立入検査で「この非常口、鍵がかかっていますね」と指摘されて困ったことはありませんか。
建築基準法施行令には、避難のための出口に設ける施錠装置そのものの構造を定めた規定があります。
消防法令が施錠そのものを問題にする場面とは別に、建築基準法の側にも独自の基準が置かれています。
この記事では、建築基準法施行令が定める施錠装置の構造と解錠方法の表示義務を解説します。
うちの非常口は防犯のために鍵をかけています。
これって建築基準法違反になるんでしょうか。
それは建築基準法施行令の施錠装置の基準に関わる話ですね。
実は鍵をかけること自体は一律に禁止されていません。
鍵をかけてもいいんですか。
てっきり非常口は絶対に施錠できないと思っていました。
条件を満たせば施錠できます。
順番に見ていきましょう。
- 建築基準法施行令第125条の2は、避難のための出口に設ける施錠装置そのものの構造を定めた規定です。
- 対象になるのは屋外避難階段に通じる出口・避難階段から屋外に通じる出口・常時施錠されている避難用の出口の3種類です。
- 施錠装置は屋内から鍵を使わずに解錠できる構造にしなければなりません。
- 戸の近くの見やすい場所に解錠方法を表示することもあわせて義務づけられています。
- 法令により人を拘禁する目的の施設は、この規定の適用除外になります。
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目次
避難のための出口になぜ鍵をかけてはいけないのか

建築基準法施行令には、こうした出口の施錠装置そのものについて定めた条文があります。
建築基準法施行令が求めているのは、屋内から鍵を使わずに解錠できる構造にすることです。
消防法令にも避難口をふさいではならないという別の規定がありますが、こちらは建築基準法独自の基準です。
両方の基準を同時に満たす施錠装置を選ぶ必要があります。
次の見出しから、この規定の対象になる出口を具体的に見ていきます。
施錠自体は禁止じゃないんですね。
でも鍵を使わず開けられる構造とはどんなものでしょうか。
サムターン式やレバーハンドルなど、鍵を差し込まずに回せる金具のことです。
屋内側からひとひねりで開けられれば十分です。
施錠装置の基準がかかるのはどの出口か

条文は対象になる出口を3つに区切って挙げています。
一号と二号は、屋外に設けた避難階段の出入口そのものを指します。
三号は少し幅が広く、ふだんから鍵をかけたままにしている出口のうち、火災など非常時に避難で使うべきものが対象です。
倉庫や機械室に通じる出口でも、非常時の避難経路になっているなら三号の対象になり得ます。
自分の建物のどの出口がこの3つに当てはまるかを、まず洗い出すことが出発点です。
うちは倉庫の裏口もふだん施錠したままです。
あれも対象になるということですか。
非常時の避難経路として使う出口なら対象になります。
三号の要件に当てはまるか確認しましょう。
施錠装置はどんな構造でなければならないか

条文が求めているのは大きく分けて2つです。
サムターン、レバーハンドル、押しバーなど鍵を差し込まなくても回せる、押せる金具であれば条文の求める構造に当たります。
細かな構造や表示の具体的な基準は、国土交通大臣が定める告示に委ねられています。
自己判断で金具を選ぶより、施工業者や確認検査機関に基準への適合を確認してもらうほうが確実です。
表示は戸そのものではなく、戸の近くの見やすい場所に付ける必要があります。
鍵のいらない金具に交換しました。
それだけで基準を満たしたことになりますか。
金具だけでなく解錠方法の表示もあわせて必要です。
両方そろって基準を満たします。
実務で見落としやすいのはどこか

金具だけ交換して満足してしまうケースが少なくありません。
表示が無ければ、いざというときに来館者が解錠方法に迷い、避難が遅れるおそれがあります。
また、この適用除外は法令上の拘禁施設に限られており、防犯上の理由だけで対象から外れることはありません。
一般のオフィスや店舗、共同住宅であれば、原則としてこの規定がそのまま適用されます。
「うちは特殊だから対象外」と思い込まず、まず条文の3号に該当しないかを確認してください。
表示までは付けていませんでした。
すぐに確認します。
見やすい位置に付けることも忘れずに確認してください。
明日からなにを確認すればよいのか

建物の所有者や管理者には、日ごろから状態を保つ努力義務もあります。
屋外避難階段の出入口と、ふだん施錠している避難用の出口を建物内で一通り確認してください。
それぞれの施錠装置が鍵を使わず屋内から解錠できる構造かどうかを実際に触って確かめます。
解錠方法の表示が戸の近くの見やすい場所に付いているかもあわせて確認しましょう。
不明な点があれば、施工業者や所轄の建築主事、確認検査機関に相談してください。
出口をひとつずつ回って確認してみます。
表示が足りない場所は追加します。
それが確実です。
点検の記録もあわせて残しておきましょう。
よくある質問
まとめ
この記事のおかげで施錠装置の基準がよくわかりました。
さっそく出口を確認してみます!
早めのご確認をおすすめします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令第125条の2(屋外への出口等の施錠装置の構造等)
- 建築基準法第8条第1項(維持保全の努力義務)
- e-Gov法令検索(建築基準法施行令)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





