非常電源専用受電設備の点検票は、接地抵抗の欄をどう書けばよいか迷う場面があります。
電気主任技術者がすでに測定しているのに、消防点検でも同じ測定をやり直すべきか悩むこともあります。
キュービクル式の「接地(低圧)」欄も、ほかの欄と同じように数値を書くものと思われがちです。
この記事では、点検要領が定める非常電源専用受電設備の接地抵抗の書き方を、点検票の実務に沿って解説します。
電気主任技術者さんがもう接地抵抗を測ってるんですが。
消防点検でもう一回測り直すんですか。
他の法令による点検が実施されていればその測定値を準用できますよ。
じゃあキュービクル式の接地(低圧)欄はどう書くんですか。
機器点検の欄は維持台帳等で種別を確認するだけで足りますよ。
順番に見ていきましょう。
- 非常電源専用受電設備は電気事業法上の自家用電気工作物にあたり、選任された電気主任技術者による保安規程に基づく点検を受けます
- 消防点検は、この電気主任技術者の点検とあわせて計画することが望ましいとされています
- 接地抵抗を測定するときは、電源を確実に遮断し検査電器等で安全を確認してから測定します
- キュービクル式の機器点検における接地(低圧)の欄は、接地工事の種別を維持台帳等で確認して記入します
- 低圧受電の配・分電盤は、断熱構造部や電線引込部の断熱措置、耐熱ボックスなどキュービクル式には無い項目が加わります
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目次
非常電源専用受電設備の点検は、なぜ電気主任技術者の点検とあわせて計画するのか

点検の計画も、この二重の立場を踏まえて組み立てます。
- 非常電源専用受電設備は電気事業法上の自家用電気工作物にあたり、選任された電気主任技術者による保安規程に基づく点検を受けます
- 消防点検は、この電気主任技術者の点検に防火管理者が立ち会ったうえで、同時に計画することが望ましいとされています
電気事業法では、自家用電気工作物の設置者に保安規程の作成と電気主任技術者の選任が義務づけられており、この主任技術者が定期的に設備を点検します。
消防用設備等の点検要領は、この電気主任技術者の点検に防火管理者が立ち会うことが望ましいとしたうえで、電気事業法に基づく保安規程の点検とあわせて計画するのが適当だとしています。
点検の日程をあらかじめすり合わせておけば、同じ設備を別の日に二度止める手間も防げます。
うちは電気主任技術者さんと防災屋さんが別の日に来るんですが。
一緒に計画したほうがいいんですか。
同時に計画したほうが望ましいとされていますよ。
日程をすり合わせておきましょう。
接地抵抗と絶縁抵抗はなぜ実測しなくても点検票に書けることがあるのか

測定のやり直しを防ぐための実務上の仕組みです。
- 総合点検の接地抵抗は、接地抵抗測定器で測定して点検票に記入するのが原則です
- ただし、他の法令による点検が実施されている場合は、その測定値を点検票にそのまま準用できます
点検要領は、接地抵抗の判定方法に「他の法令により点検が実施されている場合は、その測定値をもって当てることができる」と定めており、絶縁抵抗にも同じ特例があります。
これは主に、電気主任技術者が電気事業法に基づく保安規程の点検で測定した値を指します。
点検票に記入するときは、測定日と測定者を備考欄に書き添えておくと、後から見返したときに経緯が分かりやすくなります。
他の法令の点検って、具体的には電気主任技術者さんの点検のことですか。
そうです。電気事業法に基づく保安規程の点検が代表例ですよ。
接地抵抗を測定するときはどんな安全確認の手順を踏むのか

感電を防ぐための確認です。
- 測定の前に電源を確実に遮断します
- さらに検査電器等で完全に電源が遮断され安全であることを確認してから、接地抵抗値を測定します
点検要領は、接地抵抗値を測定する前に「電源を確実に遮断し、更に検査電器等で完全に電源が遮断され安全であることを確認してから」測定するよう留意事項で定めています。
検電器などの検査電器を使い、本当に通電していないかを確かめてから接地抵抗計を当てる、という二段階の確認になります。
高圧・特別高圧の受電設備ではとくに、この確認を省くと重大な事故につながります。
検電器ってテスターみたいなものですか。
通電の有無だけを確かめる専用の器具ですよ。
測定の前に必ず使います。
キュービクル式の「接地(低圧)」はなぜ維持台帳の確認だけで足りるのか

同じ「接地」でも、確認の仕方が別物です。
- キュービクル式の機器点検における接地(低圧)の欄は、接地工事の種別を維持台帳等により確認して記入します
- 抵抗値そのものを測定するのは総合点検の接地抵抗の欄であり、機器点検の欄とは役割が分かれています
点検票の記載要領は、キュービクル式非常電源専用受電設備の機器点検における接地(低圧)の欄について、接地工事の種別を維持台帳等により確認して記入する、と定めています。
高圧受電盤・配分電盤そのほかの機器点検の欄の多くも「特記事項があれば記入する」という書き方で、異常が無ければ空欄のままでよい欄です。
その他の非常電源専用受電設備の機器点検も、この欄はキュービクル式に準じます。
じゃあ機器点検のときは接地抵抗計を使わなくていいんですか。
機器点検の接地(低圧)は種別の確認だけで足ります。
抵抗値は総合点検で測定しますよ。
低圧受電の配・分電盤はキュービクル式と何が違うのか

断熱と耐熱に関わる部分です。
- 配電盤・分電盤の断熱構造部および電線引込・引出部の断熱措置の損傷・劣化・脱落は、備考欄に記入します
- 二種配電盤または分電盤を不燃専用室内に設けている場合はキュービクル式に準じて点検し、一種配電盤・分電盤の耐熱ボックスも点検して不良があれば記入します
配電盤・分電盤の断熱構造部、および電線の引込部・引出部にある断熱措置の損傷・劣化・脱落に関する事項は、備考欄に記入します。
二種配電盤または分電盤を不燃専用室内に設けている場合は、キュービクル式に準じて点検し、不良があった場合は記入します。
一種配電盤または分電盤の耐熱ボックスについても点検し、不良がある場合は記入します。外形欄には配電盤・分電盤の別と一種・二種の別、設置台数もあわせて記入します。
耐熱ボックスって、キュービクル式にも付いてるものですか。
いいえ、低圧受電の配・分電盤特有の点検項目です。
一種は耐熱ボックス、二種は設置室を見ますよ。
よくある質問
まとめ
測り直さなくていい場合があるのがよく分かりました!
記入に迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第23 非常電源(非常電源専用受電設備)
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第23 非常電源(非常電源専用受電設備)
- 電気事業法第42条・第43条(保安規程及び主任技術者)
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検票の記載要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署、電気主任技術者にご確認ください。





