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タンクローリー(移動タンク貯蔵所)から液体の危険物を容器に詰め替えることは、法令上原則として禁止されています。
ただし一定の条件がそろえば、例外的に詰め替えが認められる場合があります。
「タンクへの注入」と「容器への詰替え」では、認められる条件がそれぞれ別に定められている点も見落としやすいところです。
移動タンク貯蔵所から容器へ詰め替えるときの条件を整理します

タンクローリーで運んできた危険物を、そのまま別の容器に移し替えてもいいんでしょうか。

いいえ、容器への詰替えは原則できません
ただし条件次第で例外があります。

注入なら緊結すればいいだけかと思っていました。

実は注入と詰替えは別の基準です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 移動タンク貯蔵所から液体の危険物を容器に詰め替えることは、政令第27条第6項第4号ロにより原則として禁止されています
  • 例外が認められるのは、規則第40条の5の2が定める運搬容器に詰め替える場合です
  • 認められる危険物は、引火点40度以上の第四類危険物に限られます
  • 詰替えは安全な注油に支障がない速度で、規則第40条の5第1項が定める手動開閉装置付きのノズルを使わなければなりません
  • タンクへの注入の例外とは対象も条件も別に定められており、混同できません

原則は詰替え禁止運搬容器なら例外あり手動開閉ノズル使用安全な速度で注入という図解

移動タンク貯蔵所から容器への詰め替えはなぜ原則禁止なのか

タンクローリーが専用タンクへ注入ホースをつなぎ横で容器に直接詰め替えようとしている様子のイメージ
タンクローリーの移動貯蔵タンクから危険物を扱うとき、行き先によって守るべき基準が変わります。
まずは詰替えの原則を条文で確認します。
危険物の規制に関する政令第27条第6項第4号ロ
移動貯蔵タンクから液体の危険物を容器に詰め替えないこと。ただし、総務省令で定めるところにより、総務省令で定める容器に引火点が四十度以上の第四類の危険物を詰め替えるときは、この限りでない。
容器への詰替えは、原則として認められていません
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)は液体の危険物をタンクへ注入する形での取扱いが基本で、容器への詰替えは想定されていないためです。
とはいえ、ただし書きがある以上、条件さえ満たせば詰め替えられる場面があります。
その条件を定めているのが、規則第40条の5の2という条文です。
次に、その具体的な中身を確認します。

詰め替えは絶対にだめだと思っていました。

条件さえそろえば例外があります。
その条件を見てみましょう。

どんな条件がそろえば詰め替えが認められるのか

運搬容器にホースのノズルでゆっくりと危険物を詰め替えている様子のイメージ
詰替えが認められる条件は、規則第40条の5の2に定められています。
条文を確認します。
危険物の規制に関する規則第40条の5の2
令第二十七条第六項第四号ロの規定による詰替えは、安全な注油に支障がない範囲の注油速度で前条第一項に定めるノズルにより行わなければならない。
2 令第二十七条第六項第四号ロの総務省令で定める容器は、令第二十八条に規定する運搬容器とする。
詰替えが認められるのは、詰替え先が運搬容器である場合に限られます
規則第40条の5の2第2項により、詰替え先の容器は令第28条が定める運搬容器でなければなりません。
さらに第1項では、安全な注油に支障がない速度で、決まった構造のノズルを使うことも求められています。
つまり容器の種類・注油速度・ノズルという3つの条件がそろって、はじめて例外が成り立ちます。
危険物の種類自体は、前段で見た引火点40度以上の第四類危険物という条件が別途かかります。

容器なら何でもいいわけじゃないんですね。

はい、運搬容器という指定があります。
次はノズルの中身を見ます。

詰替えに使うノズルの構造はどう決まっているのか

レバー式のノズルとレバーを固定具で開いたまま止めたノズルを比べているイメージ
規則第40条の5の2が指すノズルは、前条=規則第40条の5で定められています。
その構造を確認します。
危険物の規制に関する規則第40条の5
令第二十七条第六項第四号イの規定による注入は、注入ホースの先端部に手動開閉装置を備えた注入ノズル(手動開閉装置を開放の状態で固定する装置を備えたものを除く。)により行わなければならない。
使えるノズルは、手で開け閉めする構造のものに限られます
ノズルの先端には手動開閉装置が必要で、レバーなどを離せば流れが止まる構造が前提です。
一方で、レバーを開いたままクリップなどで固定してしまう装置が付いたノズルは除外されています。
手を離しても流れ続けるノズルでは、詰替え中に目を離した瞬間の流出を止められないためです。
規則第40条の5の2はこの第1項のノズルをそのまま準用しており、注入でも詰替えでも同じ構造のノズルが前提になります。

レバー付きなら何でも使えるわけではないんですね。

固定装置のあるノズルは使えません。
次は注入の例外と比べてみます。

タンクへ注入する場合の例外条件とは何が違うのか

小さなタンクへの注入と運搬容器への詰替えを並べて比べているイメージ
同じ規則第40条の5が定める例外でも、タンクへの注入と容器への詰替えでは条件の対象が違います。
第2項を確認します。
危険物の規制に関する規則第40条の5第2項
令第二十七条第六項第四号イの総務省令で定めるタンクは、指定数量未満の量の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクとする。
注入の例外と詰替えの例外は、条件をかける対象がそもそも別です
タンクへの注入(イ)で緊結を省略できる例外は、指定数量未満のタンクという受け入れ側の量で決まります。
容器への詰替え(ロ)で認められる例外は、運搬容器という容器の種類と引火点40度以上の第四類という危険物の性質で決まります。
「指定数量未満だから容器にも詰め替えられる」という考え方は成り立ちません。イとロは別の号で、それぞれ別の条件を満たす必要があります。
同じ手動開閉ノズルを使う点は共通していても、そのほかの条件まで共通するとは限りません。

小さいタンクへの注入と同じ感覚で容器にも詰め替えていました。

イとロは別の条件です。
最後に確認の手順をまとめます。

明日から何を確認すればよいのか

担当者がクリップボードを手にタンクローリーのホースとノズルを確認しているイメージ
ここまでの内容を、実務での確認手順に落とし込みます。
順番に見ていきましょう。 まず、移動タンク貯蔵所から容器へ詰め替える必要があるかどうかを確認してください
詰め替える場合は、詰替え先が令第28条の運搬容器であることと、危険物が引火点40度以上の第四類であることの両方を満たしているか確認します。
使うノズルは、手動開閉装置付きで、開いたまま固定する装置が付いていないものを選びます。
注油の速度は、安全な注油に支障がない範囲までゆっくりにし、目を離さず作業してください。
条件を1つでも満たさない場合は、詰め替えず所轄消防署に確認することをおすすめします。

詰替え前に容器と速度を必ず確認します!

運搬容器かどうかを意識してみてください。
次によくある質問をまとめます。

よくある質問

Q移動タンク貯蔵所から液体の危険物を容器に詰め替えることはできますか?
A原則としてできません。ただし規則第40条の5の2が定める条件を満たせば、運搬容器への詰替えが例外的に認められます。
Q詰替えが認められる容器の条件は何ですか?
A詰替え先が令第28条の運搬容器であり、危険物が引火点40度以上の第四類であることが条件です。
Q詰替えに使うノズルはどんなものでもよいのですか?
Aいいえ。手動開閉装置を備え、開いた状態で固定する装置がないノズルに限られます。
Qタンクへの注入で緊結を省略できる条件と、容器への詰替えの条件は同じですか?
A異なります。注入の例外は指定数量未満のタンクという対象で、詰替えの例外は運搬容器と引火点という条件で決まります。

まとめ

移動タンク貯蔵所から液体の危険物を容器に詰め替えることは、政令第27条第6項第4号ロにより原則として禁止されています
例外として認められるのは、規則第40条の5の2が定める運搬容器に詰め替える場合です
認められる危険物は、引火点40度以上の第四類危険物に限られます
詰替えには規則第40条の5第1項が定める手動開閉装置付きのノズルを使わなければなりません
開いた状態でノズルを固定する装置は認められておらず、手を離せば流れが止まる構造が前提です
タンクへの注入の例外は指定数量未満のタンクという別の条件で決まります
条件を1つでも満たさない場合は詰め替えず、所轄消防署に確認することが実務の基本です

分かりました、容器と速度を確認してみます!

運搬容器かどうかを意識してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第27条第6項第4号
  • 危険物の規制に関する規則第40条の5・第40条の5の2
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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