消防が除去して保管することになった物は、いつ売却できるのでしょうか。
消防法第3条で保管した物には、災害対策基本法第64条の保管・売却の仕組みが準用されます。
売却は自由な処分ではなく、政令が競争入札を原則として手順を定めています。
例外の随意契約でも、理由と見積りの確認が欠かせません。
保管された物なら、消防がすぐ売ってしまえるのでしょうか。
売却できる場面と売り方は、別々に定められています。
保管から売却まで順に確認しましょう。
競争入札にできない物は、どう扱うのですか。
価値が急に下がる物などには例外があります。
随意契約の条件も政令で確認します。
- 消防法第3条で保管した物には、災害対策基本法の保管規定が準用されます
- 売却できるのは、滅失・破損のおそれ又は保管費用等がある場合です
- 売却方法の原則は、競争入札です
- 随意契約にできるのは、価値減少・不調・不適当の3類型です
- 随意契約でも、二人以上からの見積書を徴することが求められます
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目次
保管した物を売却できるのはどんなときか

消防法第3条第3項は、同条第2項の措置で除去した物件を消防長又は消防署長が保管する場面について、災害対策基本法第64条第3項から第6項までを準用しています。条文上の市町村長は消防長又は消防署長、工作物等は物件と読み替えます。
災害対策基本法第64条第4項は、保管物が滅失・破損するおそれがあるとき、又は保管に不相当な費用・手数を要するときに、政令の定めにより売却し、代金を保管できるとしています。
保管しただけで直ちに売却できるわけではありません。
売却の前提となる事情と、売却後に代金を保管する扱いを切り分けます。
所有者が判明しているかどうか、公告や返還の手続は、売却方法とは別に確認が必要です。
現場の判断だけで処分を急がないことが重要です。
売却は、保管費用が掛かるだけでも検討されるのですね。
はい。
ただし売却の理由と手続は記録して確認します。
消防法第3条の物件は誰が保管の手続を進めるのか

消防法第3条第2項は、所有者・管理者・占有者で権原を有する者を確知できないために措置を命じられないとき、消防職員に除去等をさせることができる仕組みです。除去した物件は、同条第3項により保管されます。
そして同条第3項の準用により、災害対策基本法の保管・公示・売却・費用・帰属の規定が消防の保管物にも及びます。売却の手続主体は、この読み替えにより消防長又は消防署長です。
災害対策基本法第64条第3項は保管物の公示を求め、同条第6項は公示の日から6か月を経過しても返還できない場合の帰属を定めます。
売却した代金も、この規定では保管物に含めて扱われます。
したがって、売却して終わりではなく、返還・代金保管・帰属まで見通して記録を整えます。
売却代金も、元の物と同じように保管するのですか。
はい。
返還できない場合の扱いまで条文でつながっています。
競争入札と随意契約はどこで分かれるのか

災害対策基本法施行令第27条第1項本文は、保管した工作物等の売却を競争入札に付して行わなければならないと定めます。消防法第3条第3項が同法第64条第3項から第6項を準用するため、消防の保管物を売却する場面でも、この売却手続がつながります。
一方で施行令第27条第1項ただし書は、競争入札に付すことが難しい物を3つに限定して随意契約を認めます。
随意契約は競争入札を省略したいときの自由な選択肢ではありません。
価値の減少、不調、又は競争入札が不適当という例外事由に当てはまることを確かめます。
特に第3号は広く見えますが、物件の性質と事情を示せるかを個別に検討する必要があります。
急いで売る必要がある物だけ、随意契約にできるのですか。
急な価値減少のほか、不調と不適当も例外です。
どの号を使うか明確にします。
入札の公告と見積りで見落としやすい点はどこか

一般競争入札に付すときは、災害対策基本法施行令第27条第2項により、入札期日の前日から起算して少なくとも5日前までに名称・種類、形状、数量などの必要事項を公示します。
指名競争入札なら、同条第3項により、なるべく3人以上の入札者を指定し、必要事項をあらかじめ通知します。
随意契約を選ぶ場合も、施行令第27条第4項はなるべく2人以上から見積書を徴するよう定めます。
「例外だから比較は不要」とは読めません。
売却理由、選択した方法、相手方の比較が追えるように、必要事項と根拠資料を残すことが実務上の要点です。
随意契約でも、見積書を一社だけで済ませないのですね。
政令は二人以上からの見積書を求めています。
自治体の規程も併せて確認します。
保管物の売却前に何を確認すればよいか

最初に、消防法第3条による除去・保管の経緯、保管物の特定、公示と返還の状況を整理します。そのうえで、滅失・破損のおそれ又は保管費用・手数の状況から、売却できる要件に当たるかを確認します。
次に、競争入札を原則として、一般競争・指名競争・随意契約のどれを採るのかを検討します。方法を先に決めるのではなく、物件と事情から根拠をたどる順番が大切です。
売却後も代金の保管と返還可能性を確認します。
公告内容、入札者への通知、見積書、売却理由は、後から経過を説明できる形で保存します。
消防法の準用規定と自治体の契約・会計規程が交わるため、所轄消防署と自治体の担当部署で手続を確認してください。
売却後の代金まで管理が続くのですね。
はい。
保管から返還・帰属まで一続きの手続として確認します。
よくある質問
まとめ
- ✔ 消防法第3条の保管物には災害対策基本法が準用されます
- ✔ 売却できる事情を先に確認します
- ✔ 売却方法は競争入札が原則です
- ✔ 随意契約は価値減少・不調・不適当の例外です
- ✔ 一般競争入札は5日前までの公示を確認します
- ✔ 指名競争入札は3人以上の指定が目安です
- ✔ 随意契約でも2人以上の見積書を確認します
保管から売却までの記録を見直しておきます。
手続の整理でお困りなら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
監修:㈱防災屋
参考・出典
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。実際の保管・売却の手続は自治体の規程や個別事情で異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署と自治体の担当部署にご確認ください。






