2号消火栓のホースを延長しようとして、うまく伸びずに手間取った経験はありませんか。
消防法施行令第十一条第三項は、2号消火栓と広範囲型2号消火栓のホースについて「一人で操作することができるもの」という条件を定めています。
この条件の中身を具体的に定めているのが、消防法施行規則第十一条の二が求める「保形ホース」という構造です。
この記事では、なぜ保形ホースでなければならないのか、総務省令が定める規格と格納基準から解説します。
先日の点検で、うちの2号消火栓のホースが古いタイプだと指摘されました。
何が違うんでしょうか。
おそらく折りたたみ式のホースだったのだと思います。
2号消火栓には保形ホースという構造が条文で義務づけられています。
保形ホースというのは初めて聞きました。
断面が丸いまま伸ばせるホースのことです。
今日は条文で詳しく確認しましょう。
- 2号消火栓・広範囲型2号消火栓のホースは、消防法施行令第十一条第三項第二号イ・ロにより一人で操作することができるものでなければなりません
- この条件を具体化しているのが消防法施行規則第十一条の二で、消防用ホースの技術上の規格を定める省令第二条第三号に規定する「保形ホース」であることを求めています
- 保形ホースとは、ホースの断面が常時円形に保たれる構造のホースのことです
- 格納方法にも消防庁長官が定める基準があり、延長・格納の操作が容易にできるように収納しなければなりません
- 改修工事で古いホースをそのまま流用すると、この保形ホースの基準を満たさないことがあるため点検での確認が必要です
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目次
2号消火栓のホースはなぜ一人で操作できるものでなければならないのか

2号消火栓・広範囲型2号消火栓にはこれとは違う条件が付いています。
放水量を抑える代わりに、ホースの構造そのものにも一人で扱える工夫が条文で義務づけられています。
この「総務省令で定める基準」の中身が、次の章で説明する保形ホースの規格です。
逆にいえば、この条件を満たさないホースを付けたままでは、2号消火栓・広範囲型2号消火栓として認められません。
まずはこの条件がどんな規格を指しているのかを見ていきます。
条文には「一人で操作することができるもの」としか書いていないんですね。
具体的にはどんな基準なんでしょうか。
その中身を定めているのが施行規則第十一条の二です。
次の章で確認しましょう。
保形ホースの基準はどの消火栓に適用されるのか

対象となる範囲を確認します。
工場や倉庫のように1号消火栓しか選べない建物では、この保形ホースの基準そのものが適用されません。
1号消火栓は二人での操作を前提にしているため、条文上も「一人で操作することができるもの」という要件が課されていないからです。
つまり保形ホースかどうかを確認する必要があるのは、2号消火栓・広範囲型2号消火栓を設置している建物に限られます。
自分の建物のホースがどちらのタイプかは、次に説明する規格の中身と合わせて確認します。
うちは事務所ビルで2号消火栓なので、保形ホースの基準が関係あるということですね。
そのとおりです。
工場や倉庫で1号消火栓の建物には、この基準はかかりません。
保形ホースはどんな規格に適合しなければならないのか

その省令の条文を確認します。
折りたたみ式のホース(平ホース)は使わないときは平らにつぶれていて、放水するには全体を広げてから通水する必要があります。
これに対して保形ホースは断面が丸いまま保たれているため、リールを回すだけで途中まで伸ばした状態でも放水を始められます。
この構造の違いが、放水量を抑えた2号消火栓・広範囲型2号消火栓を一人でも扱える設備にしています。
規格の中身を知っておくと、点検のときにホースの断面を見るだけでおおよその判別ができます。
断面が丸いままというのは、ホースを見ればすぐ分かるものなんでしょうか。
はい、巻いた状態の断面を見れば見分けがつきます。
気になる方は点検のときに確認してみてください。
格納方法を誤るとなにが起きるのか

収納の仕方についても条文が基準を置いています。
保形ホースをリールに正しく巻いていなかったり、途中で折れ曲がった状態で収まっていたりすると、いざというときに引っかかって延長できないことがあります。
改修工事で古いホースをそのまま流用したときや、点検で収納し直したときに、この収納基準からずれてしまう例が見られます。
保形ホースという構造そのものが正しくても、収納が悪ければ一人での操作という目的は果たせません。
定期点検では、ホースの構造だけでなく収納された状態もあわせて確認しましょう。
うちの消火栓、収納の仕方まではあまり気にしたことがありませんでした。
構造と収納の両方がそろって基準を満たします。
次回の点検であわせて見てもらいましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

最後に確認の手順をまとめます。 今日から確認すべきことは、自分の建物のホースが保形ホースかどうかです。
まず建物の屋内消火栓が2号消火栓・広範囲型2号消火栓に当たるかを確認します。
該当する場合は、ホースの断面が丸いまま保たれているか、リールへの収納が引っかかりなく延長できる状態かを点検します。
改修工事で古いホースをそのまま使い回す予定があるときは、先に保形ホースの基準を満たしているか業者に確認しましょう。
迷ったときは所轄消防署や施工業者に相談するのが確実です。
- 建物の屋内消火栓が2号消火栓・広範囲型2号消火栓に当たるかを確認する
- 該当する場合は、ホースの断面が保形ホースの構造(常時円形)を保っているか点検する
- ホースがリールに正しく収納され、延長・格納が引っかかりなくできるかを確認する
- 改修で古いホースを流用する予定があるときは、先に保形ホースの基準を満たしているか業者に確認する
構造と収納の両方を確認すれば、次の点検で見落としが防げそうです。
構造と収納の両方の確認が第一歩です。
迷ったらいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
保形ホースの意味がよく分かりました!
次の点検で構造と収納の両方を見てもらいます。
構造と収納の見落としは工事のやり直しにつながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第十一条第三項
- 消防法施行規則第十一条の二
- 消防用ホースの技術上の規格を定める省令(平成二十五年総務省令第二十二号)第二条第三号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





