タンクローリー(移動タンク貯蔵所)の側面や上部には、マンホールや安全装置といった附属装置がいくつも飛び出しています。
横転や接触でこれらが損傷すると、そこから危険物が漏れ出すおそれがあるため、政令はこれを守る装置を細かく定めています。
側面枠と防護枠という二つの保護装置に加えて、底弁を締める手動閉鎖装置のレバーにも、長さや向きの具体的な基準があります。
この記事では、附属装置を守る側面枠・防護枠と手動閉鎖装置のレバーの基準を条文から順に整理します。
タンクローリーの側面に付いてる出っ張った枠、あれは何のためにあるんでしょうか。
あれは側面枠です。
横転したときに附属装置を守る役目があります。
レバーの長さまで決まっているとは知りませんでした。
はい、十五センチメートル以上という基準があります。
- 移動タンク貯蔵所は、危険物の規制に関する政令第十五条第一項第七号・第十号の委任を受け、規則第二十四条の三・第二十四条の四で附属装置を守る側面枠・防護枠と、手動閉鎖装置のレバーの構造基準を定めています。
- 側面枠は、後部立面図での角度が七十五度以上、重心点から見た角度が三十五度以上となるように設けます。
- 側面枠は両側面上部の四隅に、前端又は後端から水平距離一メートル以内の位置に取り付け、当て板でタンクの損傷を防ぎます。
- 防護枠は厚さ二・三ミリメートル以上の鋼板等で山形に造り、頂部は附属装置より五十ミリメートル以上高くします。
- 手動閉鎖装置のレバーは、手前に引き倒す構造で長さ十五センチメートル以上としなければなりません。
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目次
附属装置が飛び出す移動貯蔵タンクにはなぜ側面枠が必要なのか

どちらも附属装置を守るための土台の基準です。
規則第二十四条の三第一号により、この装置が側面枠です。
後部から見た角度は七十五度以上、タンクの重心から見た角度は三十五度以上と定められています。
この二段構えの角度基準は、タンクが横転したときに本体より先に側面枠が地面に接するための設計です。
側面枠は、外部からの荷重にも耐えられる構造で作らなければなりません。
角度が二段階になっているんですね。
はい、後部と重心の両方から角度を見ます。
側面枠はタンクのどこに何か所取り付けるのか

四隅への取付けと、損傷を防ぐ当て板が対象です。
位置は、前端又は後端から水平距離一メートル以内と定められています。
ただし、被けん引自動車に固定されたタンクは、一メートルを超えた位置に設けることもできます。
連結して走るトレーラーの車体の長さに合わせた例外です。
取付け箇所には、側面枠にかかる荷重でタンクが傷まないよう、当て板を必ず設けます。
四隅すべてに付いているか、点検で確認しないといけませんね。
はい、当て板の有無もあわせて見てください。
附属装置を包む防護枠にはどんな強度が必要か

側面枠とは役割も構造も異なります。
側面枠が横転時の間接的な保護だとすれば、防護枠は日常の接触からの直接的な保護にあたります。
厚さ二・三ミリメートル以上の鋼板等で、底部の幅百二十ミリメートル以上の山形構造に造らなければなりません。
通し板補強を行った山形構造にすることで、外側からの衝撃に耐える強度を持たせています。
同等以上の強度がある構造であれば、山形以外の形状も認められます。
側面枠と防護枠、役割が違うんですね。
はい、守り方が別物だと考えてください。
防護枠の高さはどう決まっているのか

守る対象より低くては意味がありません。
マンホールや安全装置の先端よりも枠が高い状態を保つことで、上からの落下物や接触から附属装置を守ります。
ただし、五十ミリメートルの高さを確保できなくても、同等以上に附属装置を保護できる措置があれば認められます。
現場では、附属装置の突出量と防護枠の高さを実測して比較することが点検の基本になります。
高さが足りていない防護枠は、附属装置がむき出しの状態と変わりません。
高さも実際に測って確認するんですね。
はい、目視だけでなく実測してください。
手動閉鎖装置のレバーはなぜ長さと引き倒す向きが決まっているのか

とっさの操作を想定した基準です。
押す・回すではなく引き倒す動作に統一することで、非常時に迷わず操作できるようにしています。
長さは十五センチメートル以上と定められています。
短すぎるレバーでは、とっさの力が伝わりにくく底弁を確実に閉められません。
明日からは、側面枠・防護枠の角度や強度、そしてレバーの長さと向きを、点検のたびに実際に確認してください。
向きが統一されているのは、迷わないためなんですね。
はい、手前に引き倒す方向で統一されています。
よくある質問
まとめ
側面枠と防護枠、レバーまでよく分かりました。
次の点検で確認します。
まずは角度と取付け位置から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十五条(移動タンク貯蔵所の基準)
- 危険物の規制に関する規則第二十四条の三(側面枠及び防護枠)・第二十四条の四(手動閉鎖装置のレバー)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





