに、条文にも改正条項にも書かれていない、という食い違いを突いたものです。
回答は、非常電源から表示灯までの回路配線については耐熱保護が必要であると、区間を名指しして示しました。
理由までは書かれていませんが、火災のときに表示灯が消えれば、起動装置の位置そのものがわからなくなります。
明日できることは1つです。手元の設計図で、非常電源から表示灯までの線がどの記号で描かれているかを確かめてください。
条文に書いていなくても求められるのですか。
図だけの話だと思っていました。
この区間ははっきり必要であると回答されています。
図面の記号を先に確かめておくと、話が早く進みます。
自動火災報知設備の受信機を操作部とみて耐熱保護を外せるか

その起点を受信機に置き替えられないか、と尋ねた照会です。
照会は、予備電源組込みの受信機を規則第25条の2第2項第4号ニの操作部とみなしたうえで、そこから先の耐熱保護を外せないかと尋ねたものです。
回答は、設問の場合はその号に該当しないとし、そのうえで耐熱保護をする必要はないとしました。
条文に当てはまらないので、その号が求める保護も及ばないという順序です。当てはめを飛ばして結論だけを持ち出すと、逆の答えを引き当てかねません。
自分の建物では、まず受信機がどの設備のものとして置かれているかを確かめてください。そこが決まらないと配線の話に進めません。
つまり、当てはまるかどうかが先なのですね。
保護が要るか要らないかは、その後の話になると。
その順序どおりです。
受信機が何の設備のものかを、図面と現物の両方で確かめてください。
放送設備の起動装置を非常電話に限ったのはなぜか

ただし書が削られた理由を、そのまま尋ねた照会です。
押しボタンだけでは、どの階でどうなっているかまでは操作する側に伝わりません。
そこで11階以上の階又は地下3階以下の階に設ける放送設備の起動装置は、非常電話に限ることとされました。
声でやりとりできれば、流す放送の中身も変えられます。避難させる階を選ぶという放送設備の役目に直結する改正です。
高い階や深い地階のある建物では、そこの起動装置が押しボタンのままになっていないかを確かめてください。
押しボタンでは、状況までは伝わらないのですね。
うちの上の階も、確かめたほうがよさそうです。
そのとおりです。
放送する場所で状況をつかめるようにする、という考え方が根にあります。
高い階と深い地階から見ていってください。
非常電話による起動装置は既存の建物にも及ぶか

非常電話による起動装置の取扱いを尋ねた照会です。
回答は、既存の防火対象物であっても改正後の技術上の基準が適用されるとしています。
改正の前に建てられたからという理由だけで、非常電話への置き替えを見送れるわけではありません。
同じ通知の別の問では、従前の規定により設置されている非常警報設備を当分の間そのまま扱ってよいとした部分もあります。ただしそれは別の問への回答なので、この起動装置の話とは分けて読む必要があります。
自分の建物が改正の前のものであっても、起動装置の種類は今の基準で確かめてください。
古い建物だからそのままでよい、とは限らないのですね。
別の問の答えと混ぜないようにします。
そこが大事なところです。
どの問への回答なのかを、必ずセットで控えておいてください。
よくある質問
まとめ
配線は区間ごとに見ればよいのですね。
電線の名前だけで決めていました。
そのとおりです。
どの区間をどう守るかが先で電線の種類は後になります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 非常警報設備の配線について(昭和48年4月21日 消防予第63号 予防課長から熊本県あて回答)
- 地区音響装置までの配線について(昭和48年10月23日 消防予第140号 消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 非常電源から表示灯までの回路配線は耐熱保護が必要か(昭和48年10月23日 消防予第140号 消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 放送設備の起動装置を非常電話に限つたのは何故か(昭和48年10月23日 消防予第140号 消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 非常電話による起動装置の既存物件の取扱いについて(昭和48年10月23日 消防予第140号 消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法施行規則第25条の2
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和48年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





