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屋外タンク貯蔵所と移送取扱所の保安検査はなぜ先送りできることがあるのか|市町村長等への申請理由と休止から除かれる3つの取扱いを解説

屋外タンク貯蔵所の保安検査はなぜ先送りできることがあるのかを解説する記事のアイキャッチ画像

屋外タンク貯蔵所や移送取扱所には、消防法にもとづく保安検査という定期の検査があります。
この検査には政令が定める周期がありますが、事情によっては市町村長等が別の時期を定められる仕組みも用意されています。
ただし先送りは自動ではなく、認められる理由も申請の手続きも決まっています。
申請できる理由と、休止から除かれる取扱い、見落としやすい注意点までを解説します

うちの屋外タンク、そろそろ保安検査の時期なんですが、忙しい時期なのであと少しだけ先送りできたりしないんでしょうか。

実は危険物の規制に関する政令第8条の4第2項のただし書きに、市町村長等が時期を別に定められる規定があります。
ただし認められる理由は限られています。

誰でも好きなタイミングに変えられるわけではないんですね。

はい、災害や休止など決まった理由に該当し、申請することが条件です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 保安検査の対象は特定屋外タンク貯蔵所と移送取扱所で、政令が定める周期(原則8年、移送取扱所は1年)ごとに受ける必要があります(消防法第14条の3第1項)
  • 政令第8条の4第2項のただし書きにより、一定の事由があれば申請にもとづき市町村長等が時期を別に定めることができます
  • 規則第62条の2第1項が定める理由は災害その他非常事態・保安上の必要・貯蔵及び取扱いの休止・使用状況の変更の4つです
  • 「休止」からは非常用電源の燃料タンクや指定数量の5分の1未満の潤滑油・作動油の取扱いなど3つの取扱いが除かれ、これだけでは休止と認められません
  • 時期の変更は所有者・管理者・占有者からの申請が前提で、放置すれば元の周期のまま検査期限を迎えます

屋外タンクの保安検査は先送りできることがある事由が生じる申請する例外を確認新しい時期が決まるという流れを示す図解

保安検査の時期はなぜ変わることがあるのか

屋外タンクと時期を示すカレンダーのイメージ
屋外タンク貯蔵所や移送取扱所には、政令が定める周期ごとの保安検査が義務づけられています。
まずはこの検査の根拠と、時期を変えられる仕組みがあることを確認します。
消防法第十四条の三第一項
政令で定める屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所の所有者、管理者又は占有者は、政令で定める時期ごとに、(略)市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければならない。
危険物の規制に関する政令第八条の四第二項
法第十四条の三第一項の政令で定める時期は、次の各号に掲げる特定屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所の区分に応じ、当該各号に定める時期とする。
ただし、災害その他の総務省令で定める事由により、当該時期に法第十四条の三第一項の保安に関する検査を行うことが適当でないと認められるときは、当該特定屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所の所有者、管理者又は占有者の申請に基づき、市町村長等が別に定める時期とすることができる。
一 特定屋外タンク貯蔵所(略) 完成検査を受けた日(略)の翌日から起算して八年(略)を経過する日前一年目に当たる日から、当該経過する日の翌日から起算して一年を経過する日までの間
四 移送取扱所 完成検査を受けた日(略)の翌日から起算して一年を経過する日前一月目に当たる日から、当該経過する日の翌日から起算して一月を経過する日までの間
保安検査には原則として決まった周期がありますが、条文のただし書きが例外の入口を用意しています
対象は指定数量の倍数が大きい特定屋外タンク貯蔵所移送取扱所に限られ、周期は原則8年(腐食対策などにより10年・13年、測定結果次第で最長15年まで延長可)、移送取扱所は1年です。
このただし書きが、次に見る「時期を変える理由」の根拠になっています。
理由そのものは、条文が委任する総務省令=危険物の規制に関する規則に列挙されています。

腐食対策で周期そのものが延びる制度もあると聞きましたが、今回のただし書きとは違うものですか。

はい、周期そのものを伸ばす措置とは別に、個別の事情で一時的に時期をずらす規定です。
次はその理由を確認しましょう。

どんな理由があれば市町村長等に申請できるのか

警戒テープが張られたタンクと施錠されたバルブと書類を確認するイメージ
ただし書きを受けて、規則が具体的な理由を列挙しています。
4つの理由を確認します。
危険物の規制に関する規則第六十二条の二第一項
令第八条の四第二項ただし書の総務省令で定める事由は、次に掲げるものとする。
一 災害その他非常事態が生じたこと。
二 保安上の必要が生じたこと。
三 危険物の貯蔵及び取扱いが休止されたこと。
四 前号に掲げるもののほか、使用の状況(計画を含む。)等に変更が生じたこと。
申請できる理由は、災害・保安上の必要・貯蔵及び取扱いの休止・使用状況の変更の4つに限られます
一号は地震や事故などの非常事態、二号は補修や改良工事など検査より先に対応すべき事情がある場合を想定しています。
実務でもっとも使われやすいのは三号の休止で、稼働を止めた施設に周期どおりの検査を求めない趣旨です。
四号は前三号に当てはまらない使用状況の変化を受け止める、いわば受け皿の規定です。

うちは去年から稼働を止めているので、三号の休止に当てはまりそうです。

休止であれば理由にはなり得ますが、次に見る除外規定に注意が必要です。
順番に確認しましょう。

「貯蔵及び取扱いの休止」から除かれる3つの取扱いとは何か

非常用発電設備の燃料タンクと油圧ポンプと隣接施設への配管のイメージ
休止を理由にするときは、除外規定もあわせて見る必要があります。
規則が定める3つの例外を確認します。
危険物の規制に関する規則第六十二条の二第二項
前項第三号の危険物の貯蔵及び取扱いからは、次に掲げるものを除く。
一 消火設備又は保安のための設備の動力源の燃料タンクにおける危険物の貯蔵又は取扱い
二 ポンプその他の潤滑油又は作動油を用いる機器における潤滑油又は作動油の取扱い(一の機器において取り扱う潤滑油又は作動油の数量が指定数量の五分の一未満である場合に限る。)
三 屋外タンク貯蔵所の配管の他の製造所等との共用部分における危険物の取扱い(当該他の製造所等における危険物の貯蔵又は取扱いに伴うものに限る。)
この3つに当てはまる取扱いが残っているだけでは、休止とは認められません
消火設備や保安設備の動力源となる燃料タンクは、稼働を続けていても休止扱いにできます。
潤滑油・作動油についても、指定数量の5分の1未満という小規模な取扱いなら休止の判定に影響しません。
屋外タンク貯蔵所の配管を他の施設と共用している部分で、その施設側の稼働にともなう取扱いが残っている場合も同様です。

逆に言えば、これ以外の設備が少しでも動いていたら休止とは言えないということですね。

はい、主たる危険物施設としての稼働実態が止まっているかどうかで判断されます。
次は申請の手続き面での注意点を見ましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

窓口で担当者が書類を提出しているイメージ
理由に当てはまっても、それだけでは時期は変わりません。
見落としやすい手続き面の注意点を確認します。
危険物の規制に関する政令第八条の四第二項ただし書(再掲)
当該特定屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所の所有者、管理者又は占有者の申請に基づき、市町村長等が別に定める時期とすることができる。
時期の変更は理由が生じただけで自動的に決まるのではなく、所有者・管理者・占有者からの申請があってはじめて市町村長等が判断します
申請を出さないまま元の周期の期限を迎えると、保安検査を受けていない状態のまま期限を超過しかねません。
理由が「休止」であっても、前の見出しで見た3つの除外に該当する程度の稼働が残っているだけなら、そもそも休止と認められない点にも注意が必要です。
新しい時期を最終的に決めるのは市町村長等であり、申請者側が任意の日を選べるわけではありません。

理由があっても、申請を忘れたら意味がないんですね。

はい、理由の該当性と申請の両方がそろって初めて時期が変わります。
最後に確認の手順をまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

担当者がタンクの前でカレンダーを確認しているイメージ
ここまでの内容を、実際の確認作業に落とし込みます。
順番に見ていきましょう。 まず自社の屋外タンク貯蔵所や移送取扱所の次回の保安検査の期限を確認してください
そのうえで、災害・保安上の必要・休止・使用状況の変更のいずれかの理由に当てはまるかを整理します。
休止を理由にする場合は、非常用設備の燃料タンクや小規模な潤滑油・作動油、共用配管を除いた稼働実態で判断します。
理由に当てはまるなら、期限に余裕を持って所轄の市町村長等(消防本部)へ申請の相談をしましょう。
新しい時期は市町村長等が定めるものなので、指定を受けるまでは元の期限を前提に準備を進めてください。

理由の確認と申請、両方を早めに進めます。

期限が近づいてから相談すると間に合わないこともあります。
次によくある質問をまとめます。

よくある質問

Q保安検査の時期を先送りできるのはどんな施設ですか?
A対象は消防法第14条の3第1項が定める特定屋外タンク貯蔵所と移送取扱所です。指定数量の倍数が小さい一般的な屋外タンク貯蔵所や、この対象に含まれない施設は、そもそもこの周期の保安検査自体が課されません。
Q「保安上の必要」とはどのような場合を指しますか?
A条文に具体的な例示はなく、施設の安全確保のために検査より優先すべき対応がある場合を広く含む規定と解されます。該当するかどうかは所轄の市町村長等への確認が必要です。
Q休止していた施設を再稼働するとき、保安検査はどうなりますか?
A別に定められた時期が到来すれば、その時期に保安検査を受けることになります。再稼働そのものが検査の要否を左右するわけではありません
Q申請すれば必ず時期を変更してもらえますか?
Aいいえ。申請は市町村長等が時期を判断するための手続きであり、理由に該当しないと判断されれば元の周期のまま検査を受けることになります。

まとめ

保安検査の対象は特定屋外タンク貯蔵所と移送取扱所で、原則8年(移送取扱所は1年)ごとに受けます(消防法第14条の3第1項)
政令第8条の4第2項のただし書きにより、一定の事由があれば申請にもとづき市町村長等が時期を別に定めることができます
規則第62条の2第1項が定める理由は災害その他非常事態・保安上の必要・貯蔵及び取扱いの休止・使用状況の変更の4つです
「休止」からは非常用設備の燃料タンク・指定数量の5分の1未満の潤滑油や作動油・他施設との共用配管という3つの取扱いが除かれます
これらの取扱いが残っているだけでは休止とは認められません
時期の変更は所有者・管理者・占有者からの申請が前提で、自動的には変わりません
新しい時期を最終的に定めるのは市町村長等であり、期限に余裕を持って早めに相談することが重要です

なるほど、うちも次の検査までに理由と申請の要否を確認しておきます!

理由の判定に迷ったら早めのご相談をおすすめします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十四条の三第一項
  • 危険物の規制に関する政令第八条の四第二項
  • 危険物の規制に関する規則第六十二条の二
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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