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避難器具用ハッチのふたはどうなっていればよいのか|上ぶたと下ぶたに求められる構造と表示を解説

バルコニーの床にある避難器具用ハッチはどんな構造なのか

マンションやビルのバルコニーの床に四角い金属のふたがはまっているのを見たことがあるはずです。
あれは避難器具用ハッチといって避難はしごを常時使える状態でしまっておくための取付け具です。
ふだんは踏んで通るだけの床の一部ですが板厚もふたの開き方も排水口の数も消防庁の告示で細かく決められています。
点検で見るところはふたを開ける前から始まっています

うちのマンションのバルコニーに四角い金属のふたがあるんです。
あれって何か決まりがあるものなんでしょうか。

避難器具用ハッチといって避難はしごをしまっておく取付け具ですね。
板厚やふたの開き方まで消防庁の告示で決まっています。

ふたの裏に小さい穴がいくつか開いていた気がします。
あれにも意味があるんですか。

屋外に設けるハッチの下ぶたには排水口が要ります。
数まで決まっているのでこの記事で順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 避難器具用ハッチは避難はしごなどを常時使用できる状態で格納することのできる取付け具です
  • 本体と上ぶたと下ぶたと取付金具などで構成され下ぶたが挙がっているのは屋外に設置する場合です
  • 本体の板厚は1.2ミリメートル以上で上端は床面から1センチメートル以上の高さにします
  • 下ぶたには直径6ミリメートル以上の排水口を4個以上設けます
  • ハッチには製造者名や製造年月などを見やすい箇所に容易に消えないように表示します

避難器具用ハッチの本体と上ぶたと下ぶたと取付金具に求められる板厚や排水口を並べた図解

避難器具用ハッチとはどんな取付け具なのか

バルコニーの床に埋め込まれた避難器具用ハッチと室外機を並べた図
避難はしごはしまい方まで決められています。
バルコニーの床にあるあの四角いふたが決められたしまい方そのものです。
避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年4月16日消防庁告示第2号)第二 八 八 避難器具用ハッチ 金属製避難はしご、救助袋等の避難器具を常時使用できる状態で格納することのできるハッチ式の取付け具をいう。
ハッチは器具ではなく取付け具です
避難はしごそのものではなくそれを床に固定してしまっておく金属の箱を指します。
消防法施行規則第27条第1項第五号ニ(ロ)は4階以上の階につり下げはしごを設けるとき安全かつ容易に避難することができる構造のバルコニー等に設けて取付け具は避難器具用ハッチとすることを求めています。
そして同条第2項が設置と維持に必要な事項を消防庁長官に委ねていてその委任先が上の告示です。
まずは自分の建物のハッチがどの階に付いているかを図面で確かめてください。

はしごではなく箱のほうに決まりがあるんですね。
そこは考えたことがありませんでした。

ハッチの構造の基準は規則ではなく告示の側に書かれています。
だから規則だけを読んでも出てきません。

避難器具用ハッチはどんな部品でできていなければならないのか

避難器具用ハッチの上ぶたと下ぶたと本体と取付金具を分解して並べた図
ハッチは一枚のふたではありません。
告示はいくつかの部品で構成されることを求めています。
同告示 第八 五(一)(抜粋) イ 本体、上ぶた、下ぶた(避難器具用ハッチを屋外に設置する場合に限る。)及び取付金具(避難器具用ハッチに避難器具を取り付けるための部分をいう。)等により構成されるものであること。 ロ 本体は、次によること。 (イ) 板厚は、一・二ミリメートル以上とすること。ただし、取付金具を固定する部分については、三ミリメートル以上とすること。 (ロ) 上端は、床面から一センチメートル以上の高さとすること。
部品の顔ぶれが決まっています
本体という箱があってその上に上ぶたが載り屋外に設置するものには下ぶたが加わります。
避難器具を取り付けるための部分が取付金具でこれが本体に固定されます。
本体の板厚は1.2ミリメートル以上ですが取付金具を固定する部分だけは3ミリメートル以上と厚くなります。
上端は床面から1センチメートル以上の高さとされているのでハッチの縁が床とまったくの平らではないのが本来の姿です。

屋外に設けるものだけ下ぶたが要るということですか。
屋内側のハッチには挙がっていないんですね。

告示が下ぶたを挙げているのは屋外に設置する場合です。
自分の建物がどちらに当たるかは所轄消防署に確かめてください。

上ぶたと下ぶたにはなにが求められるのか

上ぶたが直角に開き下ぶたが下向きに開いた避難器具用ハッチの図
ふたは開けばよいというものではありません。
開き方も開けたあとに止まるかどうかも決められています。
同告示 第八 五(一)(抜粋) ハ 上ぶたは、次によること。 (イ) 蝶番等を用いて本体に固定し、かつ、容易に開けることができるものであること。 (ロ) おおむね百八十度開くことができるものを除き、次のa又はbによること。 a おおむね九十度の開放状態でふたを固定でき、かつ、何らかの操作をしなければ閉鎖しないものであること。 b 手掛けを設けること。 (ハ) 板厚は、二ミリメートル以上とすること。(略) ニ 下ぶたは、次によること。 (イ) 直径六ミリメートル以上の排水口を四個以上設け、又は、これと同等以上の面積の排水口を設けること。 (ロ) おおむね、九十度開くものであること。 (ハ) 板厚は、一・二ミリメートル以上とすること。
上ぶたは開いたところで止まります
おおむね百八十度まで開くものは別としてそれ以外は九十度の開放状態でふたを固定でき何らかの操作をしなければ閉鎖しないものであるか手掛けを設けることが求められます。
下ぶたのほうは下向きにおおむね九十度開くものとされ直径6ミリメートル以上の排水口を4個以上持ちます。
板厚は上ぶたが2ミリメートル以上で下ぶたが1.2ミリメートル以上と決められています。
点検のときは開けた上ぶたが手を離しても止まるかどうかを見てください。

開けたふたが自分で閉じてこないか見ればいいんですね。
それなら私にも確かめられます。

手掛けを設ける形のものもあります。
まずは自分のハッチがどちらの型かを見てください。

実務で見落としやすいのはどこか

水がたまったバルコニーのハッチと傾斜と排水設備のあるバルコニーのハッチを並べた図
ふたの寸法は図面でも追えます。
見落としが出るのはふたの外側です。
同告示 第八 五(抜粋) リ 避難上有効な開口部の大きさ(避難器具を展張した状態での取付部の開口部の有効寸法をいう。)は、直径〇・五メートル以上の円が内接する大きさ以上であること。 ヌ 三動作以内で確実かつ容易に避難器具を展張できるものであること。 (略) (四) 雨水等のかかる恐れのあるバルコニー等に避難器具用ハッチを設ける場合にあっては、床面等に適当な傾斜を設けるとともに、排水設備を設けること。
見るところはハッチの外側にもあります
開口部は避難器具を展張した状態で直径0.5メートル以上の円が内接する大きさ以上が要ります。
ふたを開けてはしごを下ろすまでが三動作以内であることも求められています。
そして雨水等のかかる恐れのあるバルコニーではハッチそのものではなく床面等の側に傾斜と排水設備が求められます。
床に水がたまったままのバルコニーはハッチ本体に不具合が無くてもこの部分が満たされていないことになります。

バルコニーに水たまりができるのはハッチの問題ではないと思っていました。
床の側の話だったんですね。

告示は床面等に傾斜と排水設備を設けることを求めています。
雨上がりに一度バルコニーを見てみてください。

明日からなにを確かめればよいのか

閉じた避難器具用ハッチの表示を確かめる作業者と点検表を並べた図
最後はふたを開けなくてもできる確認です。
ハッチには表示があるはずです。
同告示 第八 五(五) 避難器具用ハッチには、次に定める事項をその見やすい箇所に容易に消えないように表示すること。 イ 避難器具用ハッチである旨の表示 ロ 製造者名 ハ 製造年月 ニ 使用方法 ホ 取扱い上の注意事項
まず表示を読んでください
避難器具用ハッチである旨と製造者名と製造年月と使用方法と取扱い上の注意事項が表示されているはずです。
かすれて読み取れなくなっているものは容易に消えないようにという求めを満たしていません。
製造年月がわかればその建物の避難器具がいつからのものかの見当も付きます。
読み取れた内容は点検の記録に残しておくと次の点検で見比べられます。

表示を読むだけなら点検の日でなくてもできますね。
今週やってみます。

かすれて読めないものが見つかったらそれも立派な気づきです。
写真に撮って記録に残しておいてください。

よくある質問

Qうちのバルコニーのハッチには下ぶたが見当たりませんが問題ですか?
A告示が下ぶたを構成部品として挙げているのは避難器具用ハッチを屋外に設置する場合に限られています。屋内側に設けるものについては挙げられていません。自分の建物のハッチがどちらに当たるかは所轄消防署にご確認ください。
Q上ぶたが九十度で止まらずに閉じてしまうのですが直したほうがよいですか?
Aおおむね百八十度開くことができるものを除き九十度の開放状態でふたを固定でき何らかの操作をしなければ閉鎖しないものであるか手掛けを設けることが求められています。まず自分のハッチがどちらの型かを確かめてください。
Q古い建物のハッチも今の基準に合わせなければならないのですか?
A平成14年6月24日の改正の附則では施行の際に現に存する防火対象物若しくはその部分等における避難器具のうち改正後の第八第五号の規定に適合しないものに係る技術上の基準についてはなお従前の例によるとされました。個別の適用は所轄消防署にご確認ください。
Qハッチの材料に決まりはありますか?
A本体やふたやフランジや取付金具や手掛けや足掛けやアンカーや蝶番といった部品ごとに日本工業規格のステンレス鋼板等の材料又はこれらと同等以上の強度と耐久性と耐食性を有する不燃材料であることが求められています。

まとめ

避難器具用ハッチは避難はしごなどを常時使用できる状態で格納することのできる取付け具である
消防法施行規則第27条第2項が設置と維持に必要な事項を消防庁長官に委ね告示がハッチの構造を定めている
構成は本体と上ぶたと下ぶたと取付金具などで下ぶたが挙がっているのは屋外に設置する場合
本体の板厚は1.2ミリメートル以上で取付金具を固定する部分は3ミリメートル以上
上ぶたは九十度の開放状態で固定できるか手掛けを設ける
下ぶたは直径6ミリメートル以上の排水口を4個以上持つ
雨水等のかかる恐れのあるバルコニーでは床面等に傾斜と排水設備が要る

今度の休みにうちのバルコニーのハッチの表示を見てきます。
読めるかどうかだけでも確かめてみます。

それだけでも十分な一歩です。
判断に迷うところが出てきたら㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第27条(避難器具に関する基準の細目)第1項第五号・同条第2項
  • 避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年4月16日消防庁告示第2号・最終改正 平成18年5月19日消防庁告示第16号)第二・第八
  • 同告示 附則(平成14年6月24日消防庁告示第6号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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